小学生の日記の書き方:『書くことがない』から言葉を引き出す聞き方と例

「早く日記を書きなさい」。そう声をかけても、子どもの手が止まってしまうことはありませんか。日記が書けないのは、やる気がないからとは限りません。
日記が書けないのはやる気のせい?まずつまずきを見分ける
ノートを前にうなっている姿を見ると、「やる気がないのでは」と感じてしまいがちです。けれど、書けない背景には、やる気以外のつまずきが隠れていることがあります。どこでつまずいているかによって、ご家庭でできることはまったく変わります。
「今日あったことを書きなさい」と促すだけでは、何をどう書けばよいか分からず、子どもの手は止まったままです。まず学校でどう教えているかを確認してから、4つのつまずきを見分けましょう。
学校で習う順序:見つける→並べる→書く→読み返す
文部科学省の小学校学習指導要領(国語)では、小学1年生・2年生の「書くこと」について、次の順序が示されています。経験したことなどから書くことを見つけ、必要な事柄を集め、事柄の順序に沿って簡単な構成を考え、文章を読み返す習慣を付けるという流れです。この言語活動の例として、日記や手紙を書くことが挙げられています。
小学3年生・4年生では、書く相手や目的を意識して材料を選び、中心を明確にすることが加わります。学校の指導も「見つける→並べる→書く→読み返す」の順で、いきなり上手な文章を求めているわけではありません。
「毎日長文を書かせる」ことを、学校が求めているわけではありません。ご家庭の支援は「書く材料を一緒に見つけ、本人の言葉で書く」ことに絞ってよいのです。この2つなら、今日から無理なく始められます。
4つのつまずきを見分ける
4つのつまずきを、「ご家庭で見えるサイン」「最初に確認すること」「最初の対応」の3点で比較できるようにまとめました。ご家庭での様子と照らし合わせてみてください。
| つまずき | ご家庭で見えるサイン(例) | 最初に確認すること | 最初の対応 |
|---|---|---|---|
| 1 型を知らない(何から書けばいいかで止まる) | 「何を書けばいいの?」と聞き返す。ノートを開いたまま、白いページのまま時間がたつ | 教科書の日記の単元や授業ノートで、書き方の型を習ったかどうか | 型を1つだけ口で確認する(いつ・だれが・何をした・どう思った) |
| 2 出来事が見つからない(「書くことがない」と言う) | 「今日何もなかった」「何も思わなかった」が口癖。夜に振り返ろうとしても思い出せない | 特別な行事がある日を書こうとしていないか | 日常の題材を見つける視点リストから1つ選び、場面を絞って聞く(次の章) |
| 3 書く作業自体がつらい(口では話せるのに手が止まる) | 話し出すと楽しそうなのに、鉛筆を持つと止まる。一文書くのに時間がかかる | 未習の漢字で止まっていないか。疲れが残る時間帯ではないか | 保護者の方がメモ係になり、考える作業と書く作業を分ける |
| 4 気持ちが言葉にならない(「楽しかった」で終わる) | 事実は書けるのに感想が一言で終わる。「どう思った?」に黙る | 気持ちを表す言葉の候補を示しているか | 候補の中から「選ばせる」形に質問を変える |
それぞれの「最初の対応」を、以下で詳しく説明します。
つまずき1:型を知らない(何から書けばいいかで止まる)
この場合、子どもは「日記をどう書けばよいか」が分かっていないことがあります。いきなり「書いてみよう」と言われても、何から手を付ければよいか分かりません。
まずは、型を1つだけ教えます。低学年なら「いつ・だれが(だれと)・何をした・どう思った」の4点を、口で一緒に確認するだけで十分です。
学校で習った型に合わせたいときは、どこでつまずいているかを次の順でさかのぼって確かめます。
- 教科書の目次で日記の書き方を扱う単元を探し、いつ習ったかを確かめる
- 授業で使った国語ノートを見返し、その日の板書や練習の跡から、教わった型を確かめる
- 教科書に載っている日記の例を一緒に読み、何から書き始めているかを見る
