小学生のお小遣い、いつから始める?金額の決め方と低・中・高学年の任せ方

子どもから「お小遣いがほしい」と言われた。入学や進級を機に、そろそろ考えたい。そんなときにまず知っておきたいのは、始め時を「何年生から」と決める必要はないということです。お金を使う場面があるか、欲しい物が具体的か、お金の数え方に大きなつまずきがないか。3つのサインをもとに、わが家のタイミングを判断できます。
金額について先に触れておくと、お小遣いの平均額の根拠として使われている調査には古い年度のものもあるため、平均を探すよりも、お小遣いで買う物と頻度から金額を組み立てる手順が役に立ちます。
「必要な物」と「欲しい物」の線引きや、定額・都度・報酬という渡し方にも、正解は1つではありません。子どもと一緒に決めて、3か月ごとに見直せば調整できます。最初から完璧に決めるのではなく、決めたら試し、見直す流れを作ることが大切です。
使いすぎや「これ、必要だった?」という買い物があっても、責めずに振り返れば大丈夫です。小さい額のうちに試行錯誤できることが、お小遣いのいちばんの役割だと編集部では考えています。
お小遣いはいつから?学年ではなく「使う場面」で考える
「まわりがもらい始めたから」だけで始めると、使う場面がないのにお金だけが毎月入る状態になりかねません。逆に、お金を使う場面があるのに先送りにすると、自分でやりくりする練習の機会を逃してしまいます。まず、子どもの日常を観察してみましょう。
観察するときは、週末の過ごし方、友だちとの遊び、買い物に付き添ったときの様子を1〜2週間メモしてみると判断しやすくなります。「駄菓子屋に行きたがった」「買い物でお金を渡したがった」といったできごとが重なってきたら、始めるサインがそろってきたと考えられます。
始めどきの目安となる3つのサイン
次の3つがそろった頃が、始めどきの目安です。
- 子どもだけ、または子ども同士でお金を使う場面がある(近所の店での買い物、友だちとの駄菓子屋など)
- 「これが欲しい」と具体的な物が出てきた(お菓子、カード、キャラクターグッズなど)
- お金の数え方や簡単な計算に大きなつまずきがない(硬貨の区別がつく、100円の中から払えるなど)
3つすべてが完璧にそろっている必要はありません。「場面と欲しい物はあるが、計算は練習中」という段階で、少額から始めるご家庭もあります。迷ったときは、次の準備から始める方法もあります。
「まだ早いかも」と感じたときの準備(支払いの練習・都度から始める)
サインがまだそろわないと感じたら、定期のお小遣いを始める前に、買い物の中で練習する方法があります。たとえば、次のような方法です。
- 買い物の会計で、お金を子どもに数えてもらい、店員さんに渡してもらう
- おつりを受け取ったら、いくら戻ってきたかを一緒に確認する
- 欲しい物があったときにその都度お金を渡し、「今回はこれを買ったね」と振り返る
こうした経験の中で「自分で買いたい」「貯めて買いたい」という気持ちが育ってきた頃が、定期のお小遣いを始める目安です。
金額は「平均」ではなく「支出範囲」から決める
平均額を載せていない理由
インターネットで検索すると、学年別の平均額や「もらっている人が多い金額」が多く見つかります。ただ、その根拠とされる調査には古い年度のものもあり、信頼できる最新の公的なデータは確認できませんでした。
物価も、キャッシュレス決済の広がり方も年々変わっています。古い平均を目安にすると実態とずれる可能性があるため、ナビクロでは平均額をお示ししない方針です。代わりに、お小遣いで買う物と頻度から金額を組み立てる考え方が役に立ちます。
支出から逆算する4つの手順
手順は4つです。紙とペン、またはスマートフォンのメモがあれば、短時間でできます。
- お小遣いで買う物を書き出す(お菓子、カード、好みの文房具など。線引きは次の章で決めます)
