中学生の勉強時間はどう決める?部活や睡眠と両立するご家庭の工夫と声かけ例

「中学生になったわが子の勉強時間は、これで足りているのだろうか」。部活や通学で帰宅が遅くなると、そんな不安がよぎることもあるかもしれません。全国平均や学年別の「何時間」という数値は、もとの統計を確認できないため、ここでは断定しません。
では、何を目安に決めればよいのでしょうか。勉強時間は平均ではなく、1日の固定枠からの引き算で決めます。固定枠とは、部活・通学・食事・睡眠など、毎日欠かせない時間のことです。1日24時間から固定枠を引いた残りの中に、無理なく続けられる学習の枠を設けます。
このとき、睡眠と食事は固定枠として削りません。夜更かししてまで学習時間を増やす提案はしていません。なお、中学生に必要な睡眠時間の具体的な目安は公的な資料で確認できないため掲載しません。睡眠については別テーマの記事で扱います。
時間を決めるときは、子ども自身にも参加してもらうことが大切です。北海道教育委員会の資料でも、学習時間の目安や目標・優先順位は子どもと話し合って決めること、目安は一律の基準ではなく各ご家庭・地域・子どもの実態に応じて設定する参考資料であることが示されています。時間の決め方に正解はなく、ご家庭の実態に合わせて調整することが前提です。
中学生の勉強時間は「平均」ではなく生活の固定枠から決める
まず押さえたい基本:時間は固定枠からの引き算で決める
具体的な手順は4つです。特別な道具はいりません。紙とペンがあれば、今日から始められます。
- 固定枠を書き出す:起床、登校・通学、部活動、帰宅、食事、入浴、就寝の時刻を書きます
- 残りを計算する:1日24時間から固定枠を引き、「使える時間」を出します
- 学習の枠を決める:残りの中から、毎日続けられそうな長さと時間帯を1つ決めます
- 子どもと確かめる:「この時間なら続けられそう?」と本人に聞き、納得できる時間か確かめます
ポイントは、学習時間を先に決め、それに生活を無理に合わせないことです。先に生活の固定枠を確保してから残りで考えるので、続けやすい計画になります。
睡眠と食事は削らない
時間が足りないとき、真っ先に削られがちなのが睡眠と食事です。しかし、この2つは固定枠の中でも最優先で守る時間です。削って時間を作るのではなく、次の2つの方法で調整します。
1つ目は、学習の中身を絞ることです。「固定枠を引いたら、学習に使える時間がほとんど残らなかった」という場合は、その日の学習を宿題とその日の復習に絞ります。2つ目は、曜日ごとに量を調整することです。部活のある日は短い枠にとどめ、部活のない日や休日に見直しの時間を多めに取ります。中身の絞り方は「確保した時間で何をするか(教科書・ノート・例題の見直し方)」の章、曜日ごとの配分は「普段の日・定期テスト前・休日の優先順位と記録の見直し」の章で紹介します。
平日に使える時間の例(部活のある日・ない日)
帰宅後の流れを例に、固定枠からの引き算を考えてみましょう。下の表はご家庭で調整する例です。時刻はご家庭の生活に合わせてずらして構いません。
| 項目 | 部活のある日 | 部活のない日 |
|---|---|---|
| 帰宅 | 18時半ごろ | 16時半ごろ |
| 夕食・入浴などの固定枠 | 18時半〜20時 | 16時半〜17時(休憩)、18時〜18時半(夕食)、19時〜20時(入浴) |
| 学習の枠の例 | 20時〜20時40分(40分) | 17時〜18時(1時間)、18時半〜19時(夕食後30分) |
| 就寝 | いつもの時刻を守る | いつもの時刻を守る |
部活のある日は40分と短めでも構いません。「部活のある日とない日で同じ長さにしなければ」と考える必要はなく、生活に合わせて枠の長さを変えるのがこの決め方の利点です。翌日の持ち物準備や翌朝の時間も固定枠に含めて考えると、計画に入れ忘れずに済みます。
学年ごとの時間の考え方(中1・中2・中3)
