知育
日付
2026/10/17

非認知能力とは?小学生の子どものためにご家庭でできる支え方と声かけ例

非認知能力とは?小学生の子どものためにご家庭でできる支え方と声かけ例

「非認知能力」という言葉を、学校のだよりやメディアで目にする機会が増えています。テストの点数では測れない力と聞くと、特別な才能のことのように感じるかもしれませんが、そうではありません。

非認知能力とは、挑戦する力、気持ちを整理する力、人と協力する力など、IQやテストの点数で測れる「認知能力」以外の力を幅広く指す言葉です。ひとつの能力の名前ではなく、心や社会性に関わるさまざまな力をまとめた言葉です。

この力は、幼児期だけで育つものではありません。年齢や学年が上がるにつれて一律に高まるものではなく、「伸ばせる時期が過ぎてしまった」という期限もありません。小学生の子どもをもつ今からでも、ご家庭で支えていける力です。

支え方の中心は、点数で測ることではなく、日常の観察と会話、そして挑戦をそっと後押しする声かけです。特別な訓練や教材は必要ありません。

非認知能力とは

国立教育政策研究所の整理では、非認知的能力は「IQに代表される認知的能力ではないもの」を幅広く指す総称とされています。粘り強さ、意欲、感情のコントロール、人との協調など、さまざまな力をまとめて呼ぶ言葉で、「非認知能力」という単一の能力があるわけではありません。

テストのように点数で表しにくいため、目に見えにくい力でもあります。日々の様子の中に少しずつ表れるものとして見るのが自然です。

認知能力との関係(どちらかではなく両方)

認知能力は、計算する、文章を読み解く、知識を覚えるといった、テストで点数として表れやすい力です。一方の非認知能力は、難しいことに挑戦する、失敗しても気持ちを立て直す、人といっしょに取り組むといった力です。

大切なのは、どちらか一方が優れているという話ではなく、両方がいっしょに働くことです。例えば算数の文章題では、文を読み解く認知能力と、間違えても「もう一度考えてみよう」と思う非認知能力の両方が必要になります。

認知能力を軽視する必要はありません。勉強の土台はこれまでどおり大切にしながら、日常の観察や会話、挑戦の機会を通して非認知の面を支える。ご家庭では、こうした関わり方が無理なく続けやすいでしょう。

3つの領域で見る(自分に関する力/他者に関する力/関係を築く力)

幅広い力を含む言葉なので、3つの領域に分けると理解しやすくなります。国立教育政策研究所では、社会情緒的コンピテンスとして次の3つの領域が整理されています。

  • 自分に関する力(自己認識・感情・自己制御)
    自分の気持ちに気づき、やると決めたことを進める力です。
  • 他者に関する力(他者の感情や思考の理解)
    相手の気持ちや考えを想像する力です。
  • 自分と他者・集団との関係(人間関係・コミュニケーション)
    人と関わり、関係を築く力です。

専門用語のままでは、子どもの姿に当てはめにくいかもしれません。小学生の日常では、この3つは「挑戦する力」「気持ちを整理する力」「協力する力」という形で見えてきます。

学年で一律に高まるものではない(期限・点数化で考えない)

「幼児期が勝負」という情報を目にして、小学生の子どもをもつ今からでは遅いのでは、と不安になる保護者の方もいるかもしれません。しかし、その心配はいりません。

非認知的能力は、年齢や学年の上昇に伴って一律に高まるものではないと、国立教育政策研究所の整理でも示されています。一見、低下しているように見える時期があっても、それを単純な発達の遅れと決めつけることはできません。

つまり「何歳までに育てなければ」という期限はありません。小学生の今からでも、その先でも、日常の関わりの中で支えていけます。

また、測りにくい力だからこそ、自己診断テストや点数化で子どもを判断するのは避けたいところです。代わりに判断の手がかりになるのは、「いつ・どの場面で・何が起きているか」という日常の観察です。

小学生の日常で見える非認知能力

3つの領域は、小学生の毎日の場面では、もっと身近な姿で表れます。「うちの子に当てはまるかな」という視点で見てみてください。

挑戦する力(勉強・宿題・新しいことの場面)