- それぞれの買う頻度を決める(「お菓子は週1回まで」のように、回数の上限もここで決めます)
- 合計金額に少しの予備費を足す(急な予定や値段の違いに備える分)
- 3か月ごとに子どもと見直す(足りない・余るを確認して調整)
予備費は多くしすぎないのがコツです。不足のたびに追加で渡していると、決めた金額の意味が薄れるため、まず少なめに設定し、見直しのタイミングで話し合う方が作りやすくなります。
金額の仮の例(あくまで計算例として例示)
組み立て方のイメージをつかむための仮の計算例です。地域やご家庭の方針によって金額は変わります。この数字そのものではなく、手順の参考にしてください。
計算例:
・お菓子(週1回・1回100円まで)……100円×4週=400円
・予備費……100円
・合計……月500円でスタート
「たまには150円の物も買いたい」と子どもが言い出したら、お菓子を週1回から2週に1回にして差額を貯める、といったやりくりの仕方を一緒に考えられます。金額は決めて終わりではなく、必要に応じて話し合いながら調整しましょう。
「必要な物」と「欲しい物」の線引きを先に決める
金額を書き出す前に、どこまでをお小遣いで買うのかを決めておくと、金額のぶれを防ぎやすくなります。「言われてみれば決めていなかった」というご家庭も少なくありません。
家計から出す物・お小遣いで買う物の例
| 家計から出す物の例 | お小遣いで買う物の例 |
|---|---|
| 学校指定の学用品・体操服など | お菓子・ジュース |
| 給食費など学校生活に必要な費用 | 遊び(カード・おもちゃ・ゲームソフト) |
| 基本の文房具(鉛筆・消しゴム・無地のノート) | キャラクターグッズ |
| 学校の行事に必要な物 | 好みで選ぶ文房具(キャラクターやデザインのもの) |
分け方に正解はありません。文房具をすべてお小遣いにするご家庭もあれば、お菓子も家計から出すご家庭もあります。大切なのは、どちらから出すのかを先に決め、子どもにも伝えておくことです。
文房具・学用品はどちらから出す?
いちばん迷いやすいのが文房具です。線引きの例として、「勉強に必要な基本の物は家計、好みで選ぶ物はお小遣い」と分ける方法があります。無地のノートは家計から、キャラクターの付いたノートはお小遣いから、というイメージです。
あえて学用品の買い足しをお小遣いで任せて、物を大切にする練習の場にする考え方もあります。任せる場合は、なくなりそうな時期を保護者の方も把握しておきましょう。勉強に必要な物が買えなくなるのは避けたいところです。
子どもと線引きを決める声かけ例
線引きは保護者の方だけで決めず、子どもと一緒に考えると納得しやすくなります。声かけはあくまで例なので、子どもに合わせて言い換えてください。
声かけ例:
「これはどっちから出すと思う?」
「学校で使う普通のノートと、キャラクターのノート、同じにする?別にする?」
「お小遣いで買う物を増やすと、そのぶんお菓子の回数が減るけど、どっちがいい?」
一度決めたら、まずは3か月そのルールでやってみます。見直しのときに子どもの意見も聞く。この繰り返しで、「どちらから出すべきか」を考える習慣がついていきます。
渡し方は3タイプ。お手伝い報酬の考え方も整理する
渡し方は大きく3タイプに分かれます。1年分をまとめて渡す方法もありますが、小学生にとっては期間が長く、やりくりが難しい場合が多いでしょう。
| 渡し方 | 特徴 | 向いているご家庭 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 定額制 | 毎週・毎月など、決まった日に決まった額を渡す | 計画して使う練習をさせたい。渡し忘れを防ぎたい | 追加で渡すと約束の意味が薄れやすい。渡す日と金額を先に決める |
