中学生のお小遣いはいくら?支出範囲と金額の決め方・月の管理の進め方

中学生のお小遣いは、「平均はいくらか」で決めるより、何に使うお金か(支出範囲)を先に決めることが大切です。範囲を決めてから金額を逆算すれば、ほかの家と比べなくても、わが家に合った額を導き出せます。
中学生の子どもがいるご家庭や、春から中学生になる子どもの保護者の方は、お小遣いの仕組みを決める時期ではないでしょうか。小学生のころと比べて行動範囲が広がり、友だちとの外出やデジタルでの支払いなど、お金の使い道が一気に増える時期だからです。
平均額だけでは決めにくいのは、調査の主体や「何をお小遣いに含めるか」によって数字が大きく変わるからです。交通費や文房具を含めるかどうかで月の額はまったく違ってくるため、どの数字も正解にはなりません。
そのため、金額に迷うのは自然なことです。友だちとの時間を大切にさせたい気持ちと、家計や金銭感覚への心配の間で、多くの保護者の方が同じように迷っています。完璧な仕組みを目指す必要はありません。まずは支出の範囲を書き出してみてください。
中学生のお小遣いは「平均」ではなく「使う範囲」から決める
小学生のころと何が変わる?中学生のお金の使い道
中学生になると、通学や部活で電車やバスを使う機会が増え、休日も友だちと出かけるようになります。小学生のころは「必要なものを保護者の方が買う」形が中心でも、この時期は自分で選んで買う場面がぐっと増えます。
主な使い道は、次のように広がっていきます。
- 友だちとの外出や飲食(遊びに行く、帰りに寄り道する)
- 遊びで出かけるときの交通費
- 文房具・学用品、参考書・問題集
- 趣味・娯楽(本、ゲーム、推し活など)
- 友だちへのプレゼント
- ゲーム課金、サブスクリプション(サブスク)、アプリでの支払いなどのデジタル支出
変化が大きいのは使い道だけではありません。ゲーム課金やサブスクのように現金を介さない支払いが加わるため、保護者の方には支出全体が見えにくくなるのも、この時期ならではです。
小学生のころの決まりのままでは、実際の使い方に合わなくなっていきます。なお、小学生の子どもに初めてお小遣いを始める場合は考え方が少し異なるため、別テーマ(小学生のお小遣い)で扱っています。
平均額を載せない理由
「中学生 お小遣い 平均」で検索すると、いくつもの調査結果が見つかります。ただ、民間の調査は複数あり、調査主体や集計方法、「何をお小遣いに含めるか」で値が大きく異なるため、どれか1つを「正しい平均」と決められるものではありません。
たとえば、遊びの交通費や文房具をお小遣いに含める家と含めない家とでは、同じ生活をしていても月額はまったく異なります。お年玉や「その都度渡し」を平均に含めるかどうかでも、数字は変わります。
「周りと比べて多いのか、少ないのか」と気になるのは自然です。ただ、共通の基準になる数字がない以上、周りと比べるより、わが家の基準を持つほうが迷いにくくなります。
決める順番は「範囲→金額→渡し方→振り返り」
平均に頼らずに決めるときの全体の流れは、次の4つです。
- 範囲:何をお小遣いで賄い、何を家庭で負担するかを分ける
- 金額:お小遣いで賄う分から月額を逆算する
- 渡し方:定額・都度・併用など、渡す形を決める
- 振り返り:月1回、短い時間で振り返り、必要に応じて直す
この順番なら、金額の根拠が「わが家の実態」になるため、平均を知らなくても決められます。一度で完璧に決める必要はなく、振り返りで直していく前提で進めていきましょう。
また、この「範囲→金額→渡し方」の順番は、決まりが実態に合わなくなったときに見直す順番としても使えます。
まず支出範囲を決める―お小遣いで賄うもの・ご家庭が出すもの
「お小遣い」「ご家庭負担」「その都度相談」の3つに分ける
最初に、中学生の支出として考えられる項目を書き出し、3つの区分に振り分けます。紙に3つの欄を作り、項目を書き込んでいきます。
- お小遣い:子どもが自分で決めて使うお金
- ご家庭負担:保護者の方が出すお金
- その都度相談:高額・イレギュラーで、その都度話し合うもの
振り分けの例:
線引きは家庭ごとに違って構いません。迷ったときの参考になる一例です。