難しい問題に手をつける、初めてのことに挑む、途中で止まっても続けようとする力です。3つの領域では、主に「自分に関する力」にあたります。

ご家庭での見え方:
宿題の漢字練習で「むずかしい」と言いながらも机に向かう、習ったばかりの単元に「やってみる」と言う、工作で失敗しても別の作り方を試す、など。「できるようになった」ことだけでなく、「一歩進もうとした」ことにこの力は表れます。
会話の例(例示):
子ども「これ、むずかしい」→保護者の方「むずかしいところに取り組んでいるんだね」

気持ちを整理する力(失敗・思いどおりにならない場面)

悔しさや悲しみを感じたあとで、少しずつ落ち着きを取り戻す力です。すぐに切り替えられることだけが力ではありません。時間をかけても、自分なりに気持ちを収めようとする姿もこの力です。

ご家庭での見え方:
テストで思う点数が取れず落ち込む、友達とけんかをした日は夕食の時間も元気がない、など。泣いたり怒ったりしたあとで、少しずつ普段の様子に戻ろうとする姿も、成長の途中に見られるものです。
会話の例(例示):
「もう大丈夫?」と急かすより、「今日はつらかったね」と受け止める声かけが合います。

協力する力(友達・きょうだい・集団の場面)

相手の気持ちや考えを想像し、役割を分担して進める力です。3つの領域では「他者に関する力」と「関係を築く力」にあたります。

ご家庭での見え方:
きょうだいとおもちゃの順番を相談する、家のお手伝いで役割を決める、学校のグループ学習で「自分はこれをやった」と話す、など。友達の様子を「今日、◯◯ちゃんが元気がなさそうだった」と気にかけるのも、相手を思いやるこの力の表れです。

どの力も、毎日発揮できるものではありません。疲れている日はできなくて当然です。「今日はできなかった」ではなく「この前はできていた」と、少し長い期間で見てあげてください。

ご家庭でできる支え方

支え方に特別な準備はいりません。全部を一度に試すのではなく、気になる場面を1つ選ぶところから始めます。

基本の姿勢(過程を見る・比較しない・放っておく範囲)

  • 結果より過程を見る
    テストの点数や答えの正誤そのものより、「どう取り組んだか」に目を向けます。「できたの?」より「がんばったところを聞かせて」のほうが、次の挑戦につながりやすくなります(声かけは例示です)。
  • 他の子と比較しない
    きょうだいやクラスメートと比べると、挑戦する気持ちがしぼみがちです。比べるなら「前の自分」と。先月は言えなかった「やってみる」が言えた、というように見ます。
  • 全部に手を出さない
    挑戦・気持ちの整理・協力を一度に全部鍛えようとすると、保護者の方も子どもも疲れてしまいます。気になる場面を1つに絞って、そこだけ見るくらいで十分です。
  • 放っておく範囲を決める
    安全に関わらない、失敗しても取り返しのつく場面では、本人に任せてみます。すぐに助け船を出さず、「ひとりでやってみる?」と見守ります。逆に、睡眠や安全に関わる場面では保護者の方が区切りをつけます。見守ることも、支え方の一つです。

勉強・宿題の場面(挑戦の支えと教科書・ノート・例題の見直し方)

勉強は、認知能力と非認知能力がいっしょに働く身近な場面です。答えをすぐに教えるより、「自分で進めた」という経験を増やすことを意識します。声かけの例を挙げます(例示です。子どもに合わせて変えてください)。

  • 「今日はどこから始める?」(始め方を自分で決める)
  • 「ここまで自分で進められたね」(結果より過程を認める)
  • 「どこで止まっているか、いっしょに見てみようか」(できないことを責めず、状況を見る)

一言の声かけで動かないときは、返事を待ちすぎず、選択肢を示します。声をかける→返事がない→選択肢を出す→翌日に見直す、という流れの例です。

子どもが宿題に手をつけないとき(会話は例示です)
保護者の方「そろそろ宿題、どうする?」
子ども(返事がない)
保護者の方「今から始めるか、ごはんのあとに始めるか、どっちがいい?」
子ども「ごはんのあと。」
(翌日)保護者の方「昨日は、決めたとおりに始められたね。今日はどうする?」

