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日付
2026/10/17

中学受験の勉強時間はどう決める?小4〜小6の重点と、ご家庭での組み立て方

中学受験の勉強時間はどう決める?小4〜小6の重点と、ご家庭での組み立て方

受験を考え始めたご家庭で、まず浮かぶのが「中学受験には、どのくらいの勉強時間が必要ですか?」という疑問です。結論から言えば、合格に必要な勉強時間について、全国一律の目安や平均といえる数字は確認されていません。

必要な時間は、志望校の出題範囲、塾の有無と授業量、そしてお子さんの今の理解度によって、家庭ごとに変わります。条件が違う以上、よその家の数字と比べても、答えは出ません。

代わりに頼りになるのが、ご家庭の記録です。学校・塾・家庭学習の時間を分けて記録すれば、「足りているか」「どこを直すか」を感覚ではなく事実で判断できるようになります。

小学4年生・小学5年生・小学6年生と、受験準備の重点は段階ごとに変わりますが、時間の組み立て方は共通です。ほかの家庭の数字を気にするより、「わが家に合った基準」を育てるほうが確実です。

中学受験の勉強時間に「全国一律の答え」はない

「受験生は平日3時間」といった数字を目にしたことがあるかもしれません。こうした数字の多くは、特定の塾に通う子どもを対象にした調査や、個別のご家庭の体験談に基づくものです。すべてのご家庭にあてはまる基準ではありません。

合格に必要な時間が家庭ごとに違う3つの条件

必要な時間が家庭ごとに変わる条件は、主に3つあります。

  • 志望校の出題範囲:学校によって出題される教科・単元・問題量が異なり、範囲が広いほど準備に必要な時間は増えます
  • 塾の有無と授業量:塾に通う場合は授業と塾の宿題が学習の柱になり、家庭学習中心の場合は進め方をご家庭で決めます
  • 今の理解度:学校の学習内容がどこまで身についているかで、受験勉強の前に必要な土台づくりの時間が変わります

条件が違えば、必要な時間が違うのは当然です。よその家の数字を気にするより、まずわが家の3つの条件を書き出してみましょう。志望校の出題範囲は学校案内や塾の資料で、今の理解度は学校のテストの結果や教科書の例題が解けるかどうかで、おおまかに把握できます。

「学校・塾・家庭学習」の時間を混同しない

「1日3時間勉強している」という話を聞いても、その内訳は家庭ごとに違います。学校の宿題を含むご家庭もあれば、塾の授業時間まで含めているご家庭もあります。

内訳が違う数字を比べるのではなく、「学校の時間」「塾の時間(授業と塾の宿題)」「家庭学習の時間」の3つに分けて考えるのが基本です。比較するなら、内訳をそろえた「家庭学習の時間」どうしですが、それでも条件が違う以上、参考にできるのは組み立て方の考え方だけです。

「足りているか」を見る3つのサイン

時間の長さの前に、次の3つがそろっているかを見てください。そろっていれば、今の時間配分に大きな問題はないと考えられます。

  • 復習できている:塾や学校で習った内容を、その週のうちに見直せている
  • 睡眠が取れている:就寝時刻が守られ、朝すっきり起きられている
  • 学校の学習がおろそかになっていない:学校の宿題や授業の準備が後回しになっていない

どれかが崩れているなら、時間を増やす前に配分の見直しが必要です。どこに問題があるかは、時間を記録してみると分かりやすくなります。次の見出しの手順で、1週間記録してみましょう。

まず「見える化」:学校・塾・家庭学習を分けて1週間記録する

「うちの子はどのくらい勉強しているか」と聞かれて、すぐ答えられますか。感覚ではなく記録で把握することが、時間を考える第一歩です。

3つの時間に分けて1週間記録する手順

用意するのはノートか1枚の表だけです。次の手順で1週間記録します。

  1. 月曜から日曜までの欄を作り、「学校の宿題」「塾の授業・塾の宿題」「家庭学習(自分で進める学習)」の3列に分ける
  2. 毎日、その日にかかった時間をおおよその分数で記入する。正確さより、続けることを優先する
  3. あわせて就寝時刻もメモしておく
  4. 1週間たったら、保護者の方と子どもで一緒に見返す

記入例:
分数はあくまで記入例です。「気づきメモ」の欄はなくても構いません。

曜日学校の宿題塾の授業・宿題家庭学習就寝時刻気づきメモ
月曜40分50分15分21:30算数の直しに30分かかった
火曜30分塾の授業あり10分21:45塾の日は就寝が遅れがち

