知育
日付
2026/10/31

子どもがすぐ怒るときは?小学生への声かけ、ご家庭での対応と相談の目安

子どもがすぐ怒るときは?小学生への声かけ、ご家庭での対応と相談の目安

子どもがすぐ怒るときは、まず安全を確かめ、理由を聞くのは落ち着いてからにします。危険がなくても、会話が難しい間は質問を重ねずに待ち、話せるようになってから本人の言葉を聞きましょう。

「嫌だった」「悔しかった」という気持ちを受け止めることと、叩く・危険な物を投げる行動を認めることは別です。気持ちを受け止めつつ、人を傷つける行動はやめるよう短く伝えます。

声をかけてもなかなか収まらないと、保護者の方も疲れてしまいます。すぐ怒ることを子どもの性格や保護者の方の関わり方のせいと決めつける必要はありません。その場ですぐに怒りを収めようとするのではなく、安全を保つ、話を聞く、中断する、助けを借りるといった対応を、今の状況に合わせて選びましょう。

今の子どもの様子優先する対応声かけや次の行動の例
叩く・危険な物を投げるなど、危険があるきょうだいや保護者の方が距離を取り、安全にできる範囲で危険物を遠ざけます。「叩くのはやめよう。話はあとで聞くよ」。けがの危険が差し迫り、安全を保てないときは緊急の助けを求めます。
危険はないが、問いかけに応じられない説明や質問を重ねず、安全を確かめながら待ちます。「今は話さなくていいよ。話せそうになったら教えてね」。返事を求め続けません。
危険な行動が止まり、短い問いかけに応じられる本人に話せるか確認してから、1つずつ話を聞きます。「今、少し話せそう?」「何があった?」。再び怒りが強くなったら中断します。
生活への支障や、本人・保護者の方の負担が続いているご家庭の対応だけで解決しようとせず、学校や相談先に伝えます。場面、本人の言葉、試した対応を分かる範囲で伝えます。記録がそろうまで待つ必要はありません。

怒っている最中は、理由を聞くより安全を確かめる

叩く・危険な物を投げるときは、周囲の人の安全を優先する

人を叩く、硬い物や尖った物を投げるなどの行動があるときは、「どうしてそんなことをするの」と尋ねるより、まず安全を優先します。きょうだいを離れた場所へ移し、保護者の方も叩かれない距離を取ってください。きょうだいに仲裁を頼まず、まずその場から離れるよう短く伝えます。

周囲の危険物は、安全にできる範囲で遠ざけます。子どもが持っている物を無理に奪おうと近づいたり、説明を聞かせようとその場にとどまったりする必要はありません。物を片づけるために近づくこと自体が危険なら、人が離れることを優先します。

声をかけるなら、「叩くのはやめよう。話はあとで聞くよ」と短く伝えます。その場で返事や謝罪を求めず、危険な行動が続いているか、周囲の人が安全な場所に移れたかを確かめます。

けがの危険が差し迫っている、安全な距離を保てないといった場合は、ご家庭だけで収めようとせず、警察や救急など緊急の助けを求めてください。学校からの返事や通常の相談予約を待つ場面ではありません。

危険がなければ、短く伝えて質問を重ねず待つ

危険な行動はなくても、大声で泣いていたり、問いかけに答えられなかったりするときは、話し合いを急ぎません。「今は話さなくていいよ。落ち着いてから聞くね。」と伝え、質問や説得をいったん止めます。「何が嫌なの」「どうしたいの」と聞き続けず、返事を求めずに少し待ちます。

待つといっても、子どもを無視するわけではありません。近くにいるのを嫌がるなら、安全を確かめられる範囲で少し離れます。「そばにいて」と求めるなら、安全な距離でそばにいてもよいでしょう。返事がなくても、距離の取り方について何度も質問する必要はありません。

抱きしめる、手を握るといった身体接触も、いつでも勧められるわけではありません。嫌がるときは無理に触れず、「ここにいるよ」と短く伝えます。待っている途中で叩く・物を投げる行動が始まったら、見守りを続けるだけにせず、安全の確保に戻ってください。