宿題の様子は、止まっている場面によって保護者の方の次の行動が変わります。次の4つの場面に分けて考えてみてください(対応は例示です)。

  • 始めない
    量を小さく区切って「最初の1つ」を示します。「今日は漢字ドリルの1ページだけ」など、始めるハードルを下げます。あわせて、始める時間と場所が決まっているかを確認します。
  • 始めるが続かない
    区切りを細かくして、途中まで進めたことを認めます。「ここまで進んだね、少し休もうか」と、続けていること自体を認め、長時間の集中を前提にしない計画に変えます。
  • 問題が解けず止まる
    答えを教える前に、後述の手順(教科書の目次→ノート→例題→練習問題の順)で戻る地点をいっしょに探します。まずは、どこで止まっているかを見ます。
  • 約束を守れない
    守れなかったことを責める前に、約束そのものを見直します。「どうしたら守れそう?」と本人と決め直します。ゲームの時間の約束なら、後の「ゲーム・動画の場面」の見直しポイントも参考になります。

「わからない」で止まったときは、学校で習った順序に沿って戻って確認します。つまずいている場所は、教科書の目次、授業で使ったノート、例題、練習問題の順に探します。

  1. 教科書の目次で単元の位置を確認する
    いま習っている単元が目次のどこにあり、前の単元とどうつながっているかを見ます。前の単元があやふやなら、そこから確認します。
  2. 授業で使ったノートを見る
    板書や授業中に解いた問題、先生の補足が残っています。ノートのどこまで書けているかも、授業についていけているかの手がかりです。
  3. 教科書の例題に戻る
    その単元で最初に習う基本の問題です。例題が解けるか、まわりの説明を声に出して読んで意味が取れるかを確認します。
  4. 練習問題・宿題に戻る
    例題と何が違うのか(数字、条件、聞かれ方)を、いっしょに探します。

戻るときは「前のところを確認するだけ」と伝えると、子どもも受け入れやすいでしょう。この順番で戻ると、「どこで止まっているか」も見えてきます。問題文の意味がつかめていないなら、音読して確認します。例題は解けるのに練習問題で止まるなら、例題との違いを探す段階です。計算ミスが続くなら、途中式をノートに書けているかを見てみましょう。

見直しても難しさが残る場合は、その単元を追加で練習する方法もあります。学年や教科に合った練習プリントをナビクロのプリント一覧から探せます。必要に応じて、練習プリントを活用できます(効果を保証するものではありません)。

なお、教材の内容をAIに入力して答えを出させることは、勧められていません。わからないときに頼るのはAIではなく、教科書とノートです。その繰り返しが「自分で考える経験」になります。

帰宅後の時間の流れの例(低学年・高学年)

宿題や遊び、ゲームの時間は、帰宅後の流れの中である程度決まっていると、子どもが自分で動きやすくなります。流れの例を挙げます。時間や順番はあくまで例示であり、一律の基準ではありません。ご家庭の生活リズムや子どもの状態に合わせて変えてください。

低学年(小学1〜3年生)の例
帰宅後、手洗いと短い休憩のあと、疲れが出る前に宿題に取り組みます(15〜20分程度を目安に)。終わったら自由遊びや外遊びの時間です。夕食の前後に「今日できたところ」を一言聞き、寝る前に翌日の持ち物をいっしょに確認します。保護者の方がそばにいられる時間帯に宿題を入れておくと、止まったときにすぐ様子を見られます。

高学年(小学4〜6年生)の例
帰宅後は、休憩を挟んでから宿題に取り組みますが、始める時刻は本人に決めてもらいます(「17時から」など)。習い事のある日は、家でできる分を前の日に回すなど、曜日ごとに量を調整します。ゲーム・動画は決めた時間内にします。寝る前に「今日できたこと」を一言振り返ると、翌日の始め方につながります。帰宅後の流れを少しずつ本人に決めてもらうことが、自分で進める経験になります。

失敗・イライラの場面(気持ちの整理を支える声かけ例)

テスト、ゲームの勝敗、友達関係。思いどおりにならなかった日は、振り返る前に、まず子どもの気持ちを受け止めます。声かけの例を挙げます(例示です)。

  • 「悔しかったんだね」(まず気持ちを代弁する)
  • 「どうなっていたらよかったと思う?」(気持ちを言葉にする手伝い)
  • 「少し休んでから、もう一度見てみる?」(やり直しの提案。無理強いはしない)

