知育
日付
2026/10/17

中学生のスマホルール 時間・場所・課金・投稿の約束と守れない時の見直し方

中学生のスマホルール 時間・場所・課金・投稿の約束と守れない時の見直し方

中学生の子どもにスマホを持たせているご家庭では、使う時間や課金、SNSの投稿など、決めるべきことが一気に増えます。まず押さえておきたいのは、スマホの利用時間には、全国一律の上限や罰則がないということです。

正解が決まっていないからこそ、大切なのは子どもと話し合い、ご家庭の合意を作ることです。こども家庭庁も、家庭でリスクやルールについて話し合い、定期的に見直すことを案内しています。

決める項目は、時間・場所・課金・投稿・連絡・見直しの6つに分けると整理しやすくなります。はじめに、スマホは「保護者の方から借りているもの」と伝えておくと、その後の話し合いが進めやすくなります。

ルールは厳しければよいわけではありません。守れる形で一緒に決め、生活の変化に合わせて見直していくことが、スマホと勉強を両立させるうえで大切な考え方です。

スマホのルールに全国一律の「正解」はありません

こども家庭庁は「家庭での話し合い」と「定期的な見直し」を案内しています

こども家庭庁の「令和8年 春のあんしんネット・新学期一斉行動」のページでは、フィルタリングや時間管理、課金制限、発達段階に合わせた時間やアプリの設定が案内されています。あわせて、家庭でのリスクとルールの話し合い、定期的な見直しを行うことが呼びかけられています。

この案内は、スマホの利用時間について全国一律の上限や罰則を定めたものではありません。「何分までが正しいか」を探すよりも、ご家庭のルールを子どもと一緒に作ることが、国の案内にも沿った進め方です。

決める項目は6つ(時間・場所・課金・投稿・連絡・見直し)

話し合う項目を6つに分けると、抜け漏れを防ぎやすくなります。全体像を先に押さえておくと、個別の約束を決める時に迷いにくくなります。

  • 時間:使ってよい時間帯と、終了時刻
  • 場所:使ってよい場所、置き場所、充電する場所
  • 課金:課金やネット購入の事前相談
  • 投稿:SNSへの投稿、写真や個人情報の扱い
  • 連絡:友だちとのやりとり、知らない人からの連絡への対応
  • 見直し:いつ、どのようにルールを見直すか

6つすべてを一度に決めなくても構いません。まず「時間」と「場所」から決め始めると進めやすく、課金や投稿などの残りの項目は、話し合いながら順に足していく形で十分です。

「保護者の方から借りているもの」という前提を伝える

スマホの契約者は保護者の方であり、子どもは「借りて使っている」という前提を、はじめに言葉で伝えておきます。自分の所有物ではないことを伝えると、使い方の約束が必要な理由も理解してもらいやすくなります。また、約束も一方的な命令ではなく、借りて使うための条件として受け止めてもらいやすくなります。

声かけ例(例示):
「このスマホはわたしから借りているもの。だから、使い方の約束を一緒に決めておこう」

決める前に、今の使い方を一緒に確認する

約束を決める材料として、子どもがいつ、どのくらい、何にスマホを使っているかを、話し合いの前に一緒に確認します。詰問にならないよう、「ルールを決めるための材料集めだよ」と、目的を先に伝えます。

OSの使用時間の記録機能で、曜日ごとの利用時間やよく使うアプリを数字で一緒に確認する方法もあります。保護者の方が思っている使い方と、子どもの実感がずれていることもあるため、決める前に実際の使い方を確認しておくと、約束が実態に合いやすくなります。

声かけ例(例示):
「チェックするためじゃなくて、約束を決める材料にしたいから、先週どれくらい使っていたか、一緒に見てみない?」

使う時間と場所の決め方

終了時刻から決めると守りやすい

「1日1時間まで」のように長さで決めると、いつ使い始めたかで終わる時刻が変わり、守れたかどうかがあいまいになりがちです。「21時まで」のように終了時刻から決めると、就寝や翌日の予定から逆算でき、確認も簡単です。

終了時刻は、就寝の時刻から逆算して決めると、夕食・入浴・勉強との兼ね合いを確認しながら決められます。「なぜその時刻にしたか」を子どもと共有しておくと、あとで見直す時の手がかりにもなります。