「算数の直しに30分かかった」「塾の日は就寝が遅れがち」など、気づきをひとこと添えておくと、1週間後にどこを見直すか考える材料になります。感想ではなく事実を書くのがコツです。記入は保護者の方が行っても、お子さん自身が行っても構いません。高学年なら本人に任せると、自分で振り返る意識も持ちやすくなります。

ご家庭での声かけ例:
「今日はどのくらいかかった?」「どこで時間がかかった?」と、出来不出来を問うのではなく、その日の様子を聞きます。記録を「これだけしかやっていないの」と責める材料にすると、記録自体を嫌がるようになります。

千葉県教育委員会「家庭学習の習慣化を図ろう」では、家庭学習の習慣化のために、子ども自身が計画を立てる取組が紹介されています。中学受験に必要な時間の基準ではありませんが、記録や振り返りに本人が関わる考え方は、受験準備にも生かせます。

記録から読み取る3つのこと(復習の所要時間・学校の宿題・就寝時刻)

記録がそろったら、次の3点を読み取ります。

  • 塾の復習に実際何分かかっているか:テキストの見直しやテストの直しに、想像より時間がかかっていないか
  • 学校の宿題が圧迫されていないか:受験勉強のために、学校の宿題が深夜にずれ込んでいないか
  • 就寝時刻が守れているか:寝る時刻が日によって大きくずれていないか

「足りない」と感じても、すぐに時間を増やすのは待ちましょう。どこに時間がかかっているかが分かれば、増やさなくても足りることがあります。

塾なしの場合の記録方法(学校の宿題と教科書の進度)

塾に通っていないご家庭では、「学校の宿題」と「教科書の進度」を中心に記録します。学校の宿題に何分かかったか、教科書のどこまで自分で進められたかを書き留めます。

学習の進み具合は、学校で習う順序に沿って確認すると分かりやすくなります。算数なら単元の初めから例題を順に、国語なら漢字や言葉の学習、読解の順に取り組む形です。「どこまで進めるか」も、学校の進度と教科書の単元の区切りに合わせて決めると、計画を立てやすくなります。

学年の段階で変わる重点:小4・小5・小6の時間の使い方

「小4は何時間」「小6は何時間」という問いにも、一律の数字ではお答えできません。ただし、段階ごとに何を優先するかは、はっきりしています。なお、各段階で紹介する1日の流れにある時刻・分数は、組み立て方を示す例であり、一律の基準ではありません。

小4:量より毎日の習慣づくりを優先する

小4は、受験勉強の土台をつくる時期です。長時間机に向かうことより、「毎日決まった時間に机に向かう」習慣をつくることを優先しましょう。

学校の宿題に加え、計算や漢字などの短い基礎練習を毎日行う形なら取り組みやすいでしょう。習慣になるまでは、内容の難しさより「今日もできた」の積み重ねを大切にします。

帰宅から就寝までの流れの例(小4):
16時ごろ 帰宅・休憩→16時30分ごろ 学校の宿題→終わり次第 自由時間→18時30分ごろ 夕食→19時ごろ 計算・漢字などの短い基礎練習(10〜15分)→20時30分ごろ 入浴・自由時間→21時ごろ 就寝。

ポイントは、学習時間を短めに区切り、毎日同じ時間帯に設定することです。量を増やすより先に時刻を固定し、「その時間になったら机に向かう」流れを作ります。下校時刻や習い事の日に合わせて、時刻は調整してください。

小5:量が増える時期、復習できているかを確認する

小5は、塾のカリキュラムの量が増え、内容も難しくなる時期です。「やることが多すぎて、全てがが浅くなる」状態が起きやすくなります。

確認したいのは、きちんと復習できているかです。塾で習った内容をその週のうちに見直せているか、テストの直しがたまっていないかを、記録とあわせてチェックします。

週の型としては、「塾の授業→その週のうちの復習→週末の直し」のサイクルを意識します。塾のある日の帰宅後は「翌日の準備と短い暗記だけ」と決め、復習は塾のない日にまとめると、1日あたりの負担の偏りを減らせます。曜日ごとの型は、次の見出しのモデル例も参考にしてください。

全部やろうとして続かなくなるくらいなら、やることを絞る判断が必要です。塾の宿題の優先順位は塾の先生に相談できます。塾なしのご家庭では、問題集を「1冊を繰り返す」形に絞ると、復習しやすくなります。