| 区分 | 項目の例 |
|---|---|
| お小遣い | 友だちとの外出・飲食、趣味・娯楽、デジタル支出 |
| ご家庭負担 | 学校で使う文房具・学用品、参考書、通学の交通費 |
| その都度相談 | 遠出の交通費、誕生日プレゼント、高額になる趣味のもの |
迷った項目は、いったん「その都度相談」に置いておくのも手です。実際に使いながら、月の振り返りで区分を移していけばよいからです。
分けるときの判断基準―必要なものと欲しいもの
振り分けの目安は、「安全・健康・学習に必要なものはご家庭側、趣味や娯楽に使うものはお小遣いから出す」ことです。学校で使うノートや参考書はご家庭負担、友だちと行くカフェやゲーム課金はお小遣い、という具合です。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の中学生向け教材では、必要なものと欲しいものを区別し、優先順位をつけて使う考え方が示されています。この考え方は、支出範囲を決めるときにも使えます。
学校の学びとのつながりも意識しておくと、話し合いのきっかけを作りやすくなります。中学校の技術・家庭科(家庭分野)では、家計の収支や消費生活について学ぶ単元があります。子どもの使っている教科書の目次で、家計や消費に関わる単元の位置を確認しておくと、授業で扱う時期に合わせて、家のお小遣いの決まりについて話し合えます。また、算数や数学で習う割り算・割合の考え方は、積み立ての計画を立てるときにも役立ちます。
同じ項目でも家によって分け方が違ってよいことは、子どもにも伝えておくと安心です。「うちでは参考書は家で出す」「カフェ代はお小遣いから」のように、線引きした理由も一緒に話しておくと、友だちとの違いに戸惑ったときのよりどころになります。
中学1年生から中学3年生へ、範囲の広げ方の例
中学入学のタイミングで、いきなりすべてをお小遣いで賄わせるのではなく、範囲を段階的に広げるのがおすすめです。
- 中1:趣味・娯楽と、友だちとの外出時の飲食だけをお小遣いに。文房具や学用品はご家庭負担のまま
- 中2:自分で選ぶ文房具など、お小遣いで賄う範囲を一部広げる
- 中3:プレゼントや身の回りのものなど、選ぶことと予算の両方を任せる範囲を広げる
広げるタイミングに正解はありません。月の振り返りで「うまくやりくりできている」と感じられたら次に進む、という進め方で大丈夫です。
金額は支出範囲から逆算する―月の予算の立て方と渡し方
月額を逆算する5つのステップ(記入例つき)
支出範囲が決まったら、そこから月額を逆算します。手順は次の5つです。
- お小遣いで賄う項目をすべて書き出す
- 「月の頻度×だいたいの単価」で項目ごとに見積もる
- 貯金に回す分を少し足す
- 家計と照らして調整する
- 子どもに内訳を説明して合意する
ステップ2の見積もりは、ざっくりで構いません。「友だちと出かけるのは月2回くらい」「1回に使うのは1,000円前後」という程度の見通しで十分です。実際の支出とずれていたら、月の振り返りで直していきます。
記入例:
※金額は平均や推奨額ではなく、手順を示すための仮の記入例です。
| 項目 | 月の頻度 | だいたいの単価 | 見積もり額 |
|---|---|---|---|
| 友だちとの外出・飲食 | 2回 | 1,000円 | 2,000円 |
| 飲み物・軽食 | 4回 | 300円 | 1,200円 |
| 趣味・娯楽(本・ゲームなど) | 1回 | 800円 | 800円 |
| 貯金に回す余裕 | ― | ― | 500円 |
| 月額の合計 | ― | ― | 4,500円 |
家計との兼ね合いで額が小さくなっても、お小遣いで賄う範囲を絞れば無理なく始められます。「趣味のものだけをお小遣いから」のように範囲が少なくても、何を自分で賄うかが明確なら練習として十分です。金額の大小よりも、「範囲と額がつり合っているか」を優先してください。
ステップ5の「説明して合意する」ことも大切です。金額だけを伝えると交渉になりがちですが、「この内訳でこの額」と根拠を見せると、子どもも納得して、やりくりの計画を立てやすくなります。
