子どもの自己肯定感を高めるには?小学生の保護者の方へ、声かけと接し方の例

子どもの自己肯定感を支えるには、まず気持ちを聞き、結果だけでなく、見聞きした行動や工夫も言葉にしてみましょう。次にどうするかは、本人と相談します。
「どうせできない」と言ったときは、まず「できないと思っているんだね。どのあたりが難しそう?」と聞いてみましょう。話したくない様子なら質問を重ねず、「話したくなったら聞くよ」と伝えて待ちます。
その場で何をすればよいか迷ったら、本人の言葉や様子を見て考えましょう。
- 気持ちを話しているときは、まず話を聞きます。すぐに励ましたり、解決策を出したりする必要はありません。
- 行動や工夫に気付いたときは、「教科書で調べていたね」など、見聞きした事実を伝えます。
- 困っていて手助けを求めているときは、「どこを一緒に考えようか」と、どこまで手伝ってほしいかを聞きます。
- 学校での困りごとがあるときや、ご家庭で対応に迷うときは、学校に伝えましょう。声かけの効果が出るまで待つ必要はありません。
成功した日や頑張った日だけでなく、普段の挨拶や何気ない会話も大切にしてみましょう。いつも上手に声をかけようと気負わなくても大丈夫です。強く言ってしまったときは、後から言い直すこともできます。
自己肯定感は、できた・できないだけで自分の価値を決めないこと
「できる自信」と「自分を大切に思うこと」を分けて考える
自己肯定感とは、自分の価値を認め、自分を大切に思う感覚です。「この問題が解ける」という自信と、「解けないときも、自分は大切な存在だと思えること」は、分けて考えられます。
例えば、テストで間違えたときの「この計算はまだ分からない」は、学習上の困りごとを表しています。一方、「間違えた自分はだめだ」は、できなかったことで、自分そのものを否定する言葉です。点数を無理に前向きに捉え直そうとせず、「この計算が分からなかったんだね。できないところがあっても、あなたを大切に思う気持ちは変わらないよ」と、学習上の課題と本人の価値を分けて伝えてみましょう。
よい点数を取ったり、何かが得意になったりしたときは、喜んで大丈夫です。ただ、成績や積極性、友達の数だけで、その子の価値を決めないことが基本。いつも前向きでいることや、人前ではっきり話すことを目標にする必要もありません。
教育再生実行会議の第10次提言でも、自分の価値を認め、他者の価値も尊重する環境づくりの重要性が示されています。自分を大切にすることは、誰かより優れているかを確かめ続けることではありません。
「低い子」と決めず、その言葉が出た場面と困りごとを見る
「どうせできない」という発言や、失敗へのためらいだけで、自己肯定感が低いとは判断できません。いつ、どんな場面でそう言ったのか、何に困っているのかを聞いてみましょう。
宿題を始める前なら、やることが分からないのかもしれません。間違いを見つけた後なら、直し方に困っているのかもしれません。友達の話の途中なら、相手の言葉が気になっている可能性もあります。いずれの場合も、推測で決めつけず、「この問題のこと?」「何か言われて気になったことがある?」など、その場面に合った質問を一つ選んで聞いてみましょう。
- 「やり方が分からない」と話すなら、どこで困っているかを一緒に探します。
- 「間違えると笑われる」と話すなら、何があったかを聞き、必要に応じて学校と共有します。
- 「疲れた」と話すなら、その場で振り返りを求めず、休むことを優先します。
- 理由が分からない、話したくないというときは、答えを急がせずに待ちます。
こうして話を聞くのは、子どもを分類するためではなく、どう支えるかを考えるためです。発言の回数や当てはまる項目の数で判断せず、何に困っているのか、宿題や学校生活などにどう影響しているのかを見ましょう。
結果だけでなく、子どもの行動や思いを言葉にする
点数や他の子との比較ではなく、見聞きした事実を伝える