時間の決め方の例(例示):
次はあくまで一例です。部活や塾の予定、ご家庭の生活リズムに合わせて調整してください。

  • 平日は21時終了、休日は22時終了
  • 食事中は家族みんなが使わない
  • 終了時刻が近づいたら、保護者の方から一言声をかける

使う場所はリビングなど見えるところに

使う場所は、リビングなど保護者の方の目が届くところに限定します。何をしているかが自然に見えるため、困りごとに早めに気づきやすくなります。自分の部屋への持ち込みは避けるなど、具体的に決めておくと、子ども自身も守りやすくなります。

場所の決め方の例(例示):
使うのはリビングのみ、充電はリビングの決まった場所、終了時刻が来たら充電場所に置く、などです。

ゲーム・動画との両立(目的のないダラダラ使いを減らす工夫)

ゲームや動画をすべて禁止にするのではなく、「目的のないダラダラ使い」を減らす工夫が両立の鍵です。使う前に「今日は何をするか」を一言伝え、終わる時刻も先に決めておくこと。この2つを習慣にすると、区切りをつけやすくなります。

声かけ例(例示):
「何してるの?」とチェックするより、「今日は何をして過ごす?」と始める前に聞く方が、子どもも答えやすくなります。終わる時刻はタイマーやアラームを使うと、時計を見る習慣がなくても区切りをつけられます。

対戦やイベントの途中で終了時刻が来た時にどうするかも、先に決めておきます。「その対戦が終わった時点でやめる」のように区切りを認めるか、時刻を優先するかはご家庭の判断ですが、決めていないと、その場の交渉になりがちです。終了の少し前に、声かけやアラームで合図することも決めておくと、切り上げやすくなります。

学校の課題や緊急連絡は例外として遮断しない

課題の提出、調べもの、部活の連絡、ご家庭への緊急連絡など、スマホが必要な場面があります。時間外であっても、学習や連絡のための利用を例外として認めるかどうかを、先に決めておくと混乱を防げます。

例外を認める場合は、「使う前に目的を言う」「終わったら一言報告する」など、例外の使い方も約束に含めます。一律に遮断するのではなく、例外の範囲を明確にする考え方です。

帰宅から就寝までの流れの例(中学1年生・中学3年生)

使う時間を決める時は、帰宅から就寝までの流れのどこにスマホを使う時間を入れるかで考えると、勉強や食事との両立を図りやすくなります。次の流れはあくまで例であり、示す時間は一律の基準ではありません。部活の有無や通学時間、ご家庭の生活リズムに合わせて調整してください。

中1の例(例示):
部活から早めに帰れる日の一例です。

  • 16時半 帰宅。スマホはリビングの充電場所に置く
  • 17時〜18時 自由時間(スマホ可。目的を言ってから使う)
  • 18時半 夕食(家族みんな使わない)
  • 19時半〜20時半 宿題と教科書・ノートの見直し(スマホはカバンの中)
  • 20時半〜21時 スマホ時間(21時に終了し、充電場所に置く)

中3の例(例示):
受験期や部活引退後の一例です。

  • 17時半 帰宅(部活の日は遅くなる)
  • 18時〜19時 夕食・入浴
  • 19時〜21時 勉強(スマホはリビングに置く。調べものは用途を言ってから使う)
  • 21時〜21時半 スマホ時間(友だちへの返信もこの枠にまとめる)
  • 21時半 終了。充電場所に置く

どちらの例でも、終了時刻を過ぎたら充電場所に置く形にすると、自分の部屋への持ち込みを防ぎやすくなります。部活の日とない日で帰宅時刻が大きく変わる場合は、それぞれのパターンを作っておくと生活に合わせやすくなります。就寝時刻はご家庭の決まりに合わせてください。

課金とアプリの約束

課金・ネット購入は必ず事前に相談する

課金やネット購入は、金額の大小にかかわらず、必ず事前に相談する約束にします。「少額だから」「無料だと思った」というすれ違いが、トラブルの入口になりやすいためです。相談せずに課金や購入をした場合にどうするかも、先に決めておくと慌てずに済みます。

「無料」と表示されていても、利用中に購入手続きの画面が表示されるアプリや、月額料金の支払いが継続するものがあります。購入手続きの画面が出たら、その場で保護者の方に確認する形にしておきます。

約束の例(例示):
課金する前に保護者の方へ相談する、無料と表示されていても購入手続きの前に確認する、相談せずに課金した場合は翌月の利用を調整する、などです。

万が一、相談のない課金が見つかった時は、責める前に、購入履歴を一緒に開き、何をいつ、いくらで購入したかを確認します。そのうえで、契約しているストアやキャリアの窓口で、返金や契約内容の確認など、どのような対応ができるかを相談します。窓口は、こども家庭庁のページのリンクからもたどれます。