- 宿題として出された日記や自主学習ノートがあれば、どこまで書けて、どこで止まったかを確かめる
どこで止まっているかが分かれば、手伝うのはその一段だけで構いません。学年別の型と記入例は「学年別の目安と短い日記の例」の章で紹介します。
つまずき2:出来事が見つからない(「書くことがない」と言う)
「何も書くことがない。何も思わなかった。」は、書けない子どもからよく聞かれる言葉です。本当に何もなかったのではなく、題材の見つけ方を知らない場合があります。
まずは、特別な出来事を探すのをやめて、日常の1場面に絞って聞きます。帰宅直後に「今日の給食で、いちばんおいしかったのはどれ?」と、場面を決めた質問を1つします。思い出しやすいよう、夜にまとめて振り返るより、出来事からあまり時間を空けずに聞くのがおすすめです。
日常の題材を見つける視点リストや「何もなかった日」の書き方は、次の章「『書くことがない』への対処:出来事の選び方」で紹介します。
つまずき3:書く作業自体がつらい(口では話せるのに手が止まる)
話せるのに書けないのは、考える作業と書く作業が同時に負担になっているからです。文章を作って書き上げることに精いっぱいで、読み返す余裕がない状態です。
書き方を工夫する前に、まず書くときの状況を確認します。
- まだ習っていない漢字を、無理に漢字で書こうとしていないか(ひらがなで書いてよいことにする)
- 日記の時間帯が、学校や習い事の疲れが残る直後になっていないか
- 鉛筆・消しゴム・机やいすの高さなど、書く環境が整っているか
- 文字をきれいに書こうとしすぎて、手が止まっていないか
そのうえで、考える作業と書く作業を分けます。保護者の方がメモ係になって言葉を書き留め、並べ替えてから書き写す手順は「聞き取った言葉をメモ→並べ替え→つなぐ手順」で説明します。
つまずき4:気持ちが言葉にならない(「楽しかった」で終わる)
気持ちがないのではなく、気持ちを表す言葉の引き出しがまだ少ないのです。「どう思った?」という問いは、大人でも即答が難しいものです。
まずは、質問を選択肢に変えます。「うれしかった? くやしかった? どっちでもない?」というように、候補から選ばせる形に変えるだけで構いません。「どれでもない」「分からない」も答えの1つとして認めましょう。
気持ちの言葉のリストと声かけ例は「気持ちは言わせるより『選ばせる』」で紹介します。
4つとも、「やる気」の問題ではありません。どこでつまずいているかが分かれば、子どもを責めたり、むやみに特訓させたりする必要はありません。
どのつまずきか見分けに迷うときは、数日分の様子を短くメモしておくと傾向が見えやすくなります。あとで学校に相談するときの材料にもなります。
観察メモの記入例:
日付:10月8日
様子:ノートを開いてから手が動かず、「書くことがない」と言う
試したこと:中休みの場面に絞って質問→「ドッジボールでキャッチできた」と答える。気持ちは候補から「うれしい」を選択
書けた量:2行
次に試すこと:話はできるので、メモ係を引き受けて書き写す形に切り替える
「書くことがない」への対処:出来事の選び方
「書くことがない」と言われたら、題材の探し方を一緒に変えてみましょう。遠足や運動会のような行事がなくても、日記は書けます。
特別なことでなくていい:日常にひそむ題材の視点リスト
日記の題材は、特別な出来事でなくて構いません。むしろ日常の小さな変化のほうが、子どもにとって書きやすいものです。
- 給食の一品(いちばんおいしかったもの、苦手だけどがんばって食べたもの)
- 中休みの遊び(だれと・何をした・勝ち負け)
- 通学路の変化(花が咲いた、工事が始まった、猫を見た)
- 季節の音やにおい(セミの声、落ち葉のにおい、焼き芋の香り)
- 家での出来事(夕食の手伝い、家族との会話、兄弟とのやりとり)
- ゲームや本の中の出来事と気持ち
判断の基準は「小さな変化や『あっ』と思った瞬間かどうか」です。うまくいかなかったことや、ちょっとした失敗も立派な題材です。
その日の「一番」を1つだけ選ぶ
