知育
日付
2026/10/20

小学生のタブレット学習はどう選ぶ?紙との違いと保護者の確認ポイント

小学生のタブレット学習はどう選ぶ?紙との違いと保護者の確認ポイント

学校で端末に触れる機会が増える中、「家庭でもタブレット学習を取り入れるべきか」と考える保護者の方は少なくありません。紙の教材と何が違うのか、ゲームに流れないか、目への影響や費用はどうかと、気になる点は尽きません。

家庭での学び方は、大きく4つに分かれます。紙の教材、学習専用の端末で学ぶ「専用端末型」、家庭にあるタブレットなどで使う「汎用端末アプリ型」(以下「アプリ型」)、そして紙とデジタルの「併用」です。ただし、どれか1つがすべての子どもに合うわけではありません。

タブレットと紙には、それぞれ異なる強みがあります。大切なのは「どちらが上か」ではなく「何のために使うか」で選ぶことです。

わが子に合うかどうかは、家庭学習の目的・学年・子どもの様子から候補を絞り、契約条件や無料体験で確かめると判断しやすくなります。

タブレット学習とは?紙の教材との違いを先におさえる

タブレット学習とは、家庭でタブレット端末を使う学習全般を指し、大きく2つに分かれます。

1つは、学習専用に設計された端末を使う「専用端末型」。もう1つは、家庭にあるタブレットやスマートフォンにアプリを入れて使う「アプリ型」です。この区別を押さえておくと、後の比較が分かりやすくなります。

タブレット学習でできること:自動丸つけ・映像や音声の解説・学習記録

多くのタブレット教材には、紙にはない3つの機能があります。解答をその場で判定する自動丸つけ、映像や音声による解説、そして学習記録の蓄積です。

間違えた問題を自動で出し直したり、保護者向けの画面で進み具合を確認できたりする教材もあります。「どこでつまずいたか」を記録から振り返れる点は、紙にはない利点です。

紙の教材の強み:書く練習になる・解いた過程が残る・テストと同じ形式

一方、紙の教材にも紙ならではの強みがあります。鉛筆で書く練習そのものになること、途中式や考えた跡が紙に残ること、学校のテストと同じ形式で取り組めることの3つです。

とくに低学年では、漢字の書き順やとめ・はねなど、手を動かして覚える学びが多くあります。書く経験をどう確保するかは、方式を選ぶときの大事な観点です。

「どちらがよいか」ではなく「何のために使うか」で考える

タブレットと紙は、どちらが優れているというより、得意なことが異なります。学校の予習復習を習慣にしたいのか、苦手の穴埋めをしたいのか、目的によって道具は変わります。

目的が見えていれば、あとは方式ごとの特徴を比べるだけです。7つの観点で見ると、違いが整理しやすくなります。

紙・専用端末型・アプリ型・併用——4つの学び方を7つの観点で比較

ここでは商品名を挙げず、方式の特徴だけを比べます。比較する観点は、教科書との対応・記述・解説・振り返り・保護者の負担・費用と端末・解約の確認点の7つです。

同じ方式でも教材ごとに仕様は異なります。表は一般的な傾向として参考にし、個別の条件は必ず各社の案内で確認してください。

比較表:7つの観点で見る4つの学び方

観点紙の教材専用端末型アプリ型併用
教科書との対応教科書に沿ったドリルや問題集を選びやすい。教科書対応をうたう教材がある。対応する教科書の範囲は要確認。教科書対応をうたう教材がある。対応範囲は要確認。教科書の見直しは紙、補強はデジタルと分けられる。
記述(書く学び)鉛筆で書く練習そのものになる。タッチペンで書ける教材もある。記述の有無は教材ごと。選択式が中心の教材が多い。記述問題の有無は要確認。書く練習は紙、確認はデジタルと分けられる。
解説解答・解説欄を自分で読んで理解する。映像や音声の解説がつく教材が多い。映像や音声の解説がつく教材が多い。読む解説と見る解説を場面で選べる。
振り返り解き直しの記録は自分で残す工夫が必要。学習履歴が自動で残る教材が多い学習履歴が自動で残る教材が多い。記録はデジタル、見返しは紙と分けられる。
保護者の負担丸つけと進み具合の確認は保護者の役目。自動丸つけで負担は減る。見守りは必要自動丸つけで負担は減る。端末の設定と見守りが必要。分担できる一方、管理する教材は増える。
費用と端末1冊ごとの購入。端末は不要。月額のほか端末代がかかる場合がある。年間総額で確認月額のみで始められることが多い。端末がなければ購入費が別途必要。組み合わせ次第。合計の費用を把握しておく。
解約の確認点買い切りが基本。定期購読型は継続条件を確認。早期解約時に端末代の精算が発生する場合がある。解約手続きの方法と返金の有無を確認。契約ごとに条件を確認。