同じ「中学生」でも、学年によって生活も学習内容も変わります。ここでも一律の時間は示さず、学年ごとに何を優先して枠を決めるかを示します。あわせて、帰宅から就寝までの流れの例も挙げますが、時刻はあくまで例であり、一律の基準ではありません。
中1:まず毎日机に向かう習慣づくり
中学1年生は、環境の変化に慣れる時期です。教科が増え、宿題の出方も小学校とは変わります。この時期は量よりも、「毎日決まった時間に机に向かう」習慣を作ることを優先しましょう。
最初は10〜15分の短い枠でも構いません。毎日続けられたという成功体験の積み重ねが、中2以降の土台になります。枠が生活に定着してきたら、子どもと相談しながら少しずつ内容を増やします。
帰宅から就寝までの流れの例(部活のない日):16時半に帰宅、17時まで休憩と軽食、17時〜17時半に宿題、17時半〜18時にその日の教科書とノートの確認、夕食と入浴、20時半〜20時45分に翌日の持ち物準備と英語の音声確認、いつもの時刻に就寝。中1のうちは「短い枠を2か所に分ける」形にすると、長時間座り続ける負担を減らせます。
中2:部活が忙しくなる時期こそ短い枠を守る
中学2年生は、部活動で大会が重なったり、役割が増えたりして、最も帰宅が遅くなりがちな時期です。ここでゼロの日が続くと、学習習慣の再開が難しくなります。
疲れている日こそ、枠をなくすのではなく短くします。15〜20分でも、その日の授業の教科書とノートを確かめる時間が取れれば十分です。この時期は、「毎日少しだけ机に向かう」リズムを切らさないことを最優先にしましょう。
中3:受験を意識しつつ急には増やさない
中学3年生になると、高校受験を意識して「急に何時間も増やさなければ」と焦ることもあります。しかし、それまでの習慣を無視して枠を倍にすると、計画が崩れやすくなります。
基本は、中1・中2で作ってきた枠を土台に、週単位で少しずつ伸ばすことです。部活動を引退する時期は固定枠そのものが変わるので、引き算をやり直して新しい枠を決める節目になります。受験に向けた組み立ては、次の章の「定期テスト前」の考え方を応用できます。
帰宅から就寝までの流れの例(部活引退後):17時ごろ帰宅、17時半まで休憩、17時半〜18時半に理科と社会の見直し、夕食と入浴、20時〜21時に数学と英語の演習、21時〜21時15分に翌日の準備とその日の記録、いつもの時刻に就寝。引退後に空いた時間のすべてを学習に充てるのではなく、休む時間も固定枠として残しておくと続けやすくなります。
普段の日・定期テスト前・休日の優先順位と記録の見直し
普段の日:宿題とその日の復習を先に
普段の日の優先順位は次のとおりです。最初の2つが終わったら、その日の学習は完了で構いません。
- 提出物・宿題(期限が近いものから)
- その日の授業の復習(教科書とノートの確認)
- 余裕がある日だけ:苦手教科の見直し、テストに向けた早めの準備
「今日は何をやればいいの?」と聞かれたら、この順番をそのまま伝えてください。順番が決まっているだけで、机に座ってから手が止まる時間は減ります。
定期テスト前:範囲表が配布されたら学校の範囲に沿って組み立てる
定期テストの対策は、学校からテストの範囲表が配布されたら組み立てを始めます。範囲表をもとに、教科書に沿って計画を立てます。開始時期の一例として、約2週間前から始めると、部活のある日とない日にメリハリをつけやすくなります。
組み立ての手順は、まず範囲表を見て教科ごとの分量を確認します。次に試験日から逆算して、曜日ごとに取り組む教科を決めます。部活のある日は軽めの教科、部活のない日や休日は分量の多い教科にすると無理がありません。
休日:まとめて見直す時間と休む時間を分ける
休日は、平日に十分できなかった見直しをまとめて行う時間と、休む時間をはっきり分けます。1日中だらだら机に座るより、「午前の1時間だけ」「夕食前の40分だけ」と枠を決める方が集中しやすく、休む時間も確保できます。
休日に扱う内容は、平日に間違えた問題の解き直しや、1週間分のノートの見返しが向いています。休むことも計画の一部です。部活の大会などで休日が埋まる週は、無理に学習枠を足さず、翌週で調整します。