声をかけるときは、「実際に見聞きしたことを伝えているか」「他の子と比べたり、条件付きで評価したりしていないか」を意識してみましょう。大きな成果を探そうとするより、目の前の行動や本人が話した思いを、具体的な言葉にしてみましょう。
例えば、「すごいね」だけでは何をほめているのか伝わりにくいときは、「分からないところを教科書で探していたね」と付け加えてみましょう。「すごい」「えらい」という言葉を避ける必要はありません。何を見てそう思ったのかも伝えてみてください。
中央教育審議会の答申では、愛情や励ましの意図が伝わる肯定的な接し方が示されています。以下の会話例や手順は、その姿勢を踏まえた編集部の提案です。公的機関が指定した方法や、効果が保証された方法ではありません。言葉をそのまま覚えるより、ご家庭で普段使っている表現に置き換えてください。
| 場面 | 注目する事実 | 言葉の例 | 合わないときの対応 |
|---|---|---|---|
| テストでよい結果が出た | 本人が喜んでいること、実際に見た取り組み | 「うれしいね。昨日は間違えた問題を見直していたね。」 | 取り組みを見ていなければ、決めつけずに「どんなふうに取り組んだの?」と聞きます。 |
| 間違い直しをしている | 分からない箇所を探した行動 | 「分からないところを教科書で探していたね。」 | 困っている様子なら、取り組みを認めるだけで終わらず、「一緒に見てみる?」と聞きます。 |
| 手伝いをした | 食器を運んだという具体的な行動 | 「食器を運んでくれてありがとう。」 | 返事がなくても、お礼に反応してもらおうとしたり、次の手伝いを求めたりしません。 |
| 何もできなかったと本人が感じている | 「今日は何もできなかった」と話したこと | 「今日は何もできなかったと感じているんだね。大切に思っているよ。」 | 話したくなければ問いかけを重ねず、いつもどおりの挨拶や関わりを続けます。 |
よい結果は一緒に喜んだうえで、点数だけで話を終えず、「うれしかったのはどんなところ?」など、本人が話したいことにも耳を傾けます。「友達よりできたね」と比較したり、「次もこの点数を取ろうね」と次の成果を求めたりせず、今の喜びを受け止めましょう。
ほめる材料がない日や、言葉を受け取らないときは
努力を見ていないときは、想像で「たくさん頑張ったね」とほめる必要はありません。「どんなふうに取り組んだの?」と聞き、本人が話してくれた内容に合わせて言葉をかけましょう。話したがらなければ、無理に聞き出さなくて構いません。
何もできなかったと話す子どもに、急いで「でも、これができたでしょう」と、できたことを探して挙げる必要もありません。「今日はうまくいかなかったんだね」と聞いたうえで、一緒に過ごしたり、好きなことの話をしたりして、できたかどうかを評価せずに関わることもできます。役に立つことや頑張ることは、大切にされるための条件ではありません。
声をかけても反応が薄いときは、うれしそうな返事を求めないようにしましょう。「自分でもすごいと思うでしょう?」と、自分を肯定するよう促す必要もありません。「そうじゃない」と言われたら、「そうだったんだ。どこが違った?」と聞き直します。
「ほめなくていい」と言われた場合も、「せっかくほめたのに」と返すより、「今は言われたくないんだね」と受け止め、いったん声をかけるのをやめても大丈夫です。1回の反応だけで、声かけがうまくいったかどうかを判断する必要はありません。
注意するときも、言い直すときも、人格と行動を分ける
子どもの気持ちを受け止めることは、すべての行動を許すことではありません。危険な行動や、人を傷つける行動は止めます。「だめな子」ではなく、「物を投げるのは危ないから止めよう」と、行動と理由を伝えましょう。必要なら「その物は机に置こう」と、今してほしいことも具体的に伝えます。
保護者の方も、余裕がなくて強く言ってしまうことはあります。そのときは、強い言い方をしたことを謝ったうえで、本来してほしかったことは、謝罪とは分けて伝え直しましょう。