アプリのダウンロードは保護者の確認制に

新しいアプリは、保護者の方の確認を受けてからダウンロードする約束にします。確認するポイントは、年齢区分、課金の有無と仕組み(都度購入か月額か)、メッセージやフォローなど他の人とつながる機能の有無です。確認する時間は、リスクについて話し合う機会にもなります。手間はかかりますが、子どもを守るために必要な確認です。

フィルタリングと使用時間の設定を使う

約束だけでなく、端末の設定も活用します。こども家庭庁の「令和8年 春のあんしんネット・新学期一斉行動」のページでは、フィルタリング、時間管理、課金制限、発達段階に合わせた時間やアプリの設定が案内されています。

設定方法はOSやキャリアによって異なりますが、同じページから窓口へのリンクをたどれます。お使いの機種や契約に合った案内を、そこから確認してください。

一度設定して終わりではありません。約束の見直しのタイミングに合わせて、子どもの様子や発達段階に応じて設定を調整していきます。

投稿と連絡の約束

個人情報・顔写真・位置情報を出さない

SNSや投稿に関する約束は、内容を具体的に決めておきます。友だちとのやりとりにスマホを使う場面が増えがちな中学生の時期は、個人情報の扱いが一段と大事になります。

  • 氏名、学校名、住所などの個人情報を書かない
  • 自分や友だちの顔写真を、許可なく投稿しない
  • 位置情報の公開はオフにする
  • 制服や校章、背景の駅名や看板など、居場所につながる写り込みに注意する

知らない人とつながらない・会わない

オンラインで知り合った面識のない人とはつながらない、実際には会わないという約束を明確にします。あわせて、投稿や写真を送る前に一度立ち止まって考えることも、約束に含めます。一度送ったものは完全には取り消せないことを、脅すのではなく事実として伝えます。

約束の例(例示):
面識のない人からのフォローやメッセージには応じない、投稿や写真を送る前に「後悔しないか」を一度考える、などです。

連絡の約束(返信の時間帯と通知の扱い)

友だちとの連絡は、返信してよい時間帯を先に決めておきます。終了時刻のあとに届いたメッセージには翌日返す、という形を約束に含めると、夜間のやりとりに引きずられにくくなります。

「すぐ返さなければ」と気にしている様子があれば、返信のペースは人それぞれでよいこと、返し方に困る連絡が来たら一人で抱えず相談することを、あらためて伝えます。通知については、勉強中や終了時刻のあとは音が鳴らない設定にしておくと、スマホが気になって手を伸ばすきっかけを減らせます。

約束の例(例示):
返信は21時まで、21時以降に届いた分は翌日返す、勉強中は通知をオフにする、返し方に困った連絡は保護者の方に見せる、などです。

困ったらすぐ保護者の方に相談する約束を先に作る

トラブルに巻き込まれた時、責められる不安から、保護者の方への相談をためらってしまうことがあります。「困ったらすぐ相談する」「相談しても責めない」という約束を、ルールの中でいちばん先に作っておきます。困りごとを隠したままにしないためにも、大切な約束です。

声かけ例(例示):
「何かあっても、まず怒らないから言ってね。一緒に考えよう」と、何も起きていない時に伝えておきます。

責めずに話し合う進め方と声かけ例

子どもの使いたいことを先に聞く

話し合いを「禁止事項の伝達」から始めると、子どもは受け身になりがちです。まず「スマホで何をしたいか」「どのくらい使いたいか」を聞くところから始め、その希望を土台に一緒に項目を決めていきます。子ども自身も一緒に決めた約束の方が、守ろうという意識を持ちやすくなります。

話し合いの場は、食後などの短い時間に項目を絞って設け、数回に分けても構いません。一度に全部決めようとすると、双方が疲れて言い合いになりやすいためです。

質問の例(例示):
「なんでそんなに使うの」と問い詰める代わりに、「ゲーム、動画、連絡、どれにいちばん時間を使いたい?」「何時まで使えたら足りる?」と、選択肢を示して答えやすい聞き方に変えます。

決めたことは紙に書いて見える場所に置く

決めた約束は紙に書き、リビングなど見える場所に置きます。「言った・言わない」の争いを防ぎ、見直す時の土台にもなります。項目は絞って、シンプルにします。多すぎる約束は、守る側も確認する側も疲れてしまいます。