子ども「もうテストなんてやだ。」
保護者の方「悔しかったんだね。今日はもう十分がんばったね。」
(少し時間を置いてから)「どのへんが難しかった?」(会話は例示です)

「だから言ったでしょ」「次があるから大丈夫」と言いたくなる場面でもあります。ただ、先に気持ちを受け止めておかないと、励ましの言葉も子どもには届きにくいものです。

落ち着いてからの振り返りは、次の順番が目安です。全部をその日に終わらせる必要はありません。

  1. 気持ちを受け止める
  2. 何が起きたかを、事実として振り返る
  3. 次にできることを1つだけ決める

ゲーム・動画の場面(両立のルール例)

ゲームや動画は、自分で「やめる」力が必要になる身近な場面です。禁止してしまうのではなく、時間の区切りとルールをいっしょに決める練習にもなります。ルールの例を挙げます(例示です。ご家庭の方針に合わせて調整してください)。

  • 時間は「宿題のあと30分」など、区切りを具体的に決める
  • 終わる5分前に声かけして、「次の区切りで終わりにしよう」と予告する
  • タイマーは子ども自身がセットする(自分で止めた経験を増やす)
  • ルールは言い渡すのではなく、「どうしたらやめられそう?」といっしょに決める

声かけの例(例示):
「あと5分だよ。次の区切りで終わりにしよう」「時間どおりにやめられたね。自分で止められたのは立派だよ」。

それでも、ルールが守れない日はあります。そのときは、罰を与える前に、ルールのどこを見直すか考えます。見直すポイントの例です。

  • 時間の長さ
    「30分」がそのゲームの区切りに合っているか。1プレイの途中で止めなければならない設定になっていないか。
  • 終わりのタイミング
    時刻で区切るより「このステージが終わったら」など、区切りをつけやすい決め方にできないか。
  • 例外の扱い
    友達と約束して遊ぶ日など、あらかじめ例外として扱う日のルールを決めているか。

時間を超えてしまった日は、その場で責めるより「明日はどうする?」と、翌日のルールを考えます。タイマーの使い方やルールの決め方そのものが合っていないと感じたときも、ルールの例に戻って本人といっしょに決め直します。守れなかったときは、罰を与えるのではなくルールを調整します。こうしたやり取りを繰り返すことで、自分で区切りをつける練習ができます。ゲームや動画の場面は、保護者の方もイライラしやすいものです。

保護者の方自身がイライラしたとき

毎日の生活で、イライラすること自体は自然なことです。常に穏やかでいる必要はありません。大切なのは、イライラしたあとの対応です。対処の例を挙げます。

  • その場をいったん終える
    「今日はここまでにしよう」と区切ります。諦めではなく、気持ちを整理するための対応です。
  • 自分の気持ちを認める
    子どもに「悔しかったんだね」と言うのと同じように、「イライラしていたな」と自分の気持ちも認めます。
  • 翌日、落ち着いてやり直す
    「昨日は言いすぎちゃったね。ごめん」と伝えてから、もう一度向き合います。

保護者の方が気持ちを整理してやり直す姿は、子どもにとっての見本になります。保護者の方の姿勢も、子どもを支える環境の一つです。うまくいかなかった日があっても、自分を責めすぎず、落ち着いてからやり直せば大丈夫です。

心配なときの見分け方と相談の目安

様子の変化が気になったとき、「ただの疲れかな」「何かのサインかな」と迷うのは自然です。医学的な判断は専門家に任せ、ご家庭では状況を整理し、必要に応じて確認・環境調整・相談を行います。

様子を見てよい場面(一時的・場面限定)

次のような場合は、少し時間を置いて様子を見てもよいでしょう。

  • 特定の場面だけで起きている:苦手な教科の宿題のときだけ進まない、など
  • 一時的な変化:変化が始まってから間もなく、少しずつ落ち着いてきている
  • 環境の変化の直後:新学期やクラス替え、引っ越しのあとなど

非認知的能力は一律に高まるものではなく、一見、低下しているように見えても発達の遅れとは限りません。「最近できなくなった」が一時的なものかどうかは、少し長い期間で見ると判断しやすくなります。

観察と環境調整の視点(いつから・どの場面で・何が起きているか)

心配なときほど、「いつから・どの場面で・何が起きているか」の3点を意識して様子を見ます。メモ帳に一言残す程度で十分です。記録があると、後で振り返るときも、相談するときも役立ちます。