「さっきは『何もできない』と言ってごめんね。片づけてほしかったけれど、あなたを否定する言い方だったね。言い直すね。床のおもちゃを箱に戻してほしかったんだ。」
「でも、片づけなかったから」と条件を付けず、強い言い方をしたことを謝ります。してほしいことは、それとは別に伝えます。謝ることは、危険な行動を止めたり、生活上のルールを伝えたりするのをやめるという意味ではありません。
謝った後に、すぐに許してもらおうとしたり、返事を求めたりする必要はありません。子どもがまだ話したくない様子なら、時間を置きましょう。保護者の方も話し続けるのが難しいときは、安全を確認したうえで、「今は落ち着いて話せないから、少し後で話すね」と伝えて、いったん話を中断しても大丈夫です。
「どうせできない」や失敗の場面では、励ます前に聞く
本人の言葉を受け止め、気持ちを決めつけずに確かめる
「どうせできない」と言われると、「そんなことないよ」と励ましたくなるかもしれません。まずは「できないと思っているんだね。どのあたりが難しそう?」と、本人が感じていることを聞いてみましょう。
気持ちを受け止めることと、「あなたにはできない」と同意することは違います。「できないと思っているんだね」は、本人が今そう感じていることを確かめる言葉です。できるかどうかの結論を、その場で出す必要はありません。
「悔しかった」と話したら、「悔しかったんだね」と返せます。ただし、本人が言っていない気持ちを、先回りして決めつけないようにしましょう。「違う」と言われたら、「そうだったんだ。どんな感じだった?」と聞き直しましょう。言葉が出てこなければ、何度も質問を重ねなくても大丈夫です。
友達と比べて落ち込んでいるときも、「でも、あなたのほうが算数はできる」と別のことで優劣をつけて慰める必要はありません。「どんなところが気になった?」と聞きます。「自分もできるようになりたい」のか、「できないことを笑われた」のかでは、どう支えるかも変わります。からかいなどの困りごとは、本人の考え方だけの問題にせず、学校に伝えることも考えましょう。
聞いてほしいのか、一緒に考えたいのかを尋ねる
本人が話せそうなら、「今は話を聞いてほしい? 一緒に考える?」と尋ねてみましょう。聞いてほしいときは、すぐに解決策を並べず、話を受け止めます。一緒に考えたいときは、何を手伝ってほしいかを確かめます。
子ども「頑張ったのに失敗して、悔しかった。」
保護者の方「悔しかったんだね。今は話を聞いてほしい? 一緒に考える?」
子ども「今は聞いてほしい。」
保護者の方「うん、聞くよ。」
聞くと決めたら、話の途中で「次はこうすればいい」と切り替えず、本人の話が終わるのを待ちます。保護者の方から提案したいときは、「考えたことを話してもいい?」と一度聞いてから伝えましょう。
子どもが泣いているときや、「話したくない」「疲れた」と言っているときは、この問いかけに、無理に答えてもらう必要はありません。「今は話さなくてもいいよ。話したくなったら聞くよ。」と伝え、振り返りをいったん止めましょう。返事がないからといって、話し合う気がないと決めつけないようにします。
次の一歩は本人と選び、再挑戦を急がせない
子どもが落ち着き、次にどうするかを考えたいと思えたら、少しだけ試すことも含めて、本人と相談します。「一緒に始める」「一部だけ試す」「今日は休む」のどれを選んでも大丈夫です。選べない場合は、無理にその場で決めさせないようにしましょう。
「一部だけ試す」なら、宿題を全部終えようとせず、「問題文を一緒に読む」「分からない場所に印を付ける」など、何をするかを具体的に決めます。本人が選んだところまで終えたら、すぐに課題を追加せず、「ここまでにする? 続けたい?」と確かめます。途中で気が変わったら、休んでも構いません。