気持ちを聞くことと、危険な行動を認めることは別

気持ちを聞くこと、何が起きたかを確かめること、要求に応じるかどうかは、それぞれ別に考えます。「使いたかった」という気持ちを受け止めても、叩いて物を取り返す行動を認める必要はありません。

例えば、きょうだいとの物の取り合いなら、落ち着いた後に「使いたかったんだね。でも、叩いて取り返すことは認められないよ。」と伝えます。そのうえで、誰が使っていたか、どんなやり取りがあったかを確かめ、物をどう使うかを決めます。気持ちを聞いた時点で、どちらの言い分が正しいかまで決める必要はありません。

要求に応じられないときは、「もっと遊びたかったんだね。でも、今日はここまでだよ。」と伝えます。気持ちは受け止めつつ、要求に応じられるかどうかは別に伝えます。できる範囲で「続きは次に遊べるときにしよう」など、実際にできることを伝えます。怒りを収めるために、守れるか分からない約束までしなくて構いません。

なぜすぐ怒るのか、直前の出来事と本人の話から確かめる

怒る直前の出来事と、本人が話したことを分けて整理する

同じように怒って見えても、その直前に起きたことや、本人が困っていることは場面によって異なります。保護者の方には小さなきっかけに見えても、本人が何を嫌だと感じたのかは、様子だけでは分かりません。「わがままだから」と決めつけず、見えた出来事と本人の言葉を分けて整理しましょう。

観察する場面の例落ち着いてから確かめること決めつけずに残す記録の例
眠そうな帰宅直後に怒った本人が眠かったか、疲れていたか、空腹だったかを確認します。「帰宅してかばんを置いた直後。眠そうに見えた。本人は『おなかがすいた』と言った。」
予定変更を伝えた直後に怒った何が変わったと理解したか、もともと何をするつもりだったかを聞きます。「外出の延期を伝えた後。本人は『今日行くって言った』と言った。」
宿題の間違いを直す場面で怒ったどこを直すのか、直し方が分かるか、どのように声をかけたかを確かめます。「答えの間違いを伝えた後に鉛筆を置いた。本人の理由はまだ分からない。」

これらは観察の例であり、疲れや予定変更が怒りの原因だと断定するための表ではありません。「眠そうだった」は保護者の方が見た様子、「おなかがすいた」は本人が話したこととして分けます。その後、食事が取れたか、眠れたか、宿題を続けられたかなど、生活への影響も分かる範囲で記録します。

同じ場面が繰り返されるなら、怒ったときと、似た場面で困らずに進められたときを比べてみましょう。予定をいつ伝えたか、宿題の直しをまとめて伝えたか、1問ずつ伝えたかなどを確かめます。違いが見つかっても原因と決めつけず、次に伝え方を調整する手掛かりにします。

「ご家庭でだけ怒る」場合も、甘えや安心の証と結論づけないようにします。学校とご家庭では、課題、予定の伝え方、人とのやり取りなどが異なります。学校では困りごとが見えていないことも、ご家庭で困っていることも、どちらも伝えて構いません。

落ち着いて話せそうなら、何が嫌だったかを1つずつ聞く

話し始める目安は、決まった時間が過ぎたかどうかではありません。危険な行動が止まり、短い問いかけに応じられそうなら、「今、少し話せそう?」と確認します。静かになっただけで、すぐ説明できると判断しないようにしましょう。首を振る、顔を背けるなど、話したくない様子があれば後にします。

本人が応じたら、まずは「何があった?」と1つだけ聞いて待ちます。答えを聞いてから「どうしたかった?」と尋ねます。こうした問いに答えにくそうなら、「ノートを閉じる前、どこをやっていた?」など、直前の具体的な場面に絞って聞いてみます。

本人が「全部嫌だった」と言った場合も、その場で詳しい理由まで聞き出す必要はありません。「全部嫌だったんだね」と、本人が話した範囲で受け止めます。保護者の方の説明や解決案は、本人の話を聞いてからにしましょう。