観察メモの記入例(例示です)
「10月15日(火)19時ごろ、算数の宿題の文章題で約15分、手が止まる。『わからない』と言うが、教科書の例題をいっしょに見たら自分で解き直せた。翌週の同じ単元の宿題には、すぐ取りかかった」

観察にあわせて、環境を少し変えてみることもできます。調整の例を挙げます。

  • 寝る時間を30分早めて、翌日の様子を見る
  • 宿題に取り組む時間帯を、夕方から食前などに変えてみる
  • 机のまわりの気が散るものを、いったん片づける
  • 声かけのタイミングを、始める前から一段落したあとに変えてみる

観察した状況は、次の6つに分けて整理すると、次の対応を決めやすくなります。医学的な原因を診断するものではなく、ご家庭で観察できる状況をもとにした確認と対応の目安です。

ご家庭で見えるサイン(状況)最初に確認すること最初の対応
【つまずき】特定の教科や単元の宿題だけ進まない。「わからない」のまま止まる。いつから、どの単元で止まっているか。教科書の例題なら解けるか。教科書の目次→授業のノート→例題→練習問題の順に、戻る地点を探す(「勉強・宿題の場面」の手順)。
【やり方が分からない】机には向かうが手が動かない。準備や片づけに時間がかかる。「今日は何を、どの順でやるか」を本人が説明できるか。始め方をいっしょに決める。「今日やることを1つ選ぶ→最初の1問だけ手をつける」から始める。
【疲れ】眠そうにしている。朝起きられない。週の後半に崩れやすい。就寝時刻、食事、習い事や予定の密度。曜日や時期と重なっていないか。学習より先に生活面を確認する。就寝時刻を早める、予定を減らすなど。
【反発】「うるさい」「あとでやる」が増え、声かけでこじれる。声かけのタイミングや言い方。一方的な指示が続いていないか。指示をいったんやめ、選択肢を2つ出す(「今やるか、ごはんのあとにするか、どっちにする?」)。
【失敗への強い恐れ】「どうせできない」と初めから避ける。間違いを消して隠す。最近つらい失敗があったか。結果だけをたずねる声かけになっていないか。結果より過程を認める声かけに切り替え、「まず1問」など小さな挑戦から再開する。
【長期間・複数の場面】困っている様子が長期間続く。家以外の場面でも同じ困りごとがある。学校でも同様か。本人が強くつらそうにしていないか。観察メモを整理して学校の先生に相談する(「相談を考える目安」)。

このうち反発が強いときの選択肢は、2つまでに絞り、どちらを選んでも前に進めるものにします。「やるか、やらないか」の選択は反発を強めやすいので、「今やるか、ごはんのあとにするか」のように選択肢を出します。選んだあとは、そのとおりにできたことを認めます。

相談を考える目安(学校の先生・スクールカウンセラーなど)

次のような場合は、ご家庭だけで抱え込まず、相談を考える目安になります。

  • 長期間にわたって、困っている様子が続いている
  • 家だけでなく、学校や習い事など複数の場面で同じ困りごとがある
  • 本人が強くつらそうにしている

最初の相談先は、学校の先生(担任)です。「家ではこんな様子ですが、学校ではどうですか」と、観察した状況を伝えます。メモがあると伝えやすいでしょう。相談は「悪い報告」ではなく、状況の共有です。

学校に状況を伝えるときは、次の項目を整理しておくと伝えやすくなります。観察メモをもとにまとめておきましょう。

  • いつ、いつから
    気になり始めた時期、起きやすい時間帯や曜日
  • 教科・場面
    特定の教科や宿題のときだけか、ご家庭以外の場面でも見られるか
  • ご家庭で試したこと
    環境調整や声かけの変更と、その結果どうなったか
  • 学校で知りたいこと
    授業中の様子、友達との関わり、同じ場面で困っていないか

学校によっては、スクールカウンセラーなど専門家による相談の場があります。担任の先生に尋ねると、教育相談の窓口など、地域の相談先につないでもらえることもあります。

発達や医学に関わる判断は、ご家庭で断定できるものではありません。気になる様子が続く場合は、学校や公的な相談窓口を頼りにしてください。

参考情報

監修:新興出版社啓林館 坂本陽一