中間反抗期とは?小学生の口答え・宿題の拒否にご家庭でできる接し方と声かけ例

宿題の時間に「今やろうと思ってたのに」と言い返される。注意すれば口答えが返ってくる。小学生の子どもとの毎日に、こうした場面が増えたと感じる保護者の方は少なくありません。
こうした、イヤイヤ期と思春期の反抗期の間に見られる反抗的な言動は、子育ての場で「中間反抗期」と呼ばれることがあります。まず知っておきたいのは、これは医学的な診断名ではないということです。すべての子どもに同じように現れる段階ではなく、「何歳から始まって何歳で終わる」と区切れるものでもありません。
ですから、子どもの言動を見て「育て方が悪かったのか」とご自身を責める必要はありません。大切なのは、言葉に当てはめることではなく、目の前の場面にどう向き合うかです。
軸になるのは、「言い分や要求には耳を傾け、暴力や物を壊す行為はその場で止める」という境界線です。あわせて、言動の背景を「いつ・どの場面で・何の直前に起きるか」という視点で観察すると、わが子を責めずに対応を考えられます。
「中間反抗期」とは?診断名ではなく、子育ての場で使われる呼び方
どんな言動を指して使われるのか
「中間反抗期」は、幼児期に多い「イヤイヤ期」と思春期の反抗期の間、おおむね小学生の年代に見られる反抗的な言動を指す言葉です。子育ての本やメディアで使われてきた呼び方で、医療機関で使われる診断名ではありません。
この言葉で挙げられることが多いのは、たとえば次のような言動です。
- 口答えや言い返し(「今やろうと思ってたのに」「うるさい」など)
- 呼びかけへの無視、そっけない返事
- ささいなことでの急な怒りっぽさ
- 宿題や支度を始めることへの拒否
これらは「この時期に話題になりやすい言動」の例であって、当てはまるかどうかで判断するためのものではありません。
「何歳から」「いつ終わる」とは決められない
「中間反抗期は何歳から?」「いつ終わるの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。しかし、診断名ではない以上、時期を年齢で区切ることはできません。目立って現れる子どももいれば、あまり現れない子どももいて、同じ子どもでも時期や場面によって強さが違います。
つまり「うちの子は中間反抗期か」と判定すること自体に意味はありません。判定に時間を使うよりも、場面ごとに観察して対応を考えるほうが、ご家庭では役に立ちます。
ご家庭で見られる場面を整理する
ここからは、ご家庭でよく見られる場面を、具体例とともに整理します。挙げるのはあくまで例で、「いくつ当てはまるか」を数えるためのものではありません。「いつ・どの場面で起きているか」を見るための参考にしてください。
宿題を始める場面での拒否・言い返し
多くの保護者の方が直面するのが、宿題の開始をめぐる場面です。声をかける直前まで機嫌よく過ごしていたのに、「宿題やった?」のひとことで表情が変わることがあります。たとえば、次のような言動があります。
- 「今やろうと思ってたのに」と言い返す
- 「あとでやる」と言って先延ばしが続く
- 特定の教科の宿題のときだけ強く拒否する
観察の軸は、「声かけの直前に何をしていたか」「教科や曜日で違いがあるか」です。ゲームの途中での拒否と、特定の教科に限った拒否とでは、考えられる背景が変わります。
口答え・無視・そっけない態度
宿題以外の場面でも、次のような言動が気になることがあります。
- 「わかってる」「うるさい」と短く返す
- 呼びかけても返事をしない
- ため息や、物にあたるような仕草が増える
「一日のどの時間帯に多いか」「誰に対して出やすいか」をメモしておくと、背景を考える手がかりになります。帰宅直後に多いなら、学校で気を張ったあとの反動という見方もできます。
外では普通に過ごせているのに家で出る場合
学校では落ち着いて過ごせていると言われるのに、家でだけ強く出るケースもあります。因果関係を断定はできませんが、家は気を許せる場所だからこそ感情が出やすい、という見方もあります。