記入例(例示):
「使うのはリビング、21時まで」「課金は必ず相談」「困ったらすぐ言う。怒らない」など、短い文で5〜8項目に収めます。

保護者の方も同じ場面では使わない

食事中は使わない、リビングでダラダラ見ないなど、子どもに求める場面では、保護者の方も同じように控えます。保護者の方が守らない約束は、子どもにとって納得感のないものになりがちです。保護者の方用の約束を1つだけ紙に加えるのも一案です。

イライラした時は「決めたことに戻る」声かけに

約束を守らない姿にイライラした時、感情のままに注意すると言い合いになりやすくなります。そんな時は「決めたことに戻ろう」と、紙に書いた約束を一緒に確認する声かけに切り替えます。子どもの人格を責めるのではなく、一緒に決めた内容に立ち返る形です。

声かけ例(例示):
いずれも一例です。子どもとの関係に合った言葉に置き換えてください。

決める時
「スマホで何がしたい? 一緒に決めよう」

時間が来た時
「約束の時間だよ。終わりにしよう」

注意したくなった時
「決めたことに戻ろう」

返事がない時の会話例(声をかける→選択肢→翌日の見直し)

一言の声かけだけでは進まない場面もあります。終了時刻に声をかけても返事がない時は、その場で選択肢を出し、翌日に改めて見直す流れも一例です。

会話例(例示):
あくまで一例です。子どもとの関係に合った言葉に置き換えてください。

保護者の方「21時だよ、終わりにしよう」(まず声をかける)

(返事がない)

保護者の方「今すぐ終わるか、あと5分で区切りをつけるか、どっちがいい?」(選べる選択肢を出す)

子ども「あと5分」

保護者の方「わかった、5分経ったら充電場所に置こうね」

(翌日) 保護者の方「昨日はなかなか止まらなかったね。今日は終わる合図、どうしようか?」(翌日に見直す)

勉強とスマホを両立させる判断基準

一律に取り上げない方がよい理由(課題・連絡・調べもの)

成績が気になると「スマホを取り上げる」という選択が浮かびますが、一律に取り上げるのは慎重に判断したいところです。課題の提出や調べもの、部活や友だちとの連絡、緊急時の連絡など、必要な利用まで制限すると、学習や安全の妨げになることがあるためです。

取り上げることよりも、「いつ、何のために使うか」を決める方向に切り替えると、勉強との両立を図りやすくなります。

勉強中の置き場所を決める

勉強中は、スマホを手の届かない場所に置く約束が第一歩です。目に入るとつい手に取ってしまうのを防ぐため、カバンの中や別の部屋など、決まった置き場所を作ります。使う必要が出た時は、目的を言ってから取りに行く形にすると、ダラダラ使いとの区別がつきやすくなります。

調べものは教科書・ノートが先、スマホは補助に

調べものの順番を「教科書→ノート→スマホ」と決めておきます。学校で習った内容の確認が先、という順番です。わからないところでつまずいた時は、すぐスマホで検索するのではなく、どこまで戻ればよいかを次の順番で確認します。

つまずいた時の確認手順(例示):
学校で習う順序に沿って、次の4段階で確認します。

  1. 教科書の目次で、わからない内容がどの単元にあたるかを特定する
  2. 授業で使ったノートのその単元のページを開き、板書や先生の説明を見直す
  3. 教科書の例題をもう一度解き、考え方の手順を確認する
  4. 練習問題やワークで、自分で解けるようになったか確かめる

教科別の戻り方の例(例示):
数学なら、例題の答えや途中式を紙で隠してもう一度解き、どの手順で止まったかを確かめます。英語なら、教科書の本文とその単元の単語・文法の説明に戻り、声に出して読んで確認します。どの教科でも、ノートの板書部分や、教科書の太字の語句は、見直す場所を探す手がかりになります。

この順番で見直しても足りない時に、スマホを補助として使います。用途を絞ると、調べものから別のアプリへ流れるのを防ぎやすくなります。

用途限定の例(例示):
英語の発音を音声で確認する、理科の観察で見たものを調べるなど、「この用途だけ」と決めて使います。

定期テスト前の例外ルールを先に決めておく

定期テスト前は、教科書→ノート→例題の順で見直す学習を中心にし、スマホの扱いをあらかじめ決めておきます。テスト期間に入ってから慌てて取り上げると、子どもとの衝突の原因になりやすいためです。