出来事をすべて書こうとすると、どれも浅くなり、子どもは疲れます。「一番おいしかった」「一番びっくりした」「一番がんばった」など、その日の「一番」を1つだけ選ぶと決めましょう。
1つに絞ると、その場面を深く書けます。前の日の夜や朝に「明日は何を書こうか」とテーマを決めておくと、昼間に題材を探す負担も減ります。
「何もなかった日」は書けなかったこと自体を書く
それでも「何もなかった」と言う日は、なかったこと自体を題材にして構いません。「何もなかった」という日の、保護者の方とのやりとりを会話ごと書くと、その日の記録になります。
記入例:
10月3日 くもり
きょうは、何もなかった。ママに「何もない日もあるよ。それを書けば?」と言われた。だから、これを書いている。あしたは、何か見つけたい。
「書けなかった」という事実も、その日の出来事です。白紙のままにせず、一言でも書ければ十分です。
夜に思い出させない:その場の一言メモと写真
夜にまとめて一日を思い出すのは、大人でも難しいものです。出来事があったときに、一言メモや写真を残す習慣を付けましょう。
- 帰宅直後に「今日の一番」を一言だけ聞き、メモ用紙に単語で残す
- 出来事や作品の写真を1枚撮っておき、夜に見ながら話す
- メモは文でなく単語でよい(例:「カレー おかわり うれしい」)
夜はメモを見ながら会話すれば、あらためて題材を探す必要はありません。思い出す負担を、子ども一人に背負わせないための工夫です。
代筆せず本人の言葉を引き出す:会話の進め方と質問例
ここからは、会話を通して本人の言葉を引き出す方法を紹介します。ポイントは、保護者の方が「リポーター役」に回ることです。出来事や気持ちは子どもの中にあるのに、まだ言葉になっていないことが多いものです。質問しながら、まだ言葉になっていない気持ちや出来事を1つずつ引き出します。
「今日どうだった?」をやめて場面を1つに絞る
「今日どうだった?」は、子どもには抽象すぎる質問です。「ふつう」「楽しかった」で終わってしまいます。一日全体ではなく、場面を1つに切り取って聞きましょう。
会話例(連鎖質問):
保護者「給食で、いちばんおいしかったのはどれ?」
子ども「アゲパン」
保護者「それ、どんな味だった?」
子ども「きなこが甘くて、外がカリカリしてた」
保護者「食べたとき、どう思った?」
子ども「もう1本食べたいなって」
質問は1つずつ、答えを待ってから次へ進みます。子どもの口から出た言葉は、そのまま文字にするよう促しましょう。「いい言葉が出たね。『カリカリ』って、そのまま書いてみよう。」と声をかけます。
会話例(返事がないとき):
保護者「日記、今日は何を書こうか」
子ども(返事がない)
保護者「給食のことにする? それとも中休みの遊びにする?」
子ども「…中休み」
保護者「だれと遊んだかだけ、教えて」
(その場で書けなければ、聞いた言葉をメモに残してその日は終える)
(翌日)保護者「昨日教えてくれた中休みの話、あれを書いてみようか」
返事がないときに質問を重ねすぎると、子どもは黙り込んでしまいます。選択肢を2つに絞って示し、それでも進まなければ翌日に持ち越す。この「声をかける→返事がない→選択肢を出す→翌日に見直す」の流れを決めておくと、保護者の方も焦らずに済みます。
インタビューのように聞くのがコツです。保護者の方が感想を足したり、言い換えたりしないで、聞き役に徹します。
気持ちは言わせるより「選ばせる」:気持ちの言葉リスト
「どう思った?」と聞いても答えが出ない子には、気持ちの言葉を候補から選ばせます。選ぶだけなら、言葉の引き出しが少ない子どもでも答えられます。
- うれしい・たのしい
- どきどき・わくわく
- くやしい・はずかしい
- ほっとした・びっくりした・もやもやした
会話例:
保護者「そのとき、うれしかった? どきどきした? それとも、くやしかった?」
子ども「くやしかった。」
保護者「そっか。『くやしかった』って、そのまま書こう。」
選んだ言葉は、そのまま使います。深い感想を言わせる必要はありません。気持ちが1つ書ければ、それだけでも日記になります。