定額制・都度制・併用制、それぞれの向き不向き
渡し方は、主に3つの方法に分かれます。それぞれに向き不向きがあるため、特徴を見てから選びましょう。
| 渡し方 | 向いている点 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 定額制(毎月決まった額を渡す) | 計画を立ててやりくりする練習になる | 保護者の方が使い道を把握しにくい |
| 都度制(必要なときに渡す) | 支出を把握しやすい | 渡す回数が増えやすく、計画性が身につきにくい |
| 併用制(基本額+用途の決まったものは別) | 自由な支出と用途別の支出を分けやすい | 管理する区分が増える |
中学生に取り入れやすいのは、「基本は定額、交通費や学用品など用途の決まったものは別」という併用制です。遊びの交通費をお小遣いに含めるか別に出すかは、家計への影響もあるため、最初に決めておきたい項目の1つです。
定額制にする場合は、渡す日も固定します。「月初の決まった日」など子どもが月の計画を立てやすい日にしておくと、月末の振り返りのタイミングも決めやすくなります。
小学生のころに都度渡しや少額の定額だった場合も、中学生になった途端にすべてを自分で管理させるのではなく、段階的に移行します。まず定額で管理する範囲を狭めて始め、振り返りを重ねながら広げていきます。
子どもとの初めての話し合いをどう進める?声かけ例
範囲と金額は、保護者の方が一方的に決めて伝えるのではなく、子どもと話し合って決めます。手順は次の4つです。
- 保護者の方が考えた範囲と金額の案を見せる
- 子どもの希望(使いたいもの、足りなさそうなもの)を聞く
- ずれている部分を調整する
- 決まった内容を「決まり」としてメモに残す
金融広報中央委員会の「知るぽると」のページでも、お小遣いの使い道や渡し方は家庭で話し合って決めることが基本とされています。なお、リンク先は小学生のおこづかいを扱う保護者向けの解説ページ(アーカイブ)のため、金額の目安としてではなく、「話し合って決める」という考え方を参考にしてください。
会話例:
「学校で使うノートや参考書は家で出すから、お小遣いは自分の楽しみや友だちとの時間に使うお金にしよう」
「月にこれだけ渡すね。その中で何を優先するかは、自分で決めていいよ」
「足りなくなりそうなものがあったら、使う前に相談してね」
中学生の時期は、改まって話し合おうとすると、そっけない返事が返ってくることもあります。その場合は結論を急がず、選択肢を示して考えてもらう方法もあります。
会話例(話し合いが弾まないとき):
保護者の方:「お小遣いの決まりを一緒に考えたいんだけど、今いい?」
子ども:「……別に、今はいいかな」
保護者の方:「じゃあ、2つだけ選んで。文房具は家が出して、お小遣いは自由に使う案。それとも、文房具も自分で買うから、その分多めにする案」
子ども:「自由に使えるほうがいい」
保護者の方:「分かった。金額の内訳は明日の夕食のあとに見せるから、そのときに決めよう」
返事がなくても、一度で決めようとせず翌日に持ち越して構いません。「選択肢を出す→子どもが選ぶ→あらためて内訳を見せる」と段階を分けるほうが、一方的な通達にならずに済みます。
メモに残すときは、金額だけでなく「範囲・渡す日・臨時の相談のしかた」まで書いておきます。あとで「言った・言わない」になりにくく、振り返るときにも役立ちます。
友だちとの外出・交通費など、かさみがちな支出の決め方
中学生の支出でいちばん予測しにくいのが、友だちとの外出にかかるお金です。頻度も金額も月によって変わるため、月額とは別に「約束」で管理するのが現実的です。
出かける前に決めておく3つの約束
- 行き先とだいたいの予算を事前に聞く(どこに行き、いくらくらい使う予定か)
- 1回の上限を決める(「1回はこのくらいまで」という目安)
- お釣り・残金の扱いを決める(戻すのか、次回に回すのか)
この3つを決めておくと、「いくら渡せばよいか分からないまま、多めに渡してしまう」ことを減らせます。1回の上限額は、月額を逆算したときの見積もり(月の頻度×だいたいの単価)から決めると、月の予算ともずれにくくなります。行き先と予算の共有は、口頭が難しければメッセージアプリで送ってもらう形でも構いません。