「外で大丈夫なら、家での言動はおかしいのでは」と不安になる必要はありません。一方で、学校でも同様の様子が続くと分かった場合は、ご家庭だけで抱えず、学校への相談も選択肢に入れてください。
反抗とひとくくりにしない:背景を見分ける視点
同じ「宿題を拒否する」でも、背景はひとつとは限りません。原因をひとつに決めつけると対応を誤りやすいため、いくつかの可能性を考えながら観察するのがおすすめです。
背景として考えられる6つの見方を、次の表にまとめました。原因の診断や判定ではなく、「こういう見方もある」という候補の一覧です。複数が重なっていることもあります。
| 背景の見方 | ご家庭で見えるサイン | 最初に確認すること | 最初の対応 |
|---|---|---|---|
| 自分で決めたい気持ち(タイミングへの反発) | 声かけの直前まで機嫌よく過ごしていた。「今やろうと思ってたのに」など、やる気はあるのにタイミングに反発する。 | 声をかけたタイミング。子ども自身が始めるつもりだった時刻。 | 「何時から始める?」「どっちからやる?」と問いかけ、時刻と順番を本人に決めてもらう。 |
| 夢中な活動からの切り替えの難しさ | ゲームや動画の途中で声をかけたときに強く拒否する。活動が区切れば動ける。 | 声かけ時に何をしていたか。区切りがつくまでどのくらいかかるか。 | 終了の数分前に予告し、区切りまで待ってから次の行動を伝える。 |
| 勉強のつまずき | 特定の教科・単元の宿題だけ拒否や後回しが続く。同じ種類の問題で止まる。 | 教科書の目次、授業のノート、例題の順に、どこから分からなくなったか。 | 教科書の例題に一緒に戻り、できたところを具体的に認める。 |
| 疲れ・睡眠不足 | 帰宅直後や夕方に言動が強く出る。行事続きの週に増える。 | 睡眠時間、食事のタイミング、行事や習い事の重なり。 | 宿題の前に休憩と軽食の時間を取り、開始時刻をずらす。 |
| 環境の変化 | 進級・転居・習い事の開始・家族の予定の変化などの前後から言動が強まった。 | このところの生活の変化を書き出してみる。 | 変化が重なっている間は約束を最小限に絞り、落ち着いてから一緒に再調整する。 |
| 反応を試す行動 | 同じ挑発的な言動を繰り返し、保護者の方の反応をうかがう様子がある。 | 日によって対応がぶれていないか。止める基準がその場で変わっていないか。 | 「要求は聞く・暴力は止める」の境界線を、毎回同じ短い言葉で伝える。 |
起きた日に短くメモを取るだけでも、何日分かたまるとパターンが見えてくることがあります。
観察メモの項目:
いつ起きたか(時間帯・曜日)
どの場面で起きたか(何の活動からの切り替えか)
何の直前に起きたか(声かけ、疲れ、きょうだいのことなど)
その後どうなったか(切り替わるまでの時間など)
記入例:
「火曜日の17時ごろ、ゲームの途中で宿題の声をかけたら『今やろうと思ってたのに』と言い返された。前日は就寝が遅かった。ゲームが一区切りついた10分後に、自分から宿題を始めた」
勉強のつまずきが背景にあるかもしれない
特定の教科や単元の宿題のときだけ拒否が強いなら、「やりたくない」ではなく「わからない・できない」が背景にあるかもしれません。たとえば算数の宿題をいつも後回しにするなら、前の単元の理解が十分でない、という見方ができます。
決めつけは禁物ですが、「どこから分からなくなったか、一緒に探す?」と聞いてみる価値はあります。どこまで戻るかは、教科書の目次で今日の単元の位置を確かめ、授業で使ったノートを開き、教科書の例題が一人で解けるかを順に見ると絞り込みやすくなります。つまずきが見つかったら、例題に戻って見直します。
疲れや環境の変化が背景にあるかもしれない
睡眠不足、行事続きの疲れ、進級や転居、習い事の開始など、環境の変化が重なっている時期に言動が強まることもあります。「反抗期だから」と片付ける前に、最近の生活の変化を書き出してみると、背景を考える手がかりになることがあります。