| 都度制 | 必要なときに相談して、そのぶんだけ渡す | 使う場面がまだ少ない。定期化の前の準備段階にしたい | 使い道を話す機会は作りやすい一方、自分でやりくりする練習はしにくい |
| 報酬制 | お手伝いなどへの報酬として渡す | お手伝いの習慣づくりとあわせたい | 家族の役割すべてが有償にならないよう、対象を決める |
定額制(毎週・毎月決まった額)
定額制は、決まった日に決まった額が入る仕組みです。子どもは「次はいつ、いくらもらえるか」を見通して使う練習ができます。低学年のうちは1か月のやりくりが難しく感じる子もいます。週1回・少額で始める方が管理しやすい場合もあります。
渡す日をカレンダーに書いておくと、保護者の方の渡し忘れも防げます。「先週のぶん、もらっていない」という言い合いを避けるために、渡した日を子ども自身に記録してもらうのも一つの案です。
都度制(必要なときに相談して渡す)
使う場面がまだ月に1〜2回という場合は、その都度渡す形でも十分に練習になります。「何に使いたいか」を相談してから渡すため、使い道を一緒に考える機会が自然に生まれます。
一方で、「貯める」「我慢して待つ」という経験は生まれにくい面があります。買いたい物の金額が大きくなり、相談の回数が増えてきたら、定額制への移行を検討するタイミングです。
報酬制と「お手伝いは家族の役割」の整理
お手伝いに報酬を出すかどうかは、意見が分かれるテーマです。どちらが正解というわけではありません。ここでは、ご家庭の方針を決めるときの考え方を紹介します。
線引きの一例です。
- 家族の一員としての役割(自分の部屋の片づけ、配膳、洗濯物たたみなど)は無償とし、お金の代わりに「ありがとう」をきちんと伝える
- 本来は保護者の方が担う特別な仕事(車の洗車、庭の草むしりなど)を丸ごと任せた場合は、報酬の対象にする
テストの点数と報酬を結びつけるかどうかも、方針が分かれます。「点数のためだけ」になると、報酬のない勉強への向き合い方が変わってしまう可能性もあります。勉強そのものへの動機づけとの関係に注意しながら、ご家庭で決めてください。
どちらを選ぶにしても共通して大切なのは、決めた理由を子どもに説明することです。「うちではこう考えるから、こう決めた」と理由を伝えることも、お金について考える機会になります。
迷ったら小さく始めて3か月で見直す
どのタイプが合うかは、やってみないとわかりません。迷ったら「少額の定額制で始めて、3か月後に見直す」のが調整しやすい方法です。週1回・欲しい物の最低額に合わせた金額など、あとから変えやすい設定から始めましょう。
見直しでは「足りなかった?」「余った?」「貯められている?」の3点を子どもと確認します。金額を上げる場合は、そのぶん任せる支出を増やす(文房具を自分で買うなど)とセットで決めると、ただの増額になるのを防ぎやすいです。
現金と記録。まず「見える化」から始める
お小遣いを始めたら、お金の形と記録の仕方も決めます。
最初は現金が向く理由と電子マネーの使いどき
始めたばかりの時期は現金が向いていると、編集部では考えています。財布の中のお金が減る感覚、おつりの硬貨の重さ。目に見えて手に触れる経験が、「使う」と「減る」を結びつけやすいからです。
電子マネーには、履歴が自動で残る利点があります。一方で、画面の数字の変化だけでは残高の感覚が薄れやすく、大人でも使いすぎてしまうことがあります。使う場合は、プリペイド式(前払い)にする、保護者の方と一緒に現金でチャージする、月1回履歴を一緒に確認する、といった工夫で、お金の動きを見えやすくしましょう。
お小遣い帳のつけ方と続かないときの工夫
お小遣い帳は、最初から立派なものを目指さないのが続けるコツです。項目は「日付・使った物・金額」の3つだけ。ノートの切れ端でも始められます。