聞き取った言葉をメモ→並べ替え→つなぐ手順
会話で出た言葉を、その日のうちに文章にします。手順は4段階です。
- 聞き取った言葉を短くメモする(低学年は保護者の方がメモ係をして構いません。ただし文は本人の言葉のまま使います)
- メモを時系列に並べ替える(付箋や紙片に書くと、並べ替えやすくなります)
- 「それから」「すると」「最後に」などのつなぎ言葉を足す
- 日記帳に書き写す
展開例:
メモ「アゲパン きなこ甘い 外カリカリ もう1本食べたい」
↓
文「きょうの給食は、アゲパンがいちばんおいしかった。きなこが甘くて、外がカリカリしていた。もう1本食べたかった。」
並べ替えたメモが、そのまま下書きの代わりです。あらためて下書きを全文書かせる必要はありません。「書き写すだけ」の状態にしてから本文を書くと、考える作業と書く作業を分けられるため、負担が軽くなります。
学年が上がって書くことに慣れてきたら、メモも少しずつ子ども自身で取るようにしましょう。
してはいけないこと:代作・架空の体験・感想の強要
手伝いたい気持ちが強いほど、かえって逆効果になる関わり方をしてしまうことがあります。注意したい点は3つです。
- 提出する日記は、本人の言葉で書かせる。保護者の方の代作や全面的な書き換えはしない。
- 実際にあった出来事を書く。出来事を盛ったり、架空の体験を書かせたりしない。
- 「深い感想」を言わせようとしない。無理に深いことを言わせると創作になりかねず、日記嫌いにつながるおそれがあります。
もう1つ、書く前に話を聞きすぎないことも大切です。話しただけで満足すると、書けなくなることがあります。聞いた言葉をメモに残したら、その日のうちに書き写す流れを作りましょう。
学年別の目安と短い日記の例
学年によって日記のゴールは違います。ここでは小学1年生・2年生、小学3年生・4年生、小学5年生・6年生の3段階に分けて、「うちの子は今どの段階にいるか」を2〜6行の短い記入例で確認してください。なお、原稿用紙の使い方や長い作文、読書感想文の総論はここでは扱いません。まとまった作文の構成については、別記事「小学生 作文 書き方」で扱います。
小1・小2:いつ・だれが・何をした+気持ちの一行〜数行
目安は「いつ・だれが(だれと)・何をした+気持ち」の一行から数行です。初めは短くて構いません。くわしく書くのは、書けるようになってからで十分です。
記入例(小2):
4月10日 はれ
きょうの中休み、ともだちとドッジボールをした。ボールがあたっても、いたくなかった。いっかい、キャッチできた。またあしたもやりたい。
ひらがなが多くても、漢字が間違っていても、まずは書けたことを優先します。4つの要素が入っていれば、低学年の日記として十分です。
小3・小4:中心を1つに絞り、くわしく書く場所を1つ
中学年は、書きたいことの中心を1つに絞る時期です。全部をまんべんなく書くのではなく、「ここだけはくわしく」という場所を1つ作ります。学校でも、書く相手や目的を意識して材料を選ぶことを習います。
記入例(小4):
10月3日 はれ
家庭科でクッキーをやいた。いちばんがんばったのは、生地をこねるところだ。バターとさとうが白っぽくなるまで、うでがいたくなるほどまぜた。やきあがりは少しこげたけれど、自分で作ったから、おいしく感じた。
「いちばんがんばったところ」のように、くわしく書く場所を本人に選ばせると、中心のある日記になります。まだ習っていない漢字は、ひらがなで書いて構いません。
小5・小6:事実に自分の考え・わかったことを添える
小5・小6は、事実だけでなく、自分の考えや「わかったこと」を添えるのが目安です。
記入例(小6):
5月12日 雨
委員会で、自分の案がさいようされなかった。最初はくやしかった。でも、さいようされた案のほうが準備の時間が短いことに、話を聞いて気づいた。意見が通らなくても、理由を聞けば納得できることがあると分かった。
考えが添えられない日は、事実と気持ちだけに戻って構いません。毎日、高学年らしい日記を書かなくても構いません。
短い記録を習慣にする:ご家庭の見守り方