表の中で「要確認」とした項目は、契約後に「こんなはずではなかった」となりやすい部分です。

紙の教材:書く力と解いた過程が残る。丸つけは保護者の役目

紙の教材は、書く力を育てたい時期に取り入れやすいものです。間違えた箇所に赤を入れ、後で解き直す流れも作りやすくなります。書いて覚える練習の進め方は、「漢字の覚え方」の記事も参考になります。

一方で、丸つけと翌日に取り組む問題の調整は保護者の方の役目になります。時間が取りにくいご家庭では、そこが負担に感じられることもあります。

例:書く練習を大切にしたいご家庭、学校のテストと同じ形式で練習したいご家庭、費用を抑えたいご家庭に向いています。

専用端末型:1台で学習が完結。外部アプリは制限された設計。端末代と解約条件を確認。

専用端末型は、学習以外の用途が制限された設計が特徴です。届いた端末ですぐに学習を始められ、ゲームや動画サイトに移ってしまうのを仕組み上抑えやすくなっています。

一方で、月額とは別に端末代がかかる場合があり、早期に解約すると端末代の精算が発生する契約もあります。金額や条件は教材ごとに異なるため、申し込み前の確認が欠かせません。

例:学習専用の環境を用意したいご家庭、保護者の方の設定の手間を減らしたいご家庭に向いています。

アプリ型:手持ちの端末で始めやすい。使い方の設定とルールが前提

アプリ型は、家庭にあるタブレットやスマートフォンで始められる手軽さが特徴です。月額だけで始められる教材が多く、端末の購入費を抑えられます。

一方で、端末自体は学習以外にも使えるため、アプリの利用制限やフィルタリングの設定、家庭のルールづくりが前提になります。

例:すでにタブレットをお持ちのご家庭、まずは初期費用を抑えて試したいご家庭に向いています。

紙とデジタルの併用:教科や場面で使い分ける現実的な形

併用は、例えば漢字や計算の練習は紙、英語の音声確認や理科の映像はデジタルというように、教科や場面で使い分ける形です。

始めから全部をそろえる必要はありません。今ある紙の教材を中心に、足りない機能だけをデジタルで補う方法が現実的です。

例:紙の学習習慣がすでにあるご家庭、教科によって課題が違うご家庭に向いています。

わが子に合う方式の判断基準:目的・学年・子どもの様子

方式の違いが見えたら、次は「うちの子に合う方式」を絞り込みます。目的、学年、子どもの様子の順に考えると整理しやすくなります。

目的で絞る:学校の予習復習/苦手の穴埋め/習慣づけ/発展的な学び

まず目的を1つに絞ります。いくつかあっても、いちばん優先したいものを決めておくと迷いが減ります。

  • 学校の予習復習:子どもの使う教科書に対応した教材かを最優先で確認
  • 苦手の穴埋め:前の学年の単元にさかのぼれるか、間違いに応じた出題があるかを確認
  • 習慣づけ:1回あたりの分量が短く、学習を続けた記録が見える仕組みがあるかを確認
  • 発展的な学び:学年の枠を超えて進めるか、記述や思考力を使う問題があるかを確認

学年で考える:低学年は「書くこと」を優先、高学年は自分で進められるかで判断

小学1年生から小学3年生くらいまでは、鉛筆で書く経験を減らさない配慮が必要です。ひらがなや漢字の書き順、計算の途中式など、学校で書いて学ぶ内容が多い時期だからです。

小4以降は、自分で計画を立てて進められるかが分かれ目です。自分で学習を進められる子はデジタルの記録機能を活用しやすく、書いて整理する方が向く子は紙の比重を高めてもよい時期です。

子どもの様子で考える:端末への反応と集中の持ち方

同じ学年でも、端末への反応は子どもによって違います。画面の演出に気を取られる子もいれば、自分のペースで黙々と進める子もいます。

迷ったら、ゲームや動画を使っているときの様子が参考になります。約束の時間に自分で止められるか、画面から離れたあと切り替えられるかを見ておきましょう。

体験で確かめる:子どもへの聞き方と、見送ってよいサイン

無料体験は、子どもの反応を見るいちばんの機会です。終わったあと、結果ではなく、使ってみてどうだったかを聞くのがコツです。

ご家庭での見え方:
「どの問題がいちばん楽しかった?」と聞くと、何に興味を持ったかが分かります。
「画面の説明は分かった? それとも速すぎた?」と聞くと、難易度との相性が見えます。
「明日もこれ、やってみたい?」への反応が、いちばん正直な判断材料です。

「続けたい」という反応が薄い、操作につまずいて嫌になる、説明の言葉が合わない——こうした場合は、今は見送ってよいサインです。子どものせいでも教材のせいでもなく、時期や相性の問題です。無理に始める必要はありません。

契約前の確認リスト:費用・端末・解約・体験期間

「入ってから気づいた」を防ぐには、申し込み前の確認が欠かせません。金額は教材や時期によって変わるため、ここでは個別の数字は挙げず、確認する場所と見方に絞って整理します。