小6:仕上げの時期、配分の中心を直しと過去問に移す

小6は仕上げの時期です。新しい教材に手を広げるより、過去問や模試の直しを時間配分の中心にします。

過去問は「解いて終わり」にしません。間違えた問題は、どの単元の理解不足が原因かを、教科書やノートに戻って確認します。解く時間より、直す時間を長めに確保するイメージです。

帰宅から就寝までの流れの例(小6・塾のない日):
16時ごろ 帰宅・休憩→16時30分ごろ 学校の宿題→17時ごろ その週に解いた過去問・模試の直し→18時30分ごろ 夕食・休憩→19時15分ごろ 理科・社会など暗記系の復習→20時30分ごろ 入浴→21時ごろ 就寝前の短い暗記→21時30分ごろ 就寝。

直しの時間を、夕食前のまとまった時間に置くと確保しやすくなります。塾のある日は帰宅後を短い暗記だけに絞り、直しは塾のない日に行います。

どの段階でも、睡眠を削らないことがたいせつです。夜更かしして勉強時間を増やすのは、どの学年でも避けましょう。

平日・休日・長期休暇の時間配分の組み立て方

現状が見えたら、次は時間配分を考えます。組み立て方と、調整の参考になるモデル例を示します。時刻や分数はあくまで例であり、一律の基準ではありませんので、学校や塾の予定に合わせて調整してください。

平日の型:宿題と復習を先に、就寝時刻から逆算する

平日は、就寝時刻から逆算して組み立てます。寝る時刻を先に決め、そこから夕食・入浴・自由時間を引いて、残りを学習にあてます。学習時間を先に確保してから寝る時刻を決めると、睡眠時間を削りやすくなるので避けます。

「学校の宿題→塾の復習(塾なしなら教科書の例題)→短い暗記」の順に進めると、予定を組み立てやすくなります。頭を使う復習を先に済ませ、暗記は寝る前の短い時間に行います。

平日のモデル例(塾のある日):
下校後に学校の宿題を済ませて塾へ。塾から戻ったら翌日の準備と短い暗記だけにし、復習は塾のない日にまとめて行います。

平日のモデル例(塾なしの日):
学校の宿題→教科書の例題の見直し(算数と国語を日替わりに)→計算や漢字などの短い練習→就寝前に暗記系。

計画づくりには、千葉県教育委員会の案内にある「子ども自身が計画を立てる」考え方が参考になります。大まかな予定は保護者の方と一緒に決め、曜日ごとの中身は本人に任せると続きやすくなります。

休日の型:まとまった時間は1週間の復習と苦手の克服に

休日は、平日にできなかったことに取り組む日です。時間帯で役割を分けると、だらだら過ごすことを防げます。

  • 午前:頭が冴える時間に、思考系の問題と1週間の復習
  • 午後:暗記系や読解など、集中が続きにくい時間でも進められるもの
  • 夕方:その週の間違い直しと、翌週の予定の確認

休日のモデル例(塾あり):
午前に塾テキストの復習とテストの直し→昼食と休憩→午後に苦手単元の例題演習→夕方に1週間の記録を保護者の方とお子さんで見返す。

休日のモデル例(塾なし):
午前に教科書の例題と問題集の演習→午後に読書や言葉の学習・漢字→夕方に間違い直しと翌週の予定立て。

丸一日学習に充てる必要はありません。運動や遊びの時間も計画に入れておくと、メリハリのある休日になります。

長期休暇の型:立て直しの期間にする、予備日と家族の時間

夏休みなどの長期休暇は「追い込む期間」ではなく「立て直しの期間」と捉えます。たまった復習を終わらせること、苦手単元の克服、生活リズムの整え直しが主な目的です。

組み立てのコツは3つあります。

  • やることは週単位で決め、1日単位の細かい計画にしすぎない
  • 予定を入れない予備日を週に1日設け、計画のずれを吸収する
  • 旅行や家族の時間は先にカレンダーに書き込み、学習と両立させる

週単位の「やること」の例は、「算数の苦手単元を1つ、例題からやり直す」「漢字の総復習」「読書」などです。週の初めに本人と一緒にカレンダーへ書き込み、終わったものから消していくと、進み具合が見えます。