練習問題で間違えたところや、説明できなかった箇所に印をつけ、あとでもう一度解いたり読み直したりすると、範囲を絞って取り組めます。

例外ルールの例(例示):
テスト1週間前から動画・ゲームの時間を決めて短くする、勉強中のスマホはリビングに置く、調べものは用途を言ってから使う、などです。追加で練習したい場合は、ナビクロの「プリント一覧」も利用できます。

場面別の次の行動(始めない・続かない・止まる・守れない)

勉強とスマホが絡む場面ごとの次の行動を一行ずつにまとめます。いずれも、責めるのではなく決めた対応に戻る形です。詳しい進め方は、各行の参照先の項目をご覧ください。

  • 始めない時(スマホを手放せない):「今終わるか、あと5分で区切るか」の選択肢を出す(「返事がない時の会話例」を参照)
  • 続かない時(すぐ手が伸びる):置き場所を変え、目的を言ってから取りに行く形に戻す(「勉強中の置き場所を決める」を参照)
  • 止まる時(問題が解けない):教科書→ノート→例題の順に見直す場所を探す(「調べものは教科書・ノートが先、スマホは補助に」を参照)
  • 守れない時(終了時刻を過ぎる):まず理由を聞き、繰り返すなら約束を見直す(「守れなかった時の対処と使いすぎの見分け方」を参照)

守れなかった時の対処と使いすぎの見分け方

まず理由を聞く(責めない進め方)

守れなかった時に最初にするのは、注意ではなく理由を聞くことです。「なぜ守らないの」と問い詰めるのではなく、「時間を過ぎていたけど、何かあった?」と事実から尋ねます。理由によって対応が変わるため、責める前にまず事情を把握します。

声かけ例(例示):
「約束の時間を過ぎていたね。続きが気になる場面だった?」など、話しても怒られないと分かる聞き方を意識します。

ご家庭で見えるサインと確認・対応の例

ここでは医学的な診断ではなく、日々の様子から使いすぎの背景を考えます。次の表は、背景ごとに「ご家庭で見えるサイン」「最初に確認すること」「最初の対応」を整理したものです。

ご家庭で見えるサイン最初に確認すること最初の対応
ゲームや動画に夢中で、終了時刻を過ぎがち。「あと少し」が続く終わる時刻を決めてから始めていたか。区切りのつけにくい内容か。使う前に終了時刻を一緒に確認し、タイマーやアラームを終了の合図にする。
友だちからの連絡への返信が続き、通知が気になるすぐ返さなければならない空気があるか。連絡してよい時間帯の決まりがあるか。返信してよい時間帯を一緒に決め、連絡の例外の範囲を確認する。
目的のないダラダラ使いで、アプリを次々に開き、気づくと時間が過ぎている使う前に目的を言う習慣があるか。始め方の手順が決まっているか。「目的を言う→終了時刻を決める→タイマーをかける」という手順を習慣にする。
勉強中にすぐスマホに手が伸びる。調べものから動画などへ流れるどの教科のどの単元でつまずいているか。教科書の目次→授業で使ったノート→例題→練習問題の順に見直す。スマホは用途限定の補助にとどめる。
疲れている日や嫌なことがあった日に、使う時間が伸びる睡眠、部活、人間関係など、心身の負担が増えていないか(学習より先に確認する)。まず様子を聞いて休ませる。負担が続く時は学校に相談する。
約束そのものへの反発が強く、口頭の注意が言い合いになりがち約束が一方的に決められた形になっていないか。部活や塾など生活の変化で実態に合わなくなっていないか。「今終わるか、5分後に終わるか」など選べる選択肢を出す。繰り返す時はペナルティより先に、約束自体を一緒に見直す。

背景は一つとは限りません。疲れが重なってダラダラ使いが増えるなど、複数が組み合わさっていることもあります。表は、どれか一つの行に当てはめるためではなく、確認する順番を決める手がかりとして使います。

気になる場面が続く時は、日付と状況を短く記録しておくと、繰り返す場面の特定や、学校へ相談する時の材料になります。記録は子どもを監視するためではなく、話し合いの土台を作るためのものです。

観察メモの記入例(例示):
「5月12日 21時20分 ゲーム。終了時刻(21時)を20分超過。声かけに『あと少し』。終了の合図(アラーム)がなかった。→翌日、タイマーを使うか話し合う」