習慣づくりの途中では、「始めない」「続かない」といったこともあります。場面ごとに、保護者の方の次の行動をまとめました。
| 場面 | ご家庭での見え方(例) | 保護者の方の次の行動 |
|---|---|---|
| 始めない | 声をかけてもノートを開かない | 書かせる前に、場面を1つに絞った質問を1つして、会話から入る。 |
| 始めるが続かない | 2〜3日書いて止まる | 量を一行に戻し、曜日・時間・場所の決め方を一緒に見直す。 |
| 書き始めるが途中で止まる | 一文書いて止まる。漢字で詰まる | 保護者の方がメモ係に切り替える。漢字はひらがなでよいことにする。 |
| 約束を守れない | 決めた時間に始めない | 責めずに、決めた順番と時間が実際の生活に合っているか話し合う。 |
一行から始める:毎日長文を課さない
まずは、一行日記から始めます。「一行でも書けたら完了」と決めると、子どもの負担が一気に減ります。続けられるようになってきたら、量は子どもが書きたがる範囲で増やせばよいのです。
書く曜日・時間・場所は、子どもと話し合って決めましょう。進級などの節目には、ルールを一緒に見直します。
北海道教育委員会は、家庭学習の時間の目安や目標・優先順位を子どもと話し合って決め、進級時などに見直すことを提案しています。示されている目安は、各ご家庭や子どもの実態に応じて設定するための参考であり、一律の基準ではありません。千葉県教育委員会も、各学年の家庭学習の内容例や自主学習のヒントを公開しています。
時間と順番を子どもと決める(ゲームとの両立)
「ゲームをやめて日記を書きなさい」は、衝突のもとです。やめさせるのではなく、一日の流れの中に日記を書く時間を決めます。たとえば「夕食前の10分は日記」「ゲームは日記のあと」など、順番と時間は子どもと合意して決めましょう。
一日の流れに日記の時間を組み込む場合の例を、低学年と高学年に分けて示します。時刻や所要時間はあくまで例であり、各ご家庭や子どもの実態に応じて決めるもので、一律の基準ではありません。
流れの例(低学年):
帰宅・手洗い・軽い休憩 → 宿題 → 夕食前に「今日の一番」を一言だけ聞いて保護者の方がメモ → 夕食後に5〜10分、メモを見ながら会話 → 本人が書き写す → 書けたことを認めて終了
流れの例(高学年):
帰宅・休憩 → 宿題 → 本人が決めた時間帯に日記の時間(例:夕食後の15〜20分) → その場のメモや写真から題材を1つ選ぶ → 書く → 音読して1か所だけ見直す → 完了
もう1つは、ゲームの出来事そのものを題材にする方法です。ゲーム中の出来事や気持ちも、本人の実体験です。「今日はボスに3回目で勝てた。くやしかったけど、うれしかった」のように、立派な日記になります。
ただし、これは実際にプレイした出来事と気持ちを書く場合の話です。架空の体験を事実のように書いて提出するのは、日記の練習としては別物です。提出する日記は、実際の出来事と本人の言葉で書きましょう。
「日記を終わらせてからゲーム」のように順番を決める方法と、ゲームでの実体験を日記の題材にする方法のどちらでも構いません。どちらにしても、子どもと話し合って合意することが前提です。
決めた順番が守れなかった日は、罰を科すのではなく、ルールのどこを見直すかを考えます。
- 順番:日記を後回しにすると書くのを忘れてしまうなら、日記を先に済ませる順番に変えられないか
- 時間:日記の時間として決めた長さが、子どもにとって現実的か
- 合図:ゲームを終えて日記に移る合図(タイマーや時計の時刻)が決まっているか
- 題材:その日の題材がゲームの出来事なら、覚えているうちに一言メモだけ先に取れないか
罰として日記の量を増やすのは逆効果です。守れなかったときこそ「決め方が合っていなかったのかもね」と、子どもと一緒にルールを見直します。進級や習い事の変わり目にも、同じ手順で見直しましょう。
ほめ方と読み返し:添削は1か所まで
書けたあとの関わりは、次の日のやる気に影響することがあります。「よく書けたね」と全体をほめるだけでなく、内容の具体的な部分をほめましょう。