予備日があると、ずれたときに「全部やり直し」にならずに済みます。長期休暇の計画も、学校や塾の課題と重ならないよう、事前に調整しておきましょう。

時間はあるのに伸びないとき:原因の見分けと教科書・ノート・例題の見直し

机に向かう時間は確保できているのに、成績につながらない。そんなときは、時間の量ではなく中身の問題です。まず、様子から原因を見分けます。

原因の見分け:座っている時間と身についている時間は違う

座っている時間と、身についている時間は一致しません。次の表で、子どもの様子に近いものを探してください。「最初に確認すること」では、ご家庭で確かめられる項目に絞っています。

家庭で見えるサイン最初に確認すること最初の対応
同じ問題を何度も間違える間違えた問題を、日を空けて解き直しているか問題に印をつけ、週の予定に「直しの時間」を組み込んで解き直す。
例題は解けるのに、応用・発展で止まる教科書の例題を、答えを見ずに解けるか教科書・ノート・例題に戻る(手順は次の見出し)。
問題集を開いても、どこから始めるか決まらない「今日やること」が教科・ページ・量まで具体的か前の日の終わりに、翌日の1行予定を書き出す。
長い時間座っているのに進まない途中で他のことをしていないか、1題にかかっている時間時間を区切り、区切りごとに進んだ量を確かめる。場所や順番を変える。
塾の宿題を終えるだけで、やり直しに手が回らない1週間の記録で、やり直しに残っている時間やることを絞る。塾の宿題の優先順位は塾に相談する。
朝起きられない・うっかりミスが増えた就寝・起床の時刻と朝の様子学習量の前に就寝時刻を見直す。続くなら医療機関等へ相談。

「がんばっているのに」と感じていても、表を見ると別の原因が見えてくることがあります。責めるのではなく、原因に合った対処に切り替えましょう。

つまずき(基本理解への戻り)の場合:
戻る地点は、次の見出しの手順で探します。教科書の目次→授業で使ったノート→例題→練習問題の順にたどると、どこで止まっているかを特定できます。

やり方が決まらない場合の開始手順:
前の日の終わりに、翌日やることを「教科・ページ・量」で1行書き出します(例:算数・教科書の42〜43ページ・例題3問)。翌日はその1行だけを開いて始め、終わったら次の1行を書きます。

疲れが見える場合に、学習より先に確認する項目:
就寝時刻・起床時刻・朝の様子・日中に眠そうにしているかの4点を、1週間メモします。生活リズムの乱れがあれば、学習量ではなく就寝時刻を先に見直します。生活を見直しても眠りの問題が続く場合の相談先は、「相談の目安」の見出しにまとめています。

声をかけると反発して話が進まない場合の「選択肢の出し方」は、「放っておく範囲と声かけ例」の見出しで、会話例とあわせて紹介します。

教科書・ノート・例題に戻る見直しの手順

基本から見直すときは、学校で習った順序に沿って確認します。手順は次のとおりです。

  1. 間違えた問題がどの単元の内容かを、教科書の目次で特定する。
  2. 授業で使ったノートの該当部分を読み直す。板書や書き込みが、当時の理解の手がかりになります。あわせて教科書の本文も読み直す。
  3. 教科書の例題を、答えを隠してもう一度解く。
  4. 例題がすらすら解けたら、練習問題や類題に進む。
  5. 例題で止まるなら、そこがつまずきの地点です。印をつけて翌日もう一度挑戦し、それでも止まるようなら、学校の先生や塾の先生に聞くための「聞くことメモ」に残しておく。

新しい問題集を増やす前に、まずは例題を確実に解ける状態にしましょう。教科書とノートには、学校で習った順番と本人がどこまで理解していたかの記録が残っています。

見直しの後に練習素材が必要な場合は、例えば、ナビクロの無料学習プリントでは、学年・教科で絞り込んで印刷用の教材を探せます。まず教科書とノートの見直しを優先し、補足として使ってみてください。

塾ありの場合:テキストとテストの直しの進め方

塾に通っている場合、見直すのは塾のテキストとテストです。次の2つを週の予定に入れます。

  • テキスト:授業で扱った例題を、解説を見ずにもう一度解く
  • テスト:間違えた問題を「ケアレスミス」「解き方が分からなかった」「知識がなかった」の3つに分けて直す

「解き方が分からなかった」が多い場合は、カリキュラムの難度と理解度がずれている可能性があります。ご家庭で無理に補おうとせず、塾の先生に相談しましょう。

直しの時間が取れないほど宿題が多いときは、学習時間を増やす前に、塾の先生と宿題の優先順位を相談しましょう。

睡眠・ゲーム・習い事:削らない時間と両立の基準

受験準備で削ってよい時間と、削ってはいけない時間があります。特に睡眠は削ってはいけません。

睡眠は9〜12時間が目安:勉強時間は睡眠を削らない範囲に

厚生労働省「Good Sleepガイド こども版」では、小学生の睡眠時間の目安は9〜12時間とされ、夜更かしへの注意が案内されています。これは睡眠の目安であり、勉強時間や合格の基準を示すものではありません。