宿題の声かけより先に確認したい項目:
睡眠(ここ数日の就寝・起床の時刻)
食事(空腹や間食のタイミングで機嫌が変わっていないか)
予定の重なり(行事・習い事・送迎の負担)
環境の変化(進級、転居、家族の予定の変化)
疲れが見える日は、宿題の開始時刻をずらしたり、量を減らしたりする提案も「要求を聞く」範囲に入ります。まず体を休ませてから、翌日以降の予定を一緒に立て直します。
「学校に行きたくない」は反抗期と片付けない
注意したいのが、「学校に行きたくない」という訴えです。これを反抗期の一部と片付けず、別のサインとして受け止めてください。学校での出来事や人間関係など、反抗とは別の背景があり得ます。
まず責めずに話を聞き、続くようなら学校の担任などへの相談を考えます。早めの相談は、決めつけを防ぐためにも有効です。
どこまで見守り、どこで止めるか:要求は聞く、暴力は止める
対応の軸をひとことで言えば、「要求は聞く、暴力は止める」です。こども家庭庁の「体罰等によらない子育て」では、子どもの気持ちや考えに耳を傾け、問いかけや相談をしながら一緒に考える姿勢が紹介されています。あわせて、穏やかに具体的に伝えること、できている行動を具体的に認めることも挙げられています。この考え方をもとに、ご家庭での境界線を整理します。
話を聞いてよい要求・見守ってよい範囲
「あと10分だけ」「宿題の順番を変えたい」「今は話したくない」。こうした要求は、まず話を聞いてよいものです。言い分を最後まで聞いて「そうしたいんだね」と一度受け止めるだけで、その場が落ち着くことがあります。
開始時刻や終了時刻の多少の前後も、見守ってよい範囲です。毎日のことですから、時刻を分単位で合わせることよりも「今日宿題に着手できたか」を大切にしましょう。
暴力・物を壊す行為はその場で止める
一方、暴力、物を壊す行為、人を傷つける言葉は、その場で止めます。止める手順は短く、次のような形です。
- 近づいて目線を合わせ、必要なら手や物をそっと押さえる
- 「手は出さない」「物は壊さない」と、止める行為だけを短く伝える
- その場で説教や謝罪の強要はせず、お互いが落ち着いてから話す
伝えるときは「穏やかに、具体的に」が基本です。保護者の方自身が危険を感じる場合や、力では止められない場合は、無理に対峙せず距離を取り、相談窓口につなげてください。
約束は最小限から、一方的に決めない
ルールや約束は、最初から完璧を目指さず、1〜3個に絞って始めます。たとえば「宿題の前にゲームは始めない」「ゲームは決めた時刻に区切る」の2つだけ、という形です。
決めるときは、保護者の方が一方的に宣言するのではなく、子どもの案も聞いて一緒に決めます。一方的に決めた約束は押しつけに感じられやすく、一緒に決めることで「自分の約束」として捉えやすくなります。
場面別の声かけ例
4つの場面について、避けたい言い方と声かけの往復を表にまとめました。表と会話はいずれも例で、そのまま使う必要はありません。避けたい言い方は過去のやりとりを責めるためのものではなく、言い換えの方向を示す参考にしてください。
宿題を始めるとき
| 避けたい言い方 | 声かけの例 |
|---|---|
| 「早くやりなさい」「何度言わせるの」 | 保護者の方「今日の宿題、何があるか一緒に確認する?」 子ども「計算ドリルと漢字。」 保護者の方「どっちからやる?」 子ども「計算。」 保護者の方「計算からやるんだね。始めるところまではそばにいるよ。」 |
ポイントは、指示ではなく問いかけで始め、子ども自身に選んでもらうことです。「問いかけながら一緒に考える」という姿勢を、宿題の場面に当てはめた例です。
呼びかけに返事がないときは、二択にして聞く方法もあります。「声をかける→返事がない→選択肢を出す→翌日に見直す」のようにしてもよいでしょう。
保護者の方「そろそろ宿題の時間だよ。」