ただし、帰りの交通費や飲み物代など、安全に関わるお金は削らないでください。「足りなくて長い距離を歩いて帰る」「水分補給を我慢する」とならないよう、安全に関わる分は、上限とは別に確保しておくと安心です。
遠出の交通費や誕生日プレゼントは別枠で考える
遠出の交通費や友だちへの誕生日プレゼントのようなイレギュラーな支出は、すべて月のお小遣いで賄おうとすると、足りなくなりやすい支出です。考え方は2つあります。
- 毎月のお小遣いとは別枠で、その都度相談する
- 前もって分かっているものは、数か月かけてお小遣いから積み立てる
予定が分かっているものなら、積み立ては計画の練習になります。一方、急に決まった遠出まで積み立てだけで対応させると不公平に感じやすいため、「予告のあるものは積み立て、急な大きな支出は別枠で相談」と分けておくと管理しやすくなります。
お年玉などまとまったお金が入ったときは、一部を手元に残し、残りは貯金に回すと、急な支出への備えになります。
「遊ばせたい、でもかさむ」ときの判断基準
「友だちとの時間を大事にしてほしい。でも毎週のように出かけると家計が…」という板挟みは、多くのご家庭で起こります。この場合は、1回あたりの金額を削るより、「頻度」で調整するのがおすすめです。
具体的には、月の上限は変えずに、その中で「今月はどの予定を優先するか」を子ども自身に選ばせます。行ける回数が限られるからこそ、優先順位を考える練習になります。
会話例:
「今月、遊びに使える分はここまで。この中なら、どれに行くかは自分で決めていいよ」
「全部に行くのは難しそうだから、いちばん行きたいものから考えてみよう」
「つい多めに渡してしまった」という月があっても、自分を責めなくて大丈夫です。決まりは月ごとに見直せるので、翌月の振り返りで調整できます。
ゲーム課金やアプリなど、デジタル支出のルール
課金やサブスク、アプリでの支払いは、現金と違って「手元のお金が減る実感」が薄いのが特徴です。だからこそ、現金よりもあらかじめ決まりを作っておきたい分野です。
デジタル支出は「どこから出すか」と「上限」を先に決める
決めておきたいのは、次の2点です。
- 課金やサブスクをお小遣いの範囲に含めるか、別枠にするかを最初に決める
- デジタル支出の月額上限を決める
お小遣いに含める場合は、「デジタルに使ってよいのは月○円まで」と上限を決めます。別枠にする場合は、「課金したいときは毎回相談」など、相談のしかたまで決めておきます。
なお、スマホの利用時間やフィルタリング、コンテンツの管理といった話題は、お金の話とは別のテーマです。そちらは別テーマ(中学生のスマホルール)で扱い、ここではお金に関するルールに絞ります。
キャッシュレスで渡す場合の見守り方
決済アプリなどでお小遣いを渡す場合は、利用履歴が残るため、使い道の確認に活用できます。一方で使った実感がわきにくいため、最初の数か月は月1回、履歴を保護者の方と子どもで一緒に確認する時間を設けると安心です。
現金と併用する場合は、「デジタル分」と「現金分」を分けて渡し、「課金はデジタル分から」といった使い分けを決めておきます。混ざってしまうと、どちらにいくら使ったか分からなくなりがちです。
トラブルへの備えとして、支払い方法の登録や課金の上限設定は保護者の方と一緒に確認しておきます。あわせて、紛失や身に覚えのない課金に気づいたら、すぐに保護者の方へ伝える約束にしておきましょう。
課金の約束が守れなかったときの見直し方
上限を超えた課金があった、相談なく課金していた――こうしたときは、使ったこと自体を罰するより先に、決まりのどこに無理があったかを確認します。その場で罰を与えても、決まりのずれは残ったままだからです。
確認するのは、次の4点です。
- 上限額が、実際にかかる額とかけ離れていなかったか
- 「お小遣いに含めるか、別枠で相談か」の線引きが、子どもに伝わっていたか
- 支払い方法の登録や上限設定が、決めたとおりに機能していたか
- 現金分とデジタル分が混ざっていなかったか