使いすぎが一時的で、声かけによって本人が切り替えられる場合は、様子を見て構いません。繰り返す場合や、睡眠・学習への影響が続く場合は、その場ごとに注意するのではなく、ルールや生活全体を見直す段階です。話し合い自体が難しい時は、学校の担任や公的な相談窓口を頼ってください。

ペナルティは事前に一緒に決めておく

守れなかった時のペナルティは、起きてから決めるのではなく、ルールを作る時に一緒に決めておきます。感情のままの取り上げは反発を招き、信頼関係を損ねやすいためです。スマホの取り上げは最終手段と位置づけ、軽い段階の対応から順に決めておきます。

ペナルティの例(例示):
翌日の利用時間を短くする、週末のゲーム時間を調整する、などです。何度も繰り返す場合に限り一時的な預かりを検討する、という段階的な決まりにしておくと、冷静に進められます。

繰り返す場合はルール自体を見直す

同じ約束が繰り返し守られない時は、子どもの意識の問題と決めつけず、ルールが生活の実態に合っていない可能性も考えます。部活の帰宅が遅くなった、友だちとの連絡が増えたなど、決めた時から状況が変わっていないかを確認し、必要なら約束自体を子どもと一緒に作り直します。見直しは「負け」ではなく、ルールを生活に合わせていくために必要なことです。

ゲームの約束が守れなかった時も、罰を足すより先に、ルールのどこを見直すかを検討します。

見直す観点の例(例示):
次の項目を、紙に書いた約束と照らし合わせます。

  • 終わり方:「あと1時間」のような長さの指定ではなく、「21時まで」の時刻指定になっているか。
  • 内容:対戦やイベントの途中で止めにくい種類のゲームか。遊ぶ曜日や時間帯を決めるか。
  • 合図:タイマーやアラームなど、終了の合図があるか。
  • 開始前の確認:「今日は何をするか」を言ってから始める形になっているか。
  • 例外の範囲:学校の課題や連絡などの例外が明確か。

見直しのタイミングと困った時の相談

進級・部活や予定の変化・長期休暇の前に確認する

こども家庭庁の案内にもある通り、ルールは定期的な見直しが前提です。進級、部活や塾などの予定の変化、夏休みなど長期休暇の前は、ルールを見直しやすいタイミングです。紙に書いた約束を見ながら、「守れているもの」「守れていないもの」「要らなくなったもの」を子どもと一緒に仕分けします。

長期休暇は、使う時間帯も長さも平日と変わります。休暇に入る前に、休暇中の終了時刻や使う場所を別途決めておくと、休暇明けに生活のリズムを戻しやすくなります。

緩める方向の見直しも選択肢に

見直しは、厳しくする方向だけではありません。約束が安定して守られている時は、終了時刻を30分延ばす(例示)など、緩める方向の見直しも選択肢です。成長や自立に合わせて任せる範囲を広げていくことには、自分でスマホを管理する力を育てるねらいがあります。

ご家庭で決められない時の相談先(学校・公的窓口)

話し合いがうまくいかない、子どもの様子が気になるなど、ご家庭だけで決められない時は、学校の担任が第一の相談先です。学校での様子と照らし合わせることで、家庭からは見えにくい事情が見えてくることがあります。

相談を検討する目安は、話し合い自体が成立しない状態が続く時、睡眠や学習への影響が気になる時、課金や投稿でトラブルが起きた時です。「まだ相談するほどではない」と迷う場合も、気になった段階で担任に伝えて構いません。

相談の前に、伝える内容をメモしておくと、限られた時間で状況を共有しやすくなります。

学校に伝えるメモの項目(例示):
次の4項目を紙に書いて持参すると、相談が進めやすくなります。

  • いつ:気になり始めた時期と頻度(例:4月ごろから、平日の夜ほぼ毎日)
  • 教科:影響が出ている教科や課題がある場合はその内容(例:数学の宿題の提出が遅れがち)
  • ご家庭で試したこと:終了時刻の約束、充電場所の設定など、試したこととその後の変化
  • 学校で知りたいこと:授業中の様子、友だちとの関係、部活での様子など

あわせて、こども家庭庁の「令和8年 春のあんしんネット・新学期一斉行動」のページには、OSやキャリアごとの窓口へのリンクがまとめられています(URLは末尾の「参考情報」に記載しています)。設定や契約に関する困りごとは、各社の公式窓口を頼るのが確実です。

参考情報

監修:新興出版社啓林館 坂本陽一