文部科学省の「平成22年版家庭教育手帳」には、子どもの話をじっくり聞き、子どもの目の高さで考える姿勢が示されています。ここで挙げた声かけは、その姿勢を踏まえてご家庭で試せる例であり、同じ言葉でどの子どもも落ち着くというものではありません。

話さない・推測が違う・また怒るときは、聞き取りを急がない

話すのを嫌がるときは、「今は話したくないんだね。あとにしよう。」と、いったん区切ります。言葉にするのが難しそうなら、困っている物や箇所を指さしたり、短いメモに書いたりしてもよいでしょう。ただし、話す代わりに必ず書かせるのではなく、「指さしやメモでもいいよ」と選択肢を示します。

保護者の方が気持ちを推測するときは、「嫌だったのかな」と確認するようにします。「違う」と言われたら、「違ったね。決めつけてごめんね」と推測を取り下げましょう。「本当は悔しかったんでしょう」と重ねたり、気持ちを言い当てようと候補を並べたりする必要はありません。

本人が「分からない」と答えた日は、記録にも「理由は分からない」とそのまま残せます。理由が分からなくても、宿題を中断した、食事が取れなかったといった困りごとは学校へ伝えられます。

聞いている途中で再び怒りが強くなったら、「話はここで休もう」と中断し、安全の確認に戻ります。その場で謝罪や出来事の説明まで済ませようとしなくても大丈夫です。話を聞こうとするたびに会話が続かなくなる場合も、その様子を相談時に伝えましょう。

落ち着いたら、次に使う言葉や合図を1つ決める

「手伝って」「少し待って」など、場面に合う言葉を選ぶ

落ち着いているときに、次に同じような場面で使えそうな言葉を1つ選んでみましょう。「怒らないようにしよう」だけで終わらせず、何に困ったときに何と言えばよいかまで具体的に決めます。保護者の方が一方的に決めず、「どれなら言えそう?」と本人に確かめます。

  • 1人では進められないとき:
    「手伝って」「ここを教えて」
  • 急に切り替えられないとき:
    「少し待って」
  • 続けるのがつらいとき:
    「今は休みたい」
  • 使っていた物を取り返したいとき:
    「返して」。伝えても難しければ、保護者の方に助けを求める

使っていた物をきょうだいに取られた場面なら、「次は『返して』と言ってみよう。返してもらえなかったら、叩かずに呼んでね。」と次の行動まで決めます。「返して」と言えば必ず相手が応じるとは限らないため、うまくいかなかったときの助けの求め方も決めておきます。

言葉で伝えられても、その希望がすべてかなうとは限りません。「少し待って」と言われて待てるなら、「この作業が終わったら出発しよう」と、どこまで待つかを確かめます。待てないなら、「待ってほしいんだね。でも、出発する時間だよ。続きは帰ってからにしよう」と、今できることを伝えます。

話すのが難しければ、合図や指さしでも伝えられるようにする

言葉が出にくいときのために、手を上げる、決めたカードを指さすなどの合図を選んでも構いません。例えば、「分からなくなったら『ここを教えて』と言うか、止まった箇所を指さす」と決めます。「手伝ってほしい」「休みたい」など、それぞれの合図が何を意味するかを、本人と保護者の方で確かめておきます。

合図が出たときに保護者の方がどう応じるかも、子どもと確かめておきましょう。「指さしてくれたら、その箇所を一緒に見るね。」など、次にすることを短く伝えます。すぐに手を止められない場合は、「気づいたよ。このお皿を置いたら行くね。」と、合図に気づいたことと、いつ対応できるかも伝えます。

子どもの伝え方だけでなく、周囲ができる工夫も1つ決めます。予定変更の場面なら、「今日の外出は延期になった。次の日程はまだ決まっていない。決まったら伝えるね。」と、分かっていることと未定のことを分けます。本人がしていたことを終えられそうなら、どこで区切るかを一緒に確認してもよいでしょう。