「もう1回やればできる」と、すぐに再挑戦させたり、成功を求めたりする必要はありません。中央教育審議会の答申でも、失敗や試行錯誤を見守り、支える考え方が示されています。励ましを添えるなら、「絶対できる」より、「必要なら一緒に考えるよ」と、実際にできる手助けを伝えましょう。
ただし、物を投げる、人をたたくなどの行動は、気持ちを聞くこととは別に止めます。「悔しい気持ちは聞くよ。でも、たたくのは止めよう。」と伝え、安全を確保してから話を聞きます。
勉強で自信をなくしたときは、教科書・ノート・例題に戻る
学校で習った範囲と、分からなくなった箇所を確かめる
宿題で「できない」と言ったときは、できないことと、その子自身の価値を分けて考えることが大切です。励ますこととは別に、学習のどこで困っているかを確認しましょう。本人が見直せそうなら、宿題、該当する教科書、授業のノートを用意します。
最初に「学校ではどこまで習った?」と尋ねます。覚えていないようなら、ノートの日付や宿題の指定ページを一緒に確認します。まだ習っていない内容なのか、習った内容のどこかで困っているのかを確かめてから、説明を始めましょう。
次に、問題の意味が分からないのか、取りかかり方に迷っているのか、途中で分からなくなるのかを確認します。「分からないところを説明して」と任せきりにせず、「何を答える問題かな」「ここまではどう考えた?」と、問題文やノートを見ながら確かめます。言葉で説明しにくければ、困っている箇所を指してもらうだけでも大丈夫です。
教科書の説明・授業のノート・例題を一緒に見比べる
手元の教材で見直すときは、次の順で確認してみましょう。答えを急がず、学校で習った説明と、本人が途中までどう考えたかを照らし合わせます。
- 教科書で宿題と同じ内容の単元を開き、用語の説明や図、考え方が書かれているページを確認します。
- 授業のノートを見ます。学校で使った図、式、途中の考え方を確かめます。書いてある内容が分からなければ、本人に無理に説明させず、先生に確認する箇所として残しておきます。
- 教科書の例題と宿題を見比べます。数字や答えだけでなく、「何を求めるのか」「図のどこを見ているのか」「式が何を表すのか」を確かめます。
- 本人が途中までどう考えたかをたどります。分かるところまで戻り、その次のどこで迷うのかを探します。進めたところと、まだ分からないところを本人と確認したら、いったん見直しを終えます。
例えば算数で、「例題は読めるけれど、宿題の式を立てられない」という場合は、例題の式をそのまま当てはめるよう促す前に、「例題では何を求めている? この問題では何を求めるのかな」と見比べます。問題文の数量が図のどこに当たるか分からなければ、「学校で使った図と同じように見てみようか」と、図と文の対応を確認します。
一方、式を立てるところまでは本人が説明でき、計算の途中で止まるなら、問題全体の説明を最初から繰り返すより、その計算を確かめます。同じ「できない」でも、止まった箇所に応じて手助けを変えましょう。保護者の方が知っている別の解き方をすぐに教えるのではなく、まず学校で使った方法をもとに考えます。
分からないときは問題を増やさず、戻る・休む・先生に確かめる
例題の説明でも分からない場合は、すでに習った内容のうち、例題で使っている部分だけを確認し直します。用語の意味が分からないなら、その言葉を説明しているページを確認します。計算の手順が分からないなら、その計算を習ったページに戻りましょう。「前の学年から全部やり直そう」と、広い範囲の復習を最初から求める必要はありません。
どこまで戻ればよいか分からないときや、ノートを見ても学校で習った解き方が分からないときは、担任の先生に確認してみましょう。先取り学習や問題数を増やすことから始めず、今の課題に必要な説明を確かめましょう。
疲れてきたときは、分からない箇所に付箋を付けるなどして中断します。提出する宿題が終わらない場合は、学校の連絡方法に合わせて、取り組んだ範囲と困っている箇所を伝えましょう。保護者の方が答えを埋めて、宿題を終わらせておく必要はありません。