金融広報中央委員会の公式アーカイブに公開されている教材「こづかい帳」(対象は小学生の低・中・高学年)でも、おこづかいの使い方を記録することは、健全な金銭感覚を身につけるうえで役立つと紹介されています。
続かないときは、ハードルを下げます。買い物のたびに書くのが難しければ、レシートを袋や箱に入れておき、週1回まとめて書く形に変えます。「書けていない=だらしない」ではなく、仕組みが合っていないサインと考えて調整しましょう。
保護者の方が代わりに書き続けると、いつまでも本人の習慣になりません。最初の1〜2週間だけ一緒に書き、あとは「書けた?」と尋ねる程度にとどめます。
記録は算数の練習にもつながる
お小遣い帳の計算は、学校で習う算数と重なる部分があります。小学1年生では100までの数と簡単なたし算・ひき算、小学2年生では3桁の数の計算やかけ算を習います。「500円から120円使ったら、あといくら?」という計算は、小2で習うひき算の筆算の練習そのものです。
「合計は自分で計算する」という約束にすると、記録と計算の練習を同時に進められます。計算のつまずきが気になる場合は、お小遣いとは別に短時間の練習を挟む方法もあります。
どこでつまずいているかを探すときは、まず算数の教科書の目次で、たし算・ひき算を習った時期を確認します。次に授業で使ったノートの例題を一緒に見直し、例題が解けるようなら練習問題へ進みます。この順番だと、どこから練習し直せばよいかを絞りやすくなります。学年や単元に合った練習問題が必要な場合は、ナビクロのプリント一覧にも計算練習の教材がありますので、必要に応じてご活用ください。
低・中・高学年で広げる「任せ方」
お小遣いの任せ方は、段階的に広げていくのが基本です。小学1年生・2年生の低学年、小学3年生・4年生の中学年、小学5年生・6年生の高学年ごとに、「任せる範囲」と「見守る範囲」の例を一覧にしました。あくまで目安なので、子どもの様子に合わせて調整してください。
| 学年 | 任せる範囲の例 | 見守る範囲の例 |
|---|---|---|
| 低学年(小1・小2) | 店頭でお金を数えて払う。買う物を自分で選ぶ。 | 支払いに保護者の方が付き添う。使い道をあとで一緒に話す。 |
| 中学年(小3・小4) | お小遣いの保管と管理。貯めて買う計画を立てる。 | お小遣い帳や残高の確認。目標が無理のない設定になっているか。 |
| 高学年(小5・小6) | 月のやりくり計画。ゲームソフト購入や友だちとの外出への備え。 | 課金ルールの確認。友だちとのお金のやりとりの有無。 |
低学年(小1・小2):一緒に数えて、使い道を話す
小1・小2のうちは、お金の計算そのものが練習段階です。お店では「いくら出せばいいか」を一緒に考え、おつりを確認する習慣をつけましょう。買った物について「どうだった?」と感想を聞くことで、振り返る習慣を作れます。
支給日から振り返りまで、無理なく続ける流れの例です。曜日や回数、かかる時間はあくまで例であり、一律の基準ではありません。ご家庭の予定に合わせてください。
流れの例(低学年):
支給日(週1回)……保護者の方と一緒に硬貨を数えて受け取り、財布に入れる。
買い物の日……レジで「いくら出せばいいか」を一緒に考え、おつりを確認する。
帰宅後……レシートを見ながら「日付・使った物・金額」を書く。最初は保護者の方が書き方を見せる。
週の終わり……「今週買った物でいちばんよかったのはどれ?」と感想を話す。
この時期にお小遣い帳を始める場合は、保護者の方がそばで書き方を見せながら進めます。完璧でなくて構いません。「記録すること」に慣れるのが目標です。
中学年(小3・小4):自分で管理し、貯めて買う経験
小3・小4になると、欲しい物の値段が上がり、「貯めて買う」経験ができるようになります。500円の物のために週100円を5週間貯める、といった目標を立てて、貯金箱や封筒で管理する姿が見られたら、計画して貯める力がついてきたサインです。