次に使えなくても責めず、言葉や使う場面を見直す

決めた言葉や合図を使えなくても、「約束したのに」と責める必要はありません。落ち着いてから、言葉が長すぎなかったか、合図を出す相手が近くにいたか、助けを求める前に困りごとが大きくなっていなかったかを確かめます。

「ここを教えて」が難しければ指さしだけにする、困ってから呼ぶのが難しければ作業の区切りで保護者の方が様子を尋ねるなど、使い方やタイミングを調整できます。合図を出しても気づいてもらえなかった場合は、子どもの練習を増やすより、気づきやすい位置や応じ方を見直します。

使えたときは、「ここで困ったと伝えてくれたから、一緒に見る場所が分かったよ」と、何が伝わったのかを具体的に言葉で返します。試しても難しい場面は、むやみに言葉や合図を増やさず、学校や相談先に伝えましょう。

宿題で怒るときは、教科書とノートで困った箇所を確かめる

取りかかる前・解く途中・直しのどこで止まるかを見る

宿題で怒っている最中は、解き方の説明をいったん止めます。落ち着いた後に、「全部やり直す前に、どこから分からなくなったか見せて」と、止まった箇所を一緒に確認しましょう。話せる状態に戻っても、すぐに宿題を再開できるとは限りません。

止まった場面確かめること最初に試せる対応
取りかかる前宿題の範囲と最初にすることが分かるか、本人が休みたいかどうかを確認します。「何をするか、一緒に確かめる?」と聞き、連絡帳などで指示を確認します。本人が休みたいときは、説明を進めずいったん区切ります。
問題を読む途中どの文や指示まで分かり、どこで止まったかを見ます。「分かりにくかったところを指さしてくれる?」と聞き、該当する指示や言葉を一緒に確かめます。
解き方を考える途中学校で習った手順のどこまでできたかを確かめます。「学校ではどんな順番で考えた?」と尋ね、教科書の説明・例題と授業ノートを開きます。
間違いを直すとき直す場所と直し方が分かるか、本人が何を嫌だと感じたかを聞きます。まず「どこを直すかは分かる?」と聞き、1つずつ確認します。全部を消す前に、困った箇所を確かめます。

例えば、直しの場面でも、「どの答えが違うか分からない」「どこから考え直すか分からない」「書き直すことが嫌だった」では、確かめる内容が違います。答えが間違っているからとすぐに説明を始めず、本人がどこで止まったかを確認します。

止まった場面が分かっても、それだけで怒った理由が決まるわけではありません。「分からない」のか「今は続けたくない」のかも本人に確かめます。理由を説明できないときは、そのときに見たことだけを記録し、聞き取りを長引かせないようにしましょう。

学校で習った順序に沿って、教科書の例題とノートを見直す

用意するのは、今の宿題、対応する教科書、授業ノート、必要に応じて宿題の指示が分かる連絡帳などです。新しい教材を足す前に、学校で何を習い、どのような手順で取り組んだかを確認します。

  1. 宿題のページ・問題番号と単元名を確認し、教科書の対応する説明や例題を開きます。学校で習った範囲か分からない場合は、授業ノートの日付や見出しも確かめます。
  2. 授業ノートを見ながら、「学校では最初に何をした?」と習った順序を確認します。本人が説明できなければ、ノートの該当箇所を指さしてもらうだけでも構いません。
  3. 宿題に書いた途中の考え方と見比べ、どこまでは分かり、どこから分からなくなったのかを探します。答えだけでなく、図、式、書き込みなど、残っているものを手掛かりにします。
  4. 再開できそうなら、分からなくなった箇所に対応する例題の手順を1つだけ一緒に確かめます。最初から分からない場合は、最初の手順から確認して、本人が続けられそうなら次へ進みます。

「ここは分かる」と言う箇所まで初めから説明し直すのではなく、止まった箇所に絞ります。例えば、問題文は読めていて、その後に何を書けばよいか分からないなら、読む練習を追加するより、教科書やノートで最初の手順を確認します。