同じ箇所でつまずくことが続く場合は、教材名、ページ、本人の言葉を学校と共有します。「教科書の例題までは一緒に見ましたが、この説明で手が止まります」と伝えると、確認してほしい箇所が具体的に伝わります。ご家庭で解決できないことを、本人や保護者の方の努力不足と捉えないようにしましょう。
学年を目安に、言葉と手助けの量を調整する
学年は、声かけの例を選ぶための目安です。「この年齢なら1人でできるはず」と判断する基準ではありません。同じ学年でも、その日の様子や本人の希望に合わせて、どこまで手助けするかを調整しましょう。
| 学年の目安 | 問いかけの例 | 任せる範囲・確認すること |
|---|---|---|
| 小学1年生・小学2年生 | 「一緒に始める? そばで見ていようか?」 | 始めるところだけ手伝うか、見守るかを確かめます。 |
| 小学3年生・小学4年生 | 「どこまで自分でやって、どこを手伝ってほしい?」 | 本人に任せる部分と、手助けする部分を相談します。 |
| 小学5年生・小学6年生 | 「今話してもいい? あとで聞こうか?」 | 話すタイミングや場所、どこまで関わってほしいかを確かめます。 |
低学年の例:短い言葉と具体的な選択肢で確かめる
小1・小2への声かけでは、「どうしたい?」だけで答えにくそうなら、具体的な選択肢を示すこともできます。例えば、宿題の前で手が止まっているときに、「教科書を一緒に開く? 自分で開いてみる?」と、今することを短い言葉で聞きます。
低学年でも、本人が1人で試したいときは見守ります。「分からなくなったら呼んでね」と伝え、手を出しすぎないようにします。選べない様子なら、「今は決めなくてもいいよ」と伝え、選ぶことが新たな負担にならないようにしましょう。
中学年の例:任せるところと手伝うところを相談する
小3・小4では、「どこまで自分でやって、どこを手伝ってほしい?」と、どこまで手伝うかを相談します。「最初は自分で考えて、困った問題だけ一緒に見る」「終わってから見てほしい」など、本人の希望を具体的に確かめます。
見守っている途中で間違いに気付いても、危険がない場面では、すぐに口を挟まず、あらかじめ約束したところまで進んでから確認することもできます。一方、本人が「やっぱり手伝って」と言ったら、最初の約束を守らせることより、今どんな手助けが必要かを聞いてみましょう。任せることは、困っても助けないという意味ではありません。
高学年の例:話すタイミングや場所、支えてほしい範囲を尋ねる
小5・小6には、「今話してもいい? あとで聞こうか?」と、話すタイミングを聞いてみましょう。きょうだいなどがいる場所では話したくない場合もあるため、「ここで話して大丈夫?」と場所についても聞いてみましょう。
学校に相談するときも、「先生に何を伝えてほしい? 伝えるときに心配なことはある?」と聞いてみましょう。ただし、安全に関わる心配は、本人だけに判断を任せず、大人が共有します。
高学年でも、一緒に取り組みたいときは手助けして大丈夫です。どの学年でも、「1人で試したい」「そばにいてほしい」という希望に応じて調整し、学年だけを理由に手助けを増やしたり減らしたりしないようにしましょう。
気になる様子は、ご家庭だけで抱えず学校と共有する
本人の困りごとや保護者の方の負担があるときは相談してよい
子どもの自己肯定感が、保護者の方の言動だけで決まると考える必要はありません。文部科学省の家庭教育支援でも、地域などで子育てを支える取り組みが案内されています。ご家庭だけですべてに対応しようとせず、学校や地域の支援も利用してみましょう。
- 本人が「助けてほしい」と求めている。
- 学校に行きたくない理由として、からかいや困りごとを話している。
- 自分を責める言葉が繰り返され、宿題に取りかかれないなど、生活上の困りごとがある。
- 保護者の方が対応に迷い、負担を感じている。