この時期は管理を本人に任せつつ、月1回程度は残高や記録を一緒に見る時間を持ちましょう。任せることと、まったく見ないことは違います。
高学年(小5・小6):計画してやりくり、課金ルールの確認
小5・小6では、ゲームソフトや本、友だちとの外出など、支出の種類が増えてきます。月の初めに「今月の予定」を一緒に書き出し、いくら必要かを見積もる練習が、小学生のやりくりのまとめになります。
こちらも、時間や進め方はあくまで例であり、一律の基準ではありません。
流れの例(高学年):
月初……今月の予定(友だちとの外出、欲しい物)を書き出し、必要な金額を見積もる。
支給日……自分で金額を確認して受け取り、お小遣い帳に記入する。
月中……買い物や支払いは本人に任せ、レシートは袋に入れておく。
月末……15分ほどの振り返りの時間。帳面とレシートをつき合わせて「足りた・余った・貯められた」を確認し、来月の予定につなげる。
同時に、ゲーム課金や友だちとのお金のやりとりが身近になる時期でもあります。後半のルールの章とあわせて、「困ったら隠さず相談する」という関係を作っておくことが大切です。
使いすぎ・「無駄遣い?」に見えるときの対応と声かけ
お小遣いを始めると、「使いすぎ」や「もったいない買い物」をすることがあります。対応するときは、「責めない・追加は渡さない・一緒に振り返る」の3つを意識します。
使い切った・追加をねだられたときの声かけ例
お小遣いを使い切って「追加でちょうだい」と言われたら、原則として追加は渡しません。その代わりに一緒に振り返ります。声かけはあくまで例です。
声かけ例:
「次のお小遣いの日まで待てそう?」
「何に使ったか、一緒に見てみる?」
「次はどうしたい?」
実際のやりとりでは、すぐに答えが返ってこないこともあります。声をかけてから翌日に見直すまでの流れを、会話例で紹介します。
会話例:
保護者「お小遣い、使い切っちゃったんだね。次のお小遣いの日まであと5日あるけど、待てそう?」
子ども「……」(返事がない)
保護者「今すぐ決めなくて大丈夫。『このまま待つ』か『今回の買い物はあきらめる』か、明日の朝教えて。追加は渡さない約束だから、そこは変わらないよ。」
(翌朝)保護者「昨日の話、どうする?」
子ども「待つことにした。」
保護者「そうか、自分で決めたんだね。何に使ったか、一緒に見てみようか。」
返事がないときは、答えを急かさず選択肢を示して、考える時間を作ります。一晩おくと気持ちが落ち着き、子ども自身が納得して決めやすくなります。「待てそう?」と尋ねることで、待てないなら何が足りなかったのか(金額の設定か、使い方か)の話し合いにつながります。設定が実態に合っていないとわかれば、見直しのタイミングで調整できます。
大人から見て「もったいない」買い物への向き合い方
すぐに飽きそうなおもちゃ、保護者の方から見て「高い」と感じるキャラクターグッズ。ルールの範囲内であれば、まずは本人の選択として受け止めます。買ったあとの感想を聞くことが、振り返りになります。
声かけ例:
「買ってみてどうだった?」
「思っていたのと違った?」
「次も同じ物を買いたいと思う?」
「失敗したでしょ」と保護者の方が結論を出すのではなく、子ども自身が「次はやめておこう」「やっぱり欲しかった」と感じるのを待ちます。失敗は小さい額のうちにできる練習と考えて見守るのが、編集部の提案です。
くり返し足りなくなるときの原因の見分け(観察→確認→相談)
一度きりの使いすぎは練習のうちですが、くり返し足りなくなる場合は、原因を見分けると対応しやすくなります。医学的な診断ではなく、ご家庭で観察できる状況から考えるための対応表です。
問い詰める前に、1〜2週間ほどできごとをメモしてみる方法もあります。日付と金額、どんな場面だったかを書きとめておくと、パターンが見えやすくなります。