1週間の記録と見直し方(観察メモの記入例)
決めた枠が生活に合っているかは、1週間単位で記録して見直すとわかります。以下は、編集上の提案として示す記入例です。厳密な管理表ではなく、保護者の方がふり返りに使うメモとしてご活用ください。
| 曜日 | 予定の枠 | 実際にできた時間 | 様子メモ |
|---|---|---|---|
| 月(部活) | 20時〜20時40分 | 30分 | 疲れ気味。宿題だけ終了 |
| 水(部活なし) | 17時〜18時 | 1時間 | 数学の解き直しまでできた |
| 金(部活) | 20時〜20時40分 | 0分 | 大会前で帰宅が遅い |
| 土(休日) | 10時〜11時 | 1時間 | 金曜分の見直しをまとめて実施 |
見直しのタイミングは、週末のほか、定期テストが終わったあと、そして進級の時期です。できなかった日があっても責めるための記録ではありません。「金曜は毎週ゼロになるなら、金曜の枠を別の曜日に移そうか」と、計画を調整するために使います。目安は一律の基準ではなく、進級時などに見直すものだという点は、先の北海道教育委員会の資料でも示されています。
確保した時間で何をするか(教科書・ノート・例題の見直し方)
せっかく確保した枠も、中身が曖昧だと手が止まります。ここでは勉強法全般には踏み込まず、学校で習う順序に沿って「時間の中身」をどう決めるかに絞って紹介します。
その日習った順に教科書とノートを確かめる
復習の第一歩は、その日の時間割の順に、教科書とノートを開いて確かめることです。教科書のどのページを扱ったか、ノートに何を書いたか、先生が強調していた部分はどこかを、1教科あたり数分ずつ振り返ります。
確かめる際は「読む」だけでなく「説明できるか」を基準にします。教科書の大事な部分を指でなぞりながら、内容を自分の言葉で言えるか試すと、理解の抜け漏れに気づきやすくなります。千葉県教育委員会の家庭学習の手引きでも、授業で扱った学習をご家庭で確かめる方法や各学年の内容例が紹介されており、参考になります。
例題と学校のワークの解き直し
教科書とノートの確認ができたら、次は手を動かします。まず教科書の例題を、答えを隠してもう一度解きます。授業で解いたはずの例題が家で一人で解けるかどうかが、理解できているかの確認になります。
そのうえで、学校のワークやプリントで間違えた問題の解き直しを行います。新しい問題集に手を広げるより、まず学校で使っている教材を確実に復習する方が、定期テストの範囲とも重なり、進めやすくなります。
つまずいている様子が見えるときは、どこからわからなくなったかを次の順で確認します。まず教科書の目次を開き、いま習っている単元とその前の単元の並びを確かめます。次に授業で使ったノートをさかのぼり、板書の量が減ったり写し間違いが増えたりしている時期を探します。そこから教科書の例題を解き直し、解けたら練習問題へ進みます。例題で止まるならその単元まで戻り、例題は解けても練習問題で止まるなら、授業内容が定着しているかを確かめる段階だと判断できます。
10〜20分でできることの例(教科別)
短い枠でも、教科を1つに絞れば十分に見直せます。以下はご家庭で調整する例です。
- 国語:その日扱った教材文を読み返し、新出漢字の読み書きを確かめる
- 数学:その日の例題を1〜2問、答えを隠して解き直す
- 英語:その日扱った本文や会話文を音読し、新出の語句を確かめる
- 理科:その日の授業で出た用語と、実験・観察の手順や結果をノートで確かめる
- 社会:その日の授業で出た用語と、地図・資料・グラフの読み取りを確かめる
習慣づくりの段階で、書き取りや計算など短時間で区切りのよい練習を足したい場合は、ナビクロの練習プリント一覧から関連するものを探すこともできます。掲載内容や子どもに合うかどうかは、一覧ページで確認したうえで、ご家庭で選んでください。
勉強時間が取れないときの原因の見分け方