保護者の方が知っている別の解き方を次々と足すより、まず学校で扱った順序に沿って見直しましょう。対応する例題が見つからなかったり、ノートを見ても手順が分からなかったりする場合は、探し続けたり推測で教えたりせず、担任に確認する項目として残します。

再開が難しい日は中断し、困った問題と場面を担任に伝える

説明を始めると再び怒る場合や、本人も保護者の方も続けられない場合は、その日は中断しても問題ありません。「今日はここで止めよう。困ったところを先生に相談しよう」と伝えましょう。終わらなかったことを隠す必要はなく、未完了の範囲と中断した理由を、学校で指定された連絡方法で伝えます。

担任には、問題のページ・番号、どこまで取り組めたか、どんなことを確認したかを連絡します。「できない問題をどう扱うか」「ご家庭ではどこまで手伝うか」「直しはどの方法で進めるか」を相談し、次に同じ場面になったときの対応を決めておきましょう。

担任への伝え方の例:
「宿題の○ページ・○番で、直しを始めると怒って続けられませんでした。教科書の例題とノートを見ましたが、どの手順で困っているか確認できず中断しました。学校ではどのように取り組んでいますか。分からない問題を残して提出してよいか、家ではどこまで手伝えばよいか相談したいです。」

追加の教材で怒りを解決しようとせず、まず学校での取り組み方と、ご家庭で止まった箇所を照らし合わせましょう。

保護者の方も、対応を休む・言い直す・助けを借りる

対応を続けられないときは、安全を確かめて交代や支援を頼む

保護者の方が「手が出そう」「これ以上は対応できない」と感じたら、話し合いを止めてください。「今は話を続けられないから、少し離れるね」と短く伝え、子どもと周囲の安全を確かめ、見守れる距離を取ります。

可能なら、別の保護者の方に「今は対応を続けられないので、代わってほしい」と頼みましょう。交代するときは、何が危険だったか、今は話せる状態か、何を伝えたかを短く共有します。代わった方には、すぐに理由を問い直さず、必要な安全確認や見守りを続けてもらいます。

安全を保てないほど切迫しているときは、交代できる人を探し続けるより、緊急の助けを求めることを優先します。子どもの行動だけでなく、保護者の方が子どもを傷つけそうだと感じる場合も、ご家庭だけで収めようとしないでください。

交代を頼める人がいない場合も、1人で耐え続ける必要はありません。学校や地域の相談窓口には、子どもの様子だけでなく、「疲れて対応を続けられない」「代わってくれる人がいない」と、負担が大きいことや支援が必要なこともそのまま伝えましょう。

怒鳴ってしまったら、謝ることと伝えたいことを分ける

怒鳴ってしまった後は、落ち着いてから、言い方について謝ることと、伝えたかった内容を分けて話します。例えば、「さっきは大きな声で言ってごめんね。伝えたかったのは、叩くのをやめてほしいということだよ。」と言い直します。

「あなたが怒らせたから」「何度言っても聞かないから」と、怒鳴ったことを子どものせいにしないようにします。謝っても、危険な行動を認めることにはなりません。「次は声が大きくなる前に、話を止めて離れるね」など、保護者の方が次に取る行動を短く添えてもよいでしょう。

子どもがすぐ返事をしなくても、その場で許すことや謝り返すことを求めなくて大丈夫です。怒鳴ることを繰り返しそうで心配なときは、言い直しだけで対応しようとせず、保護者の方自身が休むための支援も相談しましょう。

生活への支障や負担が続くときは、学校や相談先に伝える

回数だけでなく、危険・生活への影響・負担を目安にする

相談するかどうかは、怒った回数だけで決めるものではありません。回数が少なくてもけがの危険がある場合や、本人・保護者の方の負担が強い場合は、その時点で相談できます。次のような点を目安に、今どんなことで困っているか整理してみましょう。

  • 本人や周囲の人がけがをする危険がある。
  • 怒った後に食事を取れない、眠れない、登校や学習を続けられないなど、生活に支障が出ている。
  • 本人が「困っている」「どうしたらよいか分からない」と話している。
  • 保護者の方が声をかけることを強い負担に感じる、手が出そうになるなど、対応を続けるのが難しい。