ご家庭のルールとしては、「勉強時間は睡眠を削らない範囲にする」と決めると分かりやすいでしょう。夜更かしで1時間増やしても、翌日の授業で集中できなくなっては元も子もありません。就寝時刻を先に決める組み立ては、「平日・休日・長期休暇の時間配分」で紹介した逆算と同じ考え方です。

ゲームは「禁止」より「時間の枠と約束」で両立する

「勉強した分だけゲーム」というご褒美型は、勉強がゲームをするための手段になり、時間の管理も曖昧になりがちです。代わりに、「1日○分・○時まで」という時間の枠で約束を作ります。

約束のポイントは3つです。

  • 開始と終了の時刻を決め、タイマーなどを使って時間になったら終えられるようにする
  • 守れた日はあえて何も言わない。触れるのは守れなかった日だけにする
  • 就寝時刻をまたぐゲームは例外にしない

全面禁止は、隠れて遊ぶなど別の問題を生むことがあります。息抜きの時間と認めたうえで、決めた時間の範囲で本人に任せます。

約束が守れなかったときは、罰を用意するのではなく、ルールのどこを見直すかを決めておきます。確認するのは次の4点です。

  • 時間の枠が実態に合っているか:長すぎて就寝が遅れていないか、短すぎて毎回延長の交渉になっていないか
  • 開始の条件が決まっているか:「宿題が終わったら」など、始まりの合図が曖昧だと終わりも曖昧になりがちです
  • 終了の仕組みが機能しているか:タイマーや時計が見える場所にあるか
  • 約束の数が多すぎないか:一度に守る約束は絞り、守れるようになったら増やします

見直しの話は、その場ではなく、翌日以降の落ち着いたタイミングで行いましょう。「どこが難しかった?」と聞いてから、一緒に調整します。

習い事を続ける・休むの判断基準

習い事は、「復習できている」「睡眠が取れている」の2つができている間は、続けてよいと考えます。体を動かす時間や好きな活動は、気持ちの切り替えにもなります。

見直しの節目は、塾の量が増える小5の後半など、負担が変わるタイミングです。「続ける・休む・頻度を減らす」の選択肢を、記録を見ながら保護者の方とお子さんで話し合います。

保護者の方が一方的に決めるのではなく、本人の気持ちも聞きましょう。「続けたい」という気持ちがあるなら、曜日の組み換えで両立できることもあります。

放っておく範囲と声かけ例:保護者の方のイライラとの向き合い方

勉強時間の管理で最も消耗するのは、毎日の関わり方です。全部を管理しようとすれば保護者の方が疲れ、全部を任せれば不安が残ります。線引きを決めておきましょう。

放っておいてよいこと・関わったほうがよいこと

放っておいてよいこと関わったほうがよいこと
計画が1日分ずれた生活リズムの乱れ(就寝・起床のずれ)
解き方や進め方の好み週1回の記録の振り返り
テスト1回の点数学習の開始と終了の声かけ

テストの点数は1回ごとに一喜一憂せず、数回分の傾向で見ます。計画のずれは、週の中で戻せれば問題ありません。

場面別の声かけと次の行動:始めない/続かない/解けず止まる/約束を守れない

声かけは一言で終わらせず、そのあとの行動まで決めておくと迷いません。4つの場面に分けます。

始めないとき:
声かけは「最初の5分だけ一緒にやろうか」。開始のハードルだけ下げます。それでも始まらない日が続くなら、「開始の仕組み」を見直します。開始時刻の決め方や、直前の活動(遊び・食事)からの切り替え方を調整します。

始めるが続かないとき:
「今どこで止まってる?」と、責めるのではなく、どこで止まっているかを聞きます。止まる場所が毎回同じなら、区切りを細かくする、場所や道具を変えるなど量と順番を見直します。計画のずれが出たら「今週のどこかで戻せる?」と声をかけ、週単位で予定を調整します。

問題が解けず止まるとき:
「どこで止まったか、一緒に見てみようか」と、戻る先を一緒に決めます。授業で使ったノートと教科書の例題のどこに戻るかを、「教科書・ノート・例題に戻る見直しの手順」に沿って決めます。ご家庭で解決しない場合は「聞くことメモ」に残し、学校や塾で聞く材料にします。