声かけ例:
「『カリカリ』って書いてあるから、どんな食感か目に浮かぶね」
「この音の表現で、そのときの様子が分かるよ」
「今日は昨日より、気持ちの言葉が増えたね」
読み返しは、本人が音読する形で進めます。気づいたところがあっても、直すのは1か所まで。添削よりも、ほめることを優先します。学習指導要領でも読み返す習慣が示されていますが、ご家庭で直しすぎると、書くことが嫌いになりかねません。
返却された日記は、ファイルに残して時々一緒に見返しましょう。「このころは漢字が少なかったね」と成長が分かる記録は、思い出アルバムにもなります。
保護者がイライラしたときの対処
「何書けばいいの?」と何度も聞かれて、イラッとすることはあります。保護者の方が疲れている日ほど、日記は重く感じます。
イライラしたら、今日はメモだけにして休みましょう。会話で聞いた言葉をメモに残すだけにして、書くのは明日に回して構いません。
声かけ例:
「今日は話しただけにしよう。メモは取っておくから、あした書こう。」
日記のことで無理をしすぎないことも、長く続けるコツです。
放っておいてよい範囲・休んでもよい日
漢字の間違い、文体の乱れ、「楽しかった」の連発。これらは、いったん目をつぶってよい範囲です。気になるのは分かりますが、書けたこと自体を認めるほうが先です。
体調の悪い日、行事で疲れ切った日は、休んで構いません。少し書けたら終わりにする日があってもよいのです。日記のために、保護者の方と子どもの関係が悪くなることは避けたいものです。
学校とのつながりと相談の目安
教科書の日記の単元とご家庭の支援の役割分担
多くの小学校の国語の教科書には、日記の書き方を扱う単元が設けられています。学校で日記の書き方を習う機会があるということです。子どもの教科書に日記の単元が見つからない場合は、授業で使った国語ノートや学校からの連絡などで、扱う時期を確認してみましょう。
単元の時期に合わせて、「今、学校で日記を習っている?」と確認してみましょう。つまずき1で紹介した順番(教科書の目次→授業で使ったノート→教科書の日記の例→書いた日記)で確かめると、学校で教わった型が分かります。ご家庭でも同じ型を使って練習すると、学校と家庭で進め方がずれにくくなります。
役割分担はシンプルです。書き方の型は学校で学び、ご家庭では「書く材料を一緒に見つけ、本人の言葉で書く」ことを支えます。そうすれば、宿題の狙いに沿ってサポートできます。
担任に相談する目安
ご家庭で工夫しても書けない状態が続く場合は、学校に相談して構いません。目安は3つです。
- まったく書けない状態が長く続いている
- 学校の日記の時間でも困っている様子が、連絡帳などからうかがえる
- 提出の負担が、朝の登校や睡眠に影響している
相談のときに、次の4項目を短くメモしておくと、状況を伝えやすくなります。
- いつ:書けない状態がいつごろから続いているか、どのくらいの頻度か
- 教科と場面:国語の日記の宿題か、自主学習か。ご家庭と学校のどちらで困っているか
- ご家庭で試したこと:場面を絞った質問、メモ係、一行日記など、試してどうだったか
- 学校で知りたいこと:授業での様子、日記の単元の時期、宿題の出し方や量
つまずきの見分けに使った観察メモが数日分あると、「いつ」「ご家庭で試したこと」がそのまま伝えられます。
相談は「家での様子を伝える」形で十分です。「家ではこんな様子ですが、学校ではどうですか」と尋ねるところから始められます。学校の単元の時期や、宿題の出し方の確認も同時にできます。
困りごとが続く場合は、学校や公的な相談窓口に相談することも検討してください。日記は、子どもと保護者の方だけで抱え込むものではありません。
今夜、試せることは1つで十分です。「給食でいちばんおいしかったものは何?」と、場面を1つに絞った質問を1つしてみてください。出てきた言葉をそのまま書けば、それが今日の日記です。
書く練習を続ける際は、ナビクロのプリント一覧から関連する練習プリントを探すこともできます。
参考情報
監修:新興出版社啓林館 坂本陽一