ずれていた箇所を直したら、あらためて合意します。「守れなかった」のではなく「守れる決まりになっていなかった」と考えると、次の決まりを話し合いやすくなります。
月の管理と振り返り―お小遣い帳が続かなくてもできる方法
記録はざっくりでいい―続く工夫
お小遣い帳は、つけられるなら便利ですが、必須ではありません。続かないことも考えて、負担の少ない方法を選びましょう。
- レシートやメモを袋や箱にまとめて入れておく
- スマホのメモにざっくり書き残す
- デジタル分は決済の履歴を見る(記録は不要)
目的は完璧な家計簿ではなく、振り返りのときに材料があることです。3つのうちどれか1つでも残っていれば十分です。
月の流れと月末10分の振り返り(記入例・声かけ例)
月初から月末までの流れは、次のとおりです。日にち・回数・所要時間はあくまで例で、一律の基準ではありません。ご家庭のリズムに合わせてください。
中1の流れの例:
決まりに慣れる時期は、保護者の方が短く声をかける回数を多めにします。
- 月初の決まった日に定額を渡す
- 月の半ばに「お金、順調?」と一言だけ聞く
- 月末に10分、2つの質問で振り返る
- 翌月の予定(行事や出かける約束)を聞いて終わる
中3の流れの例:
範囲を広げたあとは、月中は子どもに任せる部分を増やします。
- 月初の決まった日に定額(文房具やプレゼントまで範囲を広げた額)を渡す
- 月中は任せ、相談があったときだけ話す
- 月末の振り返りで、積み立ての進み具合もあわせて確認する
月末か翌月頭に行う10分の振り返りで、確認するのは次の2問だけです。
- 今月いくら使った?(だいたいでよい)
- 来月の予定は?(出かける予定、買いたいもの)
会話例:
「今月はどのくらい使った? ざっくりでいいよ」
「来月は出かける予定ある? あるなら、その分を残しておくと安心だよ」
「足りなかったら、何に使ったか一緒に見てみよう。責めてるんじゃなくて、来月の作戦を立てたいから」
振り返りの内容は、短いメモに残しておくと翌月以降の見直しに使えます。書くのは3点だけで構いません。
| 欄 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 今月の合計 | だいたいの総額 | おおよそ4,000円 |
| いちばん大きかった支出 | 項目名だけでよい | 友だちとの外出 |
| 来月の予定 | 残しておきたい分 | プレゼント用に1,000円 |
※記入例の金額は、書き方のイメージを示す仮の例です。
J-FLECの中学生向け教材では、収入と支出のバランスを管理し、支出は収入の範囲内に収めることがお金の基本として示されています。月末の振り返りでは、この考え方を実践できます。「収入=月のお小遣い」の範囲でやりくりできたかを基準にしてみてください。
うまくいかないときの場面別チェック―罰より見直し
記録や約束がうまくいかないときは、決まりを作ったときと同じく「範囲→金額→渡し方」の順に、どこでずれが起きているかを確認します。よくある4つの場面について、最初に確認することと次の行動をまとめました。
| 場面 | まず確認すること | 保護者の方の次の行動 |
|---|---|---|
| 記録を始めない | 記録のやり方が手間になっていないか、義務として伝わっていないか | レシートを袋に入れるだけ・デジタル履歴のみなど、いちばん軽い方法に切り替える |
| 始めるが続かない | 書式や頻度が細かすぎないか | 書式をやめて「残っている材料を月末に見るだけ」に戻す。続けること自体は目標にしない |
| 計算どおりにいかず止まる | 頻度や単価の見通しが実態とずれていないか、項目が多すぎないか | 項目を絞って見積もりを立て直す。計算は保護者の方が手伝う |
| 外出や買い物の上限を守れない | 上限額や渡すタイミングが実際の支出とかけ離れていないか | 罰を科すのではなく、ずれている箇所を1つ見つけて決まりを直す(月初一括が難しいなら週払いに分けるなど) |
いずれの場面でも、罰で止めるのではなく、決まりを実態に合わせて見直します。デジタル支出の約束が守れなかったときの確認点は、前の章(デジタル支出のルール)をご覧ください。