計画どおりに時間が取れないとき、「勉強しなさい」と強く言う前に、原因を見分けます。原因は大きく4つに分けられ、それぞれ最初の一手が異なります。まず表で全体を見比べて、当てはまるものを探してください。
| 原因 | ご家庭で見えるサイン | 最初に確認すること | 最初の対応 |
|---|---|---|---|
| 物理的に時間がない | 帰宅が遅く、机に向かう姿が週のほとんどで見られない | 1週間の帰宅・就寝時刻と固定枠 | 固定枠を親子で書き出し、学習する時間帯を曜日ごとに組み直す |
| 何をすればよいかわからない | 机には座るが手が止まり、「何をやればいいの」と聞く | その日の宿題と時間割が把握できているか | やることの順番を「宿題→その日の復習」に固定する |
| わからないことが積み重なっている | 特定の教科を後回しにし、返却物を見せたがらない | 教科書の目次・ノート・例題の順に戻る地点を探す | その単元の例題に戻って解き直す |
| ゲーム・スマホに流れている | 「少しだけ」が1時間以上続き、学習の枠が消える | 順番と区切りの約束が決まっているか | 取り上げず、順番と区切りを一緒に決め直す |
物理的に時間がない(部活・通学・習い事)
ご家庭での見え方:
帰宅が遅く、食事と入浴を終えると就寝時間になる。机に向かう姿そのものが、週のほとんどで見られない。
「今週は何時に帰ってきたか、一緒に書き出してみようか」
最初の一手:
1週間の固定枠を親子で書き出します。部活のない曜日に枠を寄せる、朝の10分を使うなど、睡眠と食事を削らない範囲で時間帯を探します。それでも枠が作れない場合は、週末にまとめて見直す形に切り替えます。
何をすればよいかわからず手が止まる
ご家庭での見え方:
机には座るが、教科書を広げたまま動かない。「何をやればいいの」と聞いてくることが多い。時間だけが過ぎている。
「今日の宿題はどの教科? 終わったら、その日の授業の教科書を1つだけ見返してみよう」
最初の一手:
始める手順を決めます。カバンから連絡帳と宿題を出す、時間割で明日の予定を確かめる、宿題から始める、終わったら時間割の順に教科書とノートを開く。この4つの手順を紙に書いて机の近くに貼っておくと、「何から始めるか」で止まる時間が減ります。
わからないことが積み重なっている
ご家庭での見え方:
特定の教科だけ極端に後回しになる。返却されたテストやワークを見せたがらない。「どうせわからない」と口にする。
「最近の数学で、どのあたりからわかりにくい? わからないのは当然だから、場所だけ教えて」
最初の一手:
前の章で示した順番、つまり教科書の目次、授業で使ったノート、例題、練習問題の順に、戻る地点を一緒に探します。目次で単元のつながりを確かめ、ノートをさかのぼって板書の変化を見つけ、例題が解けるか試して戻る単元を決めます。戻る場所が見つからない、本人が話したがらない場合は、ご家庭だけで抱え込まず、後の章の「学校の先生などに相談する目安」を参照してください。
ゲーム・スマホに時間が流れている
ご家庭での見え方:
「少しだけ」と始めたゲームや動画が1時間以上続く。約束の区切りを何度も延長する。学習の枠が後回しになり、そのまま消える。
「ゲームが悪いという話じゃなくて、順番の約束の話をしよう。今日は何時に区切る?」
最初の一手:
取り上げではなく、順番と区切りの約束を一緒に決め直します。決め方の手順と、崩れたときの声かけは次の章で詳しく示します。
原因を見分けたあと:場面別に保護者の方の次の行動を分ける
原因を見分けたあとも、その日その日の場面で次の行動は変わります。4つの場面に分けて示します。
- 始めない場面:机に座るところから一緒に始めます。「宿題を出すところだけやろう」と、最初の1歩だけを促します。量の話はそのあとです。
- 始めるが続かない場面:枠が長すぎないか確認します。続かないのではなく、その日の疲れに対して枠が長すぎる可能性があります。「今日は15分で区切ろうか」と、短くする提案をします。
- 問題が解けず止まる場面:教え込もうとせず、「その問題は飛ばして、解けるところからやろう」と切り替えを促します。止まった問題は翌日に印をつけて持たせ、学校で質問するか、週末の見直し枠で扱います。