これは病気や障害を判断するための一覧ではありません。当てはまる項目数を数えたり、一定の回数や日数に達するまで待ったりする必要はありません。困りごとが続く場合や負担が強い場合は、その時点で相談できます。

けがの危険が差し迫り、安全を保てない場合は、通常の相談予約ではなく、警察や救急など緊急の助けを求めます。今は安全を保てているものの、再び同じ状況になることが心配な場合は、その不安も含めて学校や相談先に伝えてください。

担任には場面と困りごとを伝え、学校での様子も確かめる

担任には、「すぐ怒ります」だけでなく、どの場面で何に困っているかも伝えましょう。学校での様子と照らし合わせながら相談できます。記録は怒るたびに詳しく書く必要はありません。直近の場面など、覚えている例について、次の項目のうち、書けるものだけを残します。

  • いつ・どの場面で:
    帰宅直後、宿題中、予定を伝えたときなど。
  • 直前の出来事:
    何をしていたか、どんな言葉をかけたか。
  • 本人の言葉と行動:
    本人が話した言葉、実際に見た行動。保護者の方の推測とは分けます。
  • 試した対応とその後:
    短く声をかけた、少し離れて待った、その後も話せなかったなど。
  • 生活への影響:
    食事、睡眠、登校、学習の様子と、本人・保護者の方の負担。

共有メモの記入例:
「帰宅後、宿題の間違いを直すよう伝えると、『もうやりたくない』と言ってノートを閉じました。いったん休みましたが、その日は再開できませんでした。本人の理由はまだ分かりません。私も声をかけることが負担になっています。学校で直しをするときの様子と、家での進め方を相談したいです。」

学校で問題が見えないと言われても、ご家庭で困っていることは引き続き伝えましょう。「学校では、予定が変わるときや間違いを直すときはどうしていますか」「困ったときに誰かへ助けを求めていますか」と、具体的な場面について尋ねてみましょう。そこで使っている声かけや手順が分かれば、ご家庭にも取り入れられるか相談できます。

相談の終わりには、「ご家庭で次に試すこと」「学校で様子を見てもらいたい場面」「難しかった場合の連絡方法」を確認しておくと、対応が難しくなったときにも、改めて相談しやすくなります。決めた方法が使えなかったことも、次の相談でそのまま伝えられます。

メモがそろうまで相談を待つ必要はありません。「うまく整理できていませんが、対応に困っています。話す時間を取れますか」と伝えるだけでも大丈夫です。

学校や地域の相談先を利用し、ご家庭だけで抱え込まない

相談先には、担任のほか、スクールカウンセラーや地域の家庭教育相談、教育センターなどがあります。文部科学省の「平成22年版家庭教育手帳」にも、こうした相談先の例が示されています。

学校での様子や宿題の進め方を確かめたいときは、まず担任に具体的な場面を伝えてみましょう。ご家庭での対応や保護者の方の負担について話したいときは、スクールカウンセラーへの相談方法を学校に尋ねたり、自治体や教育委員会の案内から地域の窓口を探したりできます。担任への相談だけで困りごとが整理できない場合は、別の相談先を利用してもよいでしょう。

子ども本人が話すことを嫌がっている場合は、その場で説得を重ねず、まず保護者の方だけで相談できる方法を窓口に尋ねてみましょう。相談を申し込む際は「本人は今は話したくないと言っています」と伝え、どう進めるか確認します。

文部科学省の「子供のSOSの相談窓口」では、子ども本人や保護者の方が利用できる相談先を案内しています。電話やSNSなどの相談方法、利用できる時間は、リンク先の各窓口の案内で確認してください。ご家庭での工夫を全て試し終えていなくても、困っている段階で助けを求められます。

今日の対応は、今の安全と負担に合わせて選びましょう。危険がなく話せないなら質問を止めて待つ、話せるなら困った箇所を1つ確かめる、ご家庭だけでは続けられないなら相談を申し込みましょう。

参考情報

監修:新興出版社啓林館 坂本陽一