貯めたいものがあるときの付き合い方
「これが買いたい」という目標ができたら、計画を立てるよい機会です。欲しいものの値段と月に貯められる額から、「何か月かかるか」を子ども自身に計算させます。
保護者の方は、計算を手伝う役に回ります。「月500円貯めるなら6か月だね。その間、ほかの買い物はどうする?」と質問しながら、計画に抜けがないか本人に考えてもらいます。
この「値段÷月に貯められる額」という計算は、小学校の算数で習う割り算や単位量あたりの考え方です。計算そのものが苦手そうなら、学年や教科から無料の学習プリントを探せるナビクロのプリント一覧で、算数の基礎を確認するのも一案です。
目標のために我慢しすぎて、友だちとの時間をすべて削るようであれば、積み立てのペースを一緒に見直す方法もあります。貯めること自体が目的にならないよう、バランスは月の振り返りで確認します。
使い切ってしまったとき、どこまで見守るか
月初に使い切ってしまった、無駄遣いして後悔している――こうした失敗は、安全や信用に関わらない範囲では、そのまま経験させるのが基本です。失敗から「来月はこうしよう」と考える機会そのものが、お金の練習だからです。
その際、責めるのではなく「次はどうする?」と一緒に考えます。「先に使うものと残すものを分けておく?」「来週の予定に向けて、いくら置いておく?」と、次にどうするかへ話を向けます。
ただし、友だちとのお金の貸し借りは止めてください。お金の貸し借りは人間関係のもめごとにつながりやすく、「失敗して学ぶ」で済む範囲を超えます。使い切ったあとに追加で渡すかどうかについては、次の章で考えます。
「お小遣いが足りない」「増やして」と言われたら
要求されるたびに迷い、「つい多めに渡してしまう」「厳しくしすぎたかもしれない」と感じるのは、よくあることです。大切なのは、その場しのぎで決めず、決めた内容も振り返りで見直せると考えることです。
まず責めずに使い道を聞く
「足りない」と言われたら、まず責めずに使い道を一緒に振り返ります。いきなり「だから言ったでしょ」と返すと、次から相談してもらえなくなります。
会話例:
「どこに使ったか、一緒に見てみよう。怒るために聞くんじゃないよ」
「増やしてほしい理由を聞かせて。説明できたら、一緒に考えるよ」
「増やして」と交渉してくること自体は、「自分の必要を説明する力」の表れと受け止められます。理由を説明してもらうこと自体が、その力を練習する機会になります。
理由別の対応―範囲の見直し・臨時の別枠・追加しない
使い道を聞いたら、理由を3つに分けて対応します。それぞれのサインと最初の対応は、次のとおりです。
| 理由 | ご家庭で見えるサイン | 最初に確認すること | 最初の対応 |
|---|---|---|---|
| (a)範囲の決め方が実態に合っていない | 部活や行事の支出が想定より多い、毎月同じところで不足する | 不足している項目を「お小遣い・ご家庭負担・その都度相談」のどこに置いていたか | 逆算の手順に戻り、範囲と金額を見直してもう一度話し合う |
| (b)一時的な大型支出 | 誕生日プレゼントや遠出など、その月だけの支出がある | 前もって分かっていた支出か、急に決まったものか | 臨時の別枠にするか話し合う。予告のあるものは次回から積み立ての対象にする |
| (c)使い方の問題 | 月初に使い切る、衝動的な買い物が重なる | 使った時期と中身(デジタル分・現金分のどちらに偏ったか) | 追加はせず、翌月の計画を一緒に立てる |
(a)は決め方の問題なので、子どもを責める必要はありません。(b)はその月だけの支出として対応し、(c)は計画の問題なので、追加で渡さず、「翌月どうするか」に話を進めます。
範囲や金額を見直した結果、増額に応じる場合は、今後も続けて増やすのか、その月だけ条件付きで増やすのかを分けます。お手伝いの対価として臨時の収入を認める考え方もありますが、何にでも報酬をつけないよう線引きは必要です。「家族の一員としての分担」と「特別なお手伝い」を分けておくと、お手伝いが報酬目的になりすぎるのを防げます。
前借りと友だちとの貸し借りはどうする?