観察メモの記入例(あくまで書き方の例です):
5月10日(土)お小遣いの日、100円渡す。
5月11日(日)駄菓子屋で80円使う(お菓子)。のこり20円。
5月13日(火)「追加でちょうだい」と言う。「次の支給日まで待とう」と伝える。
5月17日(土)お小遣いの日。先週は待てた。
| ご家庭で見えるサイン | 最初に確認すること | 最初の対応 |
|---|---|---|
| 買う物は決まっているが、計画より早く使い切る | 欲しい物の値段と、次の支給日までの日数を一緒に数える | 次の支給日まで待つ練習。見直し時に設定額が実態に合っているか検討する。 |
| 何に使ったか思い出せない・記録がない | お小遣い帳やレシートが残っているか | 記録のハードルを下げる(レシートを袋に入れて週1回まとめ書き)。 |
| 追加の要求がくり返される | これまで追加で渡したことがあるか、渡す条件がぶれていないか | 「追加は渡さない」約束を家族で確認し直す。支給日をカレンダーに書く。 |
| 友だちといる場面での支出が多い | おごり・おごられ・貸し借りがないか | 貸し借り・おごりは「しない」約束の再確認。心配が続くなら学校の担任へ相談する。 |
| ゲームへの支出が疑われる | 課金履歴と端末の購入設定。約束を守れているか | 課金ルールの再確認。高額な場合は消費生活センターへ相談する。 |
| 欲しい物が次々に変わって、貯められない | 目標の物とその値段を具体的に調べたことがあるか | 値段と必要な週数を一緒に計算し、貯金箱や封筒で目標ごとに分けて管理する。 |
確認するときは、問い詰めるのではなく「一緒に見よう」の姿勢で。隠してしまうと、原因が見えにくくなります。
保護者のイライラと「放っておく範囲」の決め方
お小遣いを始めると、保護者の方のストレスも増えます。「それ、本当に必要?」と口を出したくなる場面もあります。ただ、細かく干渉しすぎると、子どものお金の使い方の傾向(何を大切にするのか、貯められるのか)が見えにくくなることもあります。
あらかじめ「口を出す範囲」と「放っておく範囲」を決めておくと、判断に迷いにくくなります。
- 口を出す範囲の例:課金や貸し借りなどのルール違反、安全や健康に関わる買い物
- 放っておく範囲の例:ルール内での買い物の好み(色・キャラクター・値段の感覚)
日常の小さなモヤモヤは、月1回の「お金の話をする時間」にまとめてしまうのも一案です(例示)。お小遣い帳を見ながら15分話すと決めておけば、日々細かく指摘する必要がなくなり、親子ともにイライラしにくくなります。
先に決めておきたいルールと相談の目安
トラブルは起きてからではなく、起きる前に約束を決めておくと対応しやすくなります。いずれも「わが家の約束」として、子どもと一緒に決める形にしてください。
ゲーム課金・投げ銭の可否と条件
まず、課金や配信への投げ銭を許可するかどうかを決めます。許可する場合は、金額の上限と「使ったら必ず報告する」約束をセットにします。許可しない場合は、「なぜダメなのか」を子どもが納得できる言葉で説明しておきましょう。
保護者の方のクレジットカードが端末に登録されていると、子どもに悪意がなくても高額な支払いになることがあります。購入時にパスワードを求める設定など、端末側の確認もあわせて行っておくと安心です。
約束を守れなかったときは、お小遣いの停止や没収といった罰を与えるよりも、ルールのどこを見直すかを考えます。罰で応えると、次から隠すようになってしまう可能性があるからです。確認するポイントの例です。
- 金額の上限は現実的だったか(欲しい物の値段と上限がかけ離れていないか)
- 「使ったら報告する」約束は具体的だったか(いつ・誰に・どう伝えるかまで決まっていたか)