- 約束を守れない場面:その場で結論を出さず、事実だけ伝えて翌日以降に話し合います。「今日は区切れなかったね。土曜に約束を見直そう」と先送りにするとよいでしょう。
ゲーム・スマホと両立するためのご家庭の決めごと
禁止より「順番」と「区切り」を一緒に決める
ゲームやスマホを取り上げたり全面禁止にしたりすると、一時的には効果があっても、親子の対立を深め、隠れて使う状態を招きやすくなります。両立のカギは、禁止ではなく「順番」と「区切り」の2点を、親子で一緒に決めることです。
- 順番を決める:「宿題とその日の復習が終わってから」など、学習のあとにします
- 区切りを決める:「平日は30分」「21時まで」など、使い終える時刻か利用時間を具体的に決めます
- 場所と充電の置き場を決める:食事中や就寝前の使い方も含めて決めます
- 決めたことを書き出す:口頭だけでなく紙に書いて、見える場所に置きます
ポイントは、ルールを決めるときに子ども自身が参加することです。一方的に言い渡された約束は守りにくく、自分で決めた約束なら、見直しの話し合いにも応じてもらいやすくなります。なお、スマホのルール全般は別テーマのため、ここでは勉強時間との両立に絞って示します。
約束が崩れたときの声かけ例
約束が崩れたとき、頭ごなしに責めると、次の話し合いが難しくなります。まず事実を短く伝え、次の行動を本人に選ばせます。
「約束の時間を過ぎているよ。あと何分で区切る?」
「昨日も延長していたね。約束の時間、このままで続けられそう?」
「守れた日が増えてきたね。続いているのはえらいよ」
崩れる日が続く場合は、罰を与えるのではなく、ルールのどこを見直すかを1つずつ確かめます。分数が合っていないのか(30分では区切りにくい遊び方をしている)、時間帯が合っていないのか(学習のあとでは疲れて流れやすい)、順番の約束が曖昧なのか(「終わってから」の終わりの基準が決まっていない)、置き場所の決めごとが守りにくくなっているのか。当てはまる箇所だけを一緒に決め直し、守れている部分はそのまま残します。約束は一度決めたら終わりではなく、生活に合わせて更新するものと考えましょう。
保護者の方の関わり方:任せる範囲・声かけ・イライラとの向き合い
放っておいてよい範囲と見守る範囲
全部を管理しようとすると、親子ともに疲れてしまいます。任せる範囲と見守る範囲を分けて決めておくと、口出しと見逃しの両方を減らせます。
| 任せる範囲 | 見守る範囲 |
|---|---|
| その日にやる順番(どの教科から始めるか) | 固定枠と睡眠(就寝・食事の時刻が守られているか) |
| 方法の選択(音読するか、書き写すかなど) | 1週間の記録(決めた枠が続けられているかのふり返り) |
| 日ごとの多少のムラ(疲れて短くなる日) | 約束の更新(テスト後・進級時の見直しのタイミング) |
任せる範囲での失敗は、学びの一部です。見守る範囲に関わる事柄、たとえば就寝時刻の崩れだけは、早めに声をかけて一緒に調整します。
始める前・終わったあとの声かけ例
始める前は、指示ではなく選択を促す声かけが向いています。順番を本人に決めてもらうことで、自分の計画として取り組みやすくなります。
「今日は何から始める?」
「今日の枠は20時からだね。終わったら教えて」
声をかけても返事がなく、動かないときは、同じ言葉を繰り返すより選択肢に切り替えます。短い会話の流れの例を示します。
保護者の方「そろそろ今日の枠の時間だけど、どうする?」
子ども(返事がない)
保護者の方「宿題から始めるか、復習から始めるか、どっちがいい?」
子ども「宿題」
保護者の方「わかった。終わったら教えて」
翌日「昨日は声をかけてから始められたね。今日は始める時間を自分で決めてみる?」
返事がないこと自体を責めず、選択肢を2つに絞るのがポイントです。翌日に「昨日できたこと」をふり返る一言を添えると、前の日にうまくいかなかったやり取りを引きずらずに済みます。