前借りは、原則として認めないのがおすすめです。一度認めると「足りなくなれば前借りできる」と考えやすくなり、決まった額の中でやりくりする感覚が身につきにくくなります。
どうしても認める場合は、その場限りの特例にせず、「翌月分から天引きする」などの決まりをあらかじめ作っておきます。決めたルールに沿って対応すれば、例外が習慣化するのを防げます。
友だちとの貸し借りは、「借りる・貸すのどちらもなし」で統一します。
会話例:
「お金の貸し借りは、友だち同士ではなしにしよう。困ったときは友だちではなく、家の大人に相談してね」
お金のもめごとが心配なときの相談目安
友だちとの貸し借りが繰り返されている、高額な請求を受けている様子がある、「断れない」空気を感じる――こうした場合は、ご家庭だけで解決しようとしないでください。
まず事実を落ち着いて確認し、学校の担任に相談します。相手のご家庭や子ども同士だけで解決しようとすると、こじれやすいためです。原因をご家庭だけで決めつけず、事実の確認と学校との連携を優先してください。
相談のときは、次の項目をメモしておくとやり取りが進めやすくなります。
- いつ:気づき始めた時期、出来事のあった日
- 何が:金額や回数など、分かる範囲の事実(推測とは分けて書く)
- ご家庭で試したこと:話し合い、決まりの確認、使い道の確認など
- 学校で知りたいこと:休み時間の様子、友だち関係の変化など
困りごとが続く場合は、学校や公的な相談窓口を頼ってください。一人で抱え込まないことが大切です。
まとめ―お小遣いは大人になる前の「お金の練習」
お小遣いの正解は、ご家庭ごとに違います。支出範囲を決め、そこから金額を逆算し、渡し方を決めて、月1回振り返る。この順番で進めれば、平均と比べなくても、わが家の基準は作れます。
お小遣いの管理は、技術・家庭科や数学で学ぶ内容を生活の中で使う練習でもあります。決まりは一度決めたら終わりではありません。うまくいかない月があっても、誰かを責めず、振り返りで直していけば大丈夫です。お小遣いは、失敗しても取り返しのつく範囲でお金の使い方を試せる、大人になる前の練習の場です。
まずは、支出範囲を書き出してみてください。「お小遣い・ご家庭負担・その都度相談」の3つの欄を紙に作り、項目を並べるところから始められます。
J-FLECの中学生向け教材は、お金の基本が子ども向けの言葉でまとめられています。話し合いや振り返りの参考として、保護者の方と子どもで一緒に見るのもおすすめです。
参考情報
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「大人になる前に知っておきたいお金の話(中学生向け)」
- 金融広報中央委員会「知るぽると」おこづかいのつかいみち(小学生のおこづかいを扱う保護者向けの解説ページ・アーカイブ)
監修:新興出版社啓林館 坂本陽一