子ども(返事をしない)
保護者の方「聞こえていたら、どっちから始めるかだけ教えて。計算ドリルと漢字、どっちがいい?」
子ども「……漢字。」
(翌日)保護者の方「昨日は返事がなくて、こちらも何度も呼んでしまったね。今日は、聞こえたよと手を挙げるだけでもいい?」
言い返されたとき
| 避けたい言い方 | 声かけの往復例 |
|---|---|
| 「何その言い方」「そんな態度ならもう知らない」 | 子ども「今やろうと思ってたのに!」 保護者の方「そうか、タイミングが重なっちゃったね。何時ごろ始めるつもりだった?」 子ども「この動画が終わったら。」 保護者の方「わかった。終わったら宿題、だね。」 |
言い返しの中にある「やるつもりだった」を拾うと、対立せずに本題へ戻れます。言い方そのものを注意するなら、場が落ち着いてから短く伝えるほうが受け止めてもらいやすくなります。
ゲームを切り上げるとき
| 避けたい言い方 | 声かけの往復例 |
|---|---|
| 「約束と違うでしょ。もう取り上げる。」 | 保護者の方「あと5分で、決めた時間だよ。」 子ども「あと少しで区切りがつくから待って。」 保護者の方「じゃあ、その区切りまで。終わったら宿題、順番通りだよ。」 |
終了の数分前に予告し、ゲームが一区切りつくまで少し待つのも「見守る範囲」です。大切なのは、決めた時刻にぴったり終えることではなく、次の行動への切り替えです。
ぶつかったあとの切り替え
| 避けたい言い方 | 声かけの往復例 |
|---|---|
| 無言のまま気まずい時間を長引かせる 「さっきの態度は何だったの」と蒸し返し続ける | 保護者の方「さっきはこちらも強く言いすぎたね。ごめん」 保護者の方「あらためて、宿題のことだけ話そう。今日はどこまでやる?」 子ども「ドリル2ページ。」 保護者の方「うん。昨日も自分から机に向かえていたね。」 |
最後のひとことは、「できている行動を具体的に認める」という考え方に沿った例です。「昨日は自分から机に向かった」「字を丁寧に書けている」など、できた部分を具体的に伝えます。
勉強面の支え方:教科書・ノート・例題に戻る見直し
拒否の背景に勉強のつまずきがありそうなとき、ご家庭で何を見ればよいでしょうか。基本は、学校で習う順序に沿って、教科書とノートをたどることです。教科書は単元ごとに学習内容が積み上がる構成なので、どこまで戻るかを探す手がかりになります。
つまずき地点は教科書の目次・ノート・例題・練習問題の順に探す
つまずきの場所は、次の順番で確認すると絞り込みやすくなります。
- 教科書の目次:今日の宿題がどの単元にあたるかを確かめます。目次をさかのぼると、その単元の前に何を習ってきたかが分かり、戻る候補が見えます。
- 授業で使ったノート:今日の日付のページを開き、板書の写しや練習問題の跡を見ます。授業でどこまで進み、どこで止まったかの把握が目的です。
- 教科書の例題:見本となる問題を子ども自身が解けるか確かめます。例題で止まるなら、そこが戻る地点です。
- 練習問題:例題は解けても練習問題で止まるなら、手順を使いこなす練習が必要な段階です。
聞き方は「今日やったところ、一緒に見ていい?」で十分です。丸つけや採点ではなく、「どこまで進んだか」を把握するためです。ノートと教科書を開けば、「今日学校で何をやったか」をご家庭で共有できます。
できないところは例題に戻る
つまずきが見つかったら、教科書の例題や見本の問題に戻ります。算数なら例題の図や式の順序をなぞり、国語なら本文の音読や語句の確認から始めます。例題ができるようになれば、練習問題や宿題に戻るのが自然な流れです。
例題に戻ってできたら、「例題の手順通りに進められたね」「止まらずに音読できたね」と、できたところを具体的に認めます。「何学年も前まで戻るべき?」と不安になる必要はなく、まずは今日の単元に直接つながる例題からで十分です。
宿題の場面での対応の分岐(例)