- 端末の設定は適切だったか(購入時のパスワード、カード情報の登録状態)
- 許可する範囲の線引きは本人に伝わっていたか(何がよくて何がだめかを言葉で確認し合えていたか)
見直した結果は、「上限を月500円に変える」「報告は使ったその日に口で伝える」のように、次の具体的な約束に変えます(金額は例示です)。
友だちとの貸し借り・おごりは原則なし
友だちとのお金の貸し借り、おごり・おごられは、原則として「しない」と決めておきましょう。金額が小さくても、人間関係のトラブルに発展しやすい行為だからです。
「頼まれたら断りにくい」子もいます。「うちは貸し借りしない約束だから」と言えるようにしておくと、断りやすくなります。渡してしまった、請求されているなど、困ったことがあれば保護者の方に相談するよう、日頃から伝えておきましょう。
お年玉・祖父母からのお小遣いの扱い
お年玉や祖父母からのお小遣いは、月々のお小遣いより金額が大きくなりやすいものです。「いくらもらったか教えて」と確認し、渡し方と管理の方針を家族で決めておきます。
全部を自由にするか、一部を貯金に回すか、毎月のお小遣いとは別に管理するか。祖父母から渡す頻度や金額が多めの場合は、保護者の方から祖父母へ家庭の方針を伝えておくのも、トラブルの予防になります。
困ったときの相談先の目安
お金に関する困りごとが続く場合の相談先の目安です。
| 観察できる状況 | 相談先の目安 |
|---|---|
| 友だちとのお金のトラブル(貸し借り・おごりの強要など)。 | まず学校の担任へ。無理な要求が続く場合はスクールカウンセラーへ。 |
| 高額な課金が疑われる。契約や支払いの問題。 | お住まいの自治体の消費生活センター |
| 隠れて使う・事実と違う報告が続き、話し合いが難しい。 | まず学校の担任に状況を共有し、連携して対応を考える。 |
学校に相談するときは、次の項目をメモしておくと、短い時間でも状況を伝えやすくなります。
- いつ:気になり始めた時期と頻度(例:4月ごろから、週に2〜3回)
- どんな場面で:誰と・どこで・何があったか(例:休み時間に同じ学年の子からお金を出すよう言われる様子)
- ご家庭で試したこと:ルールの再確認、話し合い、記録の見直しなど、すでに行った対応
- 学校で知りたいこと:学校での様子や友だち関係、ご家庭でできる対応への助言
「貸し借りはしない約束にしている」といったご家庭の方針も伝えておくと、学校とご家庭で対応をそろえやすくなります。どの場合もいちばん大切なのは、普段から「子どもが隠さず話せる関係」を作っておくことです。相談しても責められないという安心感があると、トラブルが大きくなる前に相談しやすくなります。
まとめ
お小遣いの始め方は、次の順番で決めると迷いにくくなります。
- 場面:子どもにお金を使う場面があるかを観察する
- 範囲:家計とお小遣いの線引きを子どもと決める
- 金額:支出と頻度から組み立て、予備費を足す
- 渡し方:定額・都度・報酬から選び、小さく始める
- ルール:課金・貸し借り・臨時収入の約束を先に決める
3か月ごとに見直す前提なら、最初の設定が完璧でなくても大丈夫です。使いすぎも「もったいない」買い物も、小さい額のうちにできる練習と考えて、責めずに振り返る。それだけで、お小遣いは十分に学びの場になります。
まずは、「これはどっちから出すと思う?」と聞いてみてください。線引きについて話し始めれば、金額や渡し方も順番に決めやすくなります。
参考情報
- 金融広報中央委員会「こづかい帳(おこづかいきろく)」(公式アーカイブ。現行事業ではなく、配付の受付や最新の平均額を示すものではありません。対象は小学生の低・中・高学年の教材です)
- ナビクロ「プリント一覧」(追加の計算練習が必要と感じた場合の案内先です。効果を保証するものではありません)
監修:新興出版社啓林館 坂本陽一