終わったあとは、結果ではなく、できた行動を一緒に確かめます。短い日があっても、続いていることを認める一言が次の日につながります。
「終わったね。今日はどのあたりができた?」
「短い日もあったけど、今週は毎日座れたね」
点数や順位への言及は、テスト後のふり返りの場に限りましょう。責める言葉は学習の枠そのものへの抵抗につながりやすいため、日々の場面では使いません。
イライラしたときの保護者の方自身の整え方
計画が崩れる日が続くと、保護者の方にもイライラが溜まります。感情が強く出そうなときは、その場で指導せず、いったん離れましょう。水を飲む、別の部屋で深呼吸するだけでも、声かけのトーンは変わります。
イライラの多くは「計画どおりにいかない」ことへの焦りから生まれます。目標は完璧な実行ではなく、枠を切らさずに続けることだと思い出してください。それでも気持ちが整わない、責めてしまう日が続く場合は、一人で抱えず、パートナーや信頼できる大人、学校の先生に相談するのも一つの方法です。
学校の先生などに相談する目安
相談を考えたい様子の例
ご家庭で工夫しても次のような状態が続く場合は、ご家庭だけで抱え込まず、学校への相談を考えてみてください。いずれも診断ではなく、相談を検討する際の目安です。
- 学習時間がほぼゼロの状態が長く続いている
- 授業についていけていない気配がある(提出物が出ていない様子、返却物を隠す、教科の話題を避ける)
- 朝起きられない、食欲の変化、表情の変化など、生活面の様子の変化が続いている
誰に・何を伝えるか
相談先の第一候補は担任の先生です。特定の教科のつまずきが明確な場合は、その教科の先生に相談するのも有効です。連絡帳や電話、面談の機会など、学校の案内に沿った方法で構いません。
伝えるときは、解釈ではなく観察した事実を並べます。次の4項目をメモしておくと、限られた時間でも状況を伝えやすくなります。
- いつから:状態に気づいた時期と、続いている期間(例:「1か月ほど前から」)
- 教科・場面:とくに気になる教科や、家庭学習のどの場面で止まるか(例:「数学の宿題だけ後回しになる」)
- ご家庭で試したこと:固定枠の書き出し、順番の約束、枠の曜日移動など、試したこととその結果
- 学校で知りたいこと:授業中の様子、提出物の状況、学校で相談できる窓口など、聞きたいこと
例えば次のように伝えると、学校側も状況を把握しやすくなります。
「1か月ほど、家庭学習の時間がほぼ取れない状態が続いています。帰宅時刻と就寝時刻はこのとおりです。家庭では固定枠の書き出しと、宿題から始める順番の約束を試しました。学校での様子、とくに授業中や提出物の状況はいかがでしょうか」
生活面の変化が大きい場合や、相談しても状況が改善しない場合は、教育相談などの公的な相談窓口の利用も検討してください。
よくある質問
部活で平日ほとんど時間が取れない場合は?
平日に無理な計画を立てる必要はありません。部活のある日は就寝前の10〜20分の短い枠にとどめ、見直しは部活のない曜日や休日にまとめるのが現実的です。時間の出し方は「中学生の勉強時間は『平均』ではなく生活の固定枠から決める」の章、曜日への配分は「普段の日・定期テスト前・休日の優先順位と記録の見直し」の章をご覧ください。
30分だけでも意味はある?
あります。30分でも、宿題とその日の教科書・ノートの確認は十分にできます。大切なのは長さより、毎日机に向かうリズムを切らさないことです。10〜20分でできる教科別の内容例は「確保した時間で何をするか(教科書・ノート・例題の見直し方)」の章にまとめています。
テスト前にまとめて勉強するだけでは足りない?
テスト前のまとめ学習だけに頼ると、範囲の確認と解き直しが短時間に集中し、部活との両立が難しくなります。普段の日の短い復習で「その日の確認」を済ませておくと、テスト前の期間は解き直しと覚えた内容の確認に時間を使えます。組み立て方は「定期テスト前:範囲表が配布されたら学校の範囲に沿って組み立てる」をご覧ください。
参考情報
監修:新興出版社啓林館 坂本陽一