これらは、自己肯定感の低さを診断する基準ではなく、相談を考える場面の例です。すべてに当てはまらなくても相談でき、相談する前に一定期間声かけを試す必要もありません。まずは「学校ではどのように過ごしていますか」と、様子を尋ねてみましょう。
担任の先生には、場面・本人の言葉・試したことを伝える
担任の先生には、「自己肯定感が低いようです」という評価だけでなく、実際の場面を伝えましょう。いつ、どこで、何と言ったか、ご家庭で試したこと、学校で確認してほしいことをまとめます。保護者の方が見た事実と、本人から聞いた話は分けて伝えると、何を確認したいのかが分かりやすくなります。
相談メモの記入例:
場面:
今週、帰宅後に自宅で算数の宿題をしていたとき。
本人の言葉:
「分からない。自分はだめだ」
困っている箇所:
算数の教科書○ページの例題。途中の式を書くところで手が止まります。
自宅で試したこと:
教科書と授業のノートを一緒に確認しました。本人が疲れたと話したため、途中で休みました。
学校で確認してほしいこと:
授業中も同じ箇所で困っているか、学校ではどのように説明しているか。
連絡帳などでは、次のように短く伝えることもできます。分かる範囲を伝えればよく、相談の前に情報をすべてそろえる必要はありません。
「宿題で分からないときに『自分はだめだ』と話します。教科書のこのページで手が止まります。授業中の様子と、学校での説明方法を教えていただけますか。」
からかいについて話している場合は、「本人は『間違えると笑われる』と話しています。私はその場面を見ていないため、授業中の様子を教えてください。」と、本人の言葉をそのまま伝えられます。状況を確認し、本人が学校で困ったときに誰に伝えればよいかも相談しましょう。
本人には、可能な範囲で「担任の先生に、宿題で困っているところを伝えたい」と説明します。「言わないで」と言われたら、誰に知られるのが心配なのか、どの内容を伝えてほしくないのかを聞きます。すべてを秘密にすると約束するのではなく、伝える相手や内容を相談しましょう。安全に関わる心配があるときは、伝えるのを先延ばしにしません。
学校と話した後は、確認できたことと、ご家庭・学校それぞれで試す対応を整理します。学校では困っていないように見えても、ご家庭での様子について伝えた内容を取り消す必要はありません。学校と家庭での様子の違いを伝え合い、困りごとが変わったり対応が難しかったりしたら、改めて相談しましょう。
学校に話しにくいときは、公的な相談窓口も利用できる
担任の先生に話しにくい場合は、養護教諭やスクールカウンセラーなど、校内の別の担当者にも相談できます。相談できる担当者や相談方法は、学校に確認してください。学校の外で相談したいときは、文部科学省の子供のSOSの相談窓口から、電話・SNS・地域の窓口を探せます。
24時間子供SOSダイヤルは、子ども本人や保護者の方などが、学校や人間関係の悩みを相談できる電話窓口です。夜間・休日を含め24時間利用でき、電話番号は0120-0-78310です。
原則として、電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。医療・救急の窓口ではなく、いじめなどの悩みや困りごとの相談先として利用できます。
今日、声をかける場面があれば、まずは「どのあたりが難しそう?」と一つ聞いてみましょう。話したくない様子なら、「話したくなったら聞くよ」と伝えるだけでも大丈夫です。
参考情報
- 教育再生実行会議「第10次提言」(文部科学省掲載、PDF)
- 文部科学省・中央教育審議会答申「青少年の意欲を高め、心と体の相伴った成長を促すための方策について」第3章
- 文部科学省「家庭教育支援」
- 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」
- 文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」
監修:新興出版社啓林館 坂本陽一