宿題の時間に限った対応を、場面ごとに分けた例です。表の行動は正解ではなく、「最初に試す対応」の候補としてお読みください。
| 場面 | 保護者の方の次の行動(例) |
|---|---|
| 始めない | 全問やることを求めず、「何があるか一緒に確認する?」から入り、「どっちから始める?」と選択肢を渡す。机に着いて最初の1問に取りかかるところまでを、その日の目標にする |
| 始めるが続かない | 始める前に「今日はここまで」と量を区切り、途中で手が止まったら、できた分を具体的に認める。残りは翌日以降の計画に入れる |
| 問題が解けず止まる | その場で解き方を教え込もうとせず、教科書の例題に一緒に戻る。それでも難しければ、問題に印をつけて翌日学校で聞く選択肢もある |
| 約束を守れない | その場では責めず、翌日に「どこが難しかった?」と聞く。開始時刻・量・順番のどれか1か所だけ変えてみる |
時間は一律に決めず、目標と優先順位を話し合う
家庭学習の進め方は、まず学校からの案内を確認します。連絡帳や配布プリントに、学年に合った宿題や家庭学習の方針が書かれていることがあります。また、千葉県教育委員会の「家庭学習の習慣化を図ろう」でも、家庭学習の方法や計画に関する学校の取組みが紹介されています。
学習時間は「毎日何時から1時間」と一律に定める必要はありません。北海道教育委員会の資料では、時間の目安・目標・優先順位を実態に応じて子どもと話し合って決め、進級時などに見直すための参考資料が公開されています。
ご家庭での進め方の例:
週のはじめに「今週やること」を子どもと一緒に挙げ、優先順位をつける
1日の取り組み時間は、帰宅時刻や習い事の日に合わせて変える
週末などに「計画通りいったか」を一緒にふり返り、翌週を調整する
例題はできるのに練習問題で止まる場合など、学年や教科に合った練習の材料をお探しのときは、ナビクロのプリント一覧も一例です。教科・学年・ジャンルで絞り込め、未就学児から小学6年生までに対応しています。
ゲーム・動画との両立:ルールは一方的に決めない
切り上げ時刻と順番を一緒に決める
トラブルを減らすには、始める前にルールを決めておくことが大切です。手順の例を挙げます。
- ゲームや動画を始める前に、「今日は何時まで」と終わる時刻を一緒に決める
- 宿題との順番(宿題の前に使うか、宿題のあとにするか)もあわせて決める
- 時計やタイマーを見える場所に置き、終わりの数分前に予告する
「順番」まで含めて決めるのがポイントです。時刻だけの約束だと、「宿題はいつやるの?」という新しい対立が生まれやすくなります。
取り上げ・交換条件にはしない
機器そのものを取り上げる方法は、その場の対立を大きくしやすく、ご家庭でのやりとりがぎくしゃくすることがあります。また「宿題をやったらゲーム」という交換条件は、勉強が「ゲームのための通過点」になりやすいという見方があります。
守れなかった日は、その場で責めたり約束を破棄したりせず、翌日に話し合います。このとき見直すのは子どもの態度ではなく、ルールそのものです。
話し合いで見直す観点の例:
終了時刻(ゲームの一区切りと、決めた時刻がずれていなかったか)
順番(宿題の前後のどちらが切り替えやすかったか)
予告(終わりの数分前の声かけができていたか)
量(約束の数が多すぎなかったか。目安は1〜3個まで)
決め方(子どもの案が入っていたか)
「昨日うまくいかなかったのは、どこが難しかった?」と聞き、時刻を少しずらす、順番を入れ替えるなど、1か所だけ変えて試します。ルールは一度決めたら固定するものではなく、話し合いながら、ご家庭に合う形へ調整していくものです。
帰宅後の流れの例(低学年・高学年)
声かけの回数を減らすには、帰宅から就寝までの大まかな流れを先に一緒に決めておく方法があります。時刻はあくまで説明用の目安であり、一律の基準ではありません。学校からの案内やご家庭の予定、子どものその日の状態に合わせてください。
低学年(小学1・2年生)の流れの例:
16時ごろ帰宅→手洗いと軽食でひと息つく→宿題(短めに区切り、始めるところだけ保護者の方がそばで確認)→終わり次第、ゲームや外遊び→夕食・入浴→明日の支度を一緒に確認
高学年(小学5・6年生)の流れの例:
帰宅→休憩→自分で決めた時刻に宿題を開始(習い事の日は量を調整)→夕食→ゲーム(終了時刻を先に決め、数分前に予告)→週末に翌週の予定を一緒に確認
低学年では「始めるまでの付き添い」、高学年では「自分で決めた時刻を守る仕組みづくり」に、保護者の方が関わる部分を絞るのがポイントです。流れがうまくいかない日が続いたら、時刻や順番のどこを変えるかを話し合います。
保護者の方のイライラへの向き合い方
イライラは当然の反応
毎日の宿題のたびに言い返されれば、イライラするのは当然の反応です。こども家庭庁の「体罰等によらない子育て」では、子どもだけでなく保護者も支えられる必要があるとされています。「怒ってしまう自分はだめだ」と、ご自身を責める必要はありません。
その場を離れる・切り替える手順
切り替えの手順の例です。
- 言い返す前に、一度ゆっくり息を吐く
- 「ちょっと待ってね」と短く伝えてその場を離れ、水を飲む
- 戻ったら、伝えることをひとつに絞って短く話す
長く説明しようとすると、かえって自分の怒りが強まることもあります。「短く離れて、短く戻る」と決めておくのも一つの方法です。
行き過ぎたと思ったら謝ってやり直す
言いすぎたと思ったら、「さっきは言いすぎたね、ごめん」と謝ってやり直します。謝ることは、保護者としての軸を失うことではありません。「間違えたら直す」という姿勢を、子どもに見せる機会にもなります。
それでも疲れがたまり、一人で抱える状態が続くなら、周囲に相談してください。次に紹介する相談の目安や窓口は、保護者の方自身のためにも利用できます。
相談したほうがよい目安と相談先
相談を考える目安
次のいずれかにあたる場合は、ご家庭だけで抱えず、相談を考えてください。
- 学校でも同様の状態が続いていると知った
- 暴力や物を壊す行為が続く
- 「学校に行きたくない」という訴えが続く
- 保護者の方自身が限界を感じる
これらは「状態が悪いから相談する」のではなく、早めに周囲の視点や支援を得るための目安です。
学校へ伝えるメモの項目:
いつ頃から、どの場面で多いか(帰宅直後、特定の教科の宿題のときなど)
ご家庭で試したこと(声かけの変え方、時刻や順番の調整など)
学校で知りたいこと(授業中の様子、つまずいている教科や単元、友人関係の変化など)
相談先の例
- 学校の担任・スクールカウンセラー:まず学校での様子の共有から始められます
- 自治体の教育相談窓口:お住まいの市区町村の窓口を確認してみてください
- 文部科学省の相談窓口:「子供のSOSの相談窓口」のページに、電話・SNS・地元の窓口の案内があります。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310、通話無料)のほか、保護者の方が相談できる地元の窓口へのリンクも掲載されています
医学的な判断が必要かどうかは、専門の機関に委ねることになります。まずは身近な窓口に状況を伝えてみてください。
まとめ:判断基準を持って、今日の一場面から
要点を4つに絞ります。
- 「中間反抗期」は診断名ではなく、年齢で区切れるものでもありません。判定よりも、場面ごとの観察を優先しましょう。
- 背景はひとつに決めつけず、つまずき・疲れや環境の変化・試す行動など複数の見方で、「いつ・どの場面で・何の直前か」を観察します。
- 境界線は「要求は聞く、暴力は止める」。約束は最小限から子どもと一緒に決め、守れなかった日は責めずに話し合って見直します。
- 「学校に行きたくない」が続く場合などは、早めに学校や相談窓口につなげます。
すべてを一度に変える必要はありません。今日の夕方、宿題を始める場面で「どっちからやる?」と問いかけることから始めてみてください。
参考情報
監修:新興出版社啓林館 坂本陽一