約束を守れないとき:
その場で責めず、翌日に「昨日の約束、どこが難しかった?」と聞きます。次の行動は、ペナルティではなくルールの見直しです。ゲームの約束なら「時間の枠・開始の条件・終了の仕組み・約束の数」のどこを直すかを一緒に考えます(見直しの項目は「睡眠・ゲーム・習い事」の見出しを参照)。

ご家庭での会話例:
保護者の方「そろそろ始めようか」→お子さん(返事がない)→保護者の方「算数からにする?それとも漢字から?」→お子さん「漢字から」→翌日、保護者の方「昨日は漢字から始められたね。今日もその順番でいく?」

返事がないときに畳みかけると、口論になりやすくなりますので、選択肢を2つに絞って示し、選んでもらいます。翌日に見直すことで、「できなかったこと」を指摘するのではなく、「どうすればできるか」を話しやすくなります。

保護者の方がイライラしたときの切り替え方

イライラは、「思ったとおりに進まない」ときに生じやすいものです。そんなときは、いったんその場を離れましょう。飲み物を用意する、別の部屋に行くなど、それだけで気持ちは切り替わります。

落ち着いたら、記録を見て事実を確認します。記録に「今日は20分やった」とあれば、声かけの内容もトーンも変わります。

それでも毎日衝突が続くなら、関わる範囲を「週1回の振り返り」にまで絞る時期かもしれません。距離を取ることも、受験を支える方法の一つです。

相談の目安:学校・塾・医療機関につながるタイミング

ご家庭で見守る範囲と、外部に相談したほうがよい範囲の目安をまとめます。相談は「失敗の報告」ではなく、「時間の使い方を見直すための相談」と考えましょう。

学校の先生・塾に相談する目安

学校の先生に相談する目安は、次のような状態が続くときです。

  • 学校の宿題の負担が大きく、受験勉強との両立が難しい状態が続いている
  • 授業の様子や提出物など、学校での様子に変化が見られる

塾に相談する目安は、次のとおりです。

  • 塾の宿題が毎週未完のまま終わっている
  • 塾のカリキュラムと家庭学習のバランスが崩れている

相談の前に、次の項目をメモしておくと、限られた時間で具体的な話ができます。

  • いつから:気になり始めた時期と、どのくらい続いているか
  • 教科・単元:とくに止まりやすい教科や単元
  • ご家庭で試したこと:時間の記録、教科書・ノートへの戻り方など、すでに試した対応
  • 学校で知りたいこと:授業中の様子、理解の様子、宿題の量について

塾への相談も同じ形で準備できます。「塾の宿題が毎週未完」「直しに使える時間が確保できていない」など、記録をもとに伝えましょう。学校や塾も、状況を共有すれば宿題の量や優先順位の調整に応じてくれることがあります。一人で抱え込む前に、状況を伝えましょう。

眠りの問題が続くときは医療機関等へ相談を

生活リズムを見直しても、寝つきの悪さ・朝起きられない・日中の強い眠気といった眠りの問題が続く場合は、医療機関等に相談するよう案内されています(厚生労働省「Good Sleepガイド こども版」)。

眠りの問題について、ご家庭で診断のような判断はしないでください。かかりつけ医などに相談してみましょう。

まとめ:時間の長さより「わが家の基準」を育てていく

  • 中学受験に全国一律の必要時間は確認されていません。必要な時間は志望校・塾の有無・今の理解度で変わります。
  • まず学校・塾・家庭学習を分けて1週間記録します。「足りているか」は記録と3つのサインで読み取ります。
  • 小4は毎日の習慣、小5は復習の確認、小6は直し中心。どの段階でも睡眠は削りません。
  • 平日・休日・長期休暇は予定の組み方を決め、予備日でずれを調整します。
  • 伸びないときは量でなく中身を見て、教科書の目次→ノート→例題→練習問題の順に戻ります。
  • ゲームは時間の枠で約束し、守れなかったときは罰ではなくルールを見直します。
  • 学校や塾への相談は、「いつから・教科・試したこと・知りたいこと」をメモして臨みます。

今夜からできる最初の一歩は、1週間の記録を始めることです。紙とペンがあれば始められます。記録がたまれば、「わが家に合った基準」が少しずつ見えてきます。

参考情報

監修:新興出版社啓林館 坂本陽一