費用は月額ではなく年間総額で考える(端末代・入会金・学年ごとの変動)

月額の安さだけで比べると、あとで差が出ます。次の3点を含めて、年間の総額で考えてください。

  • 端末代:専用端末型で別途かかるか、月額に含まれるか
  • 入会金・登録料:初回だけの費用があるか
  • 学年ごとの変動:学年が上がると月額が変わるか、教科の追加で変わるか

公式サイトの料金ページと、契約前に送られる書面の両方で確認すると確実です。

端末の確認:専用端末の精算条件/手持ち端末の対応環境/学校貸与端末は学校に確認

専用端末型は、端末が買い取りか貸与かで、解約時の扱いが変わります。早期解約で端末代の残額を精算する条件があるかどうかは、必ず確認しましょう。

アプリ型は、古い機種は動作対象外となることがありますので、手持ちの端末が対応機種や対応OSに含まれているかを確認しましょう。

学校から貸与されている端末で使えるかどうかは、学校や自治体ごとの判断です。アプリを入れてよいかも含め、学校に確認してください。

解約・返金の条件は申し込み前に読む

解約できるのは月単位か、返金保証の期間と条件は何か、手続きはWebで完結するか。この3点は申し込み前に読んでおきたい項目です。

とくに「最低利用期間」や「違約金に相当する精算」の有無は、あとでトラブルになりやすい部分です。分からなければ契約前に窓口へ問い合わせ、回答を残しておくと安心です。

無料体験で確認したい5つのこと

体験期間は、次の5点を意識して見ると判断材料がそろいます。

  1. 子どもが1人で操作できるか
  2. 1回あたりの学習の長さが家庭の時間に合うか
  3. 問題の難易度が今の子どもに合っているか
  4. 解説の言葉や映像が子どもに伝わるか
  5. 保護者向けの画面で進み具合を把握できるか

5点のうち2つ以上引っかかる場合は、契約は保留にして、別の教材も試してみましょう。

ゲームや動画との両立:設定・家庭のルール・健康への配慮

「学習のはずが遊びに流れるのでは」「目が悪くならないか」は、多くの保護者の方が抱く不安です。対策は、端末の種類、設定、家庭のルールの3つに分けて考えます。

端末で対策が変わる:専用端末は制限された設計、汎用端末は保護者の設定が必要

専用端末型は、学習以外のアプリやサイトを使えない、または制限する設計が基本で、端末自体で利用を制限する仕組みです。

汎用端末は、端末の機能で利用時間やアプリを制限する設定が前提です。設定方法は機種やOSで異なるため、購入時や契約時に確認しておきましょう。

フィルタリングはWi-Fiとアプリにも:機器に応じた設定を販売店で確認

政府広報では、フィルタリングは携帯電話の回線だけでなく、Wi-Fiでの接続時やアプリの利用にも必要だと案内されています。「家のWi-Fiだから安心」とは限りません。

設定方法は機器によって異なるため、利用する機器に応じた方法を、販売店などで確認するよう案内されています。

家庭のルールと声かけの例:時間・場所・終わり方

端末側の設定に加えて、家庭のルールも決めます。ここからのルールと声かけは、公的な一律基準ではないため、ご家庭の実情に合わせて調整してください。

  • 時間:「学習は1日○分」と最初に決め、終わったら画面を閉じる。
  • 場所:寝室や自室に持ち込まず、家族の目がある場所で使う。場所の整え方は「リビング学習」の記事も参考になります。
  • 終わり方:終了の5分前に声をかけ、切りのよいところで止める約束にする。

ご家庭での見え方:
「あと5分で終わりの時間だよ。どこまで進んだ?」と、終わりを先に伝えます。
「今日はここで止められたね。明日はどこから始める?」と、止められたこと自体を認めます。

それでもルールが守れなかったときは、罰を決めるのではなく、ルールのどこを見直すかを考えます。見直しの観点は次の5つです。

  • 時間の設定:「1日30分」といった長さが、習い事のある日とない日で同じままになっていないか。
  • 場所の設定:約束を守れる場所で使う決まりになっているか。家族の目が届かない場所に持ち込んでいないか。
  • 終わり方の設定:ゲームや動画の途中で止める約束は難しいものです。切りのよいところまで待つ、端末側で終了時刻を知らせる設定にする、といった調整ができます。
  • 約束の決め方:保護者の方が一方的に決めた約束は守りにくいものです。守れなかったことを責める前に、子どもと一緒に約束を決め直します。
  • 守れたときの声かけ:守れなかった日への注意を増やすより、守れた日に声をかけるようにします。

見直したあとは、新しい約束で何日か試し、また一緒に振り返ります。約束は一度決めたら終わりではなく、実情に合わせて少しずつ変えていくものと考えると、保護者の方の負担も減らせます。

目や姿勢など健康面は文部科学省の資料で確認を

端末を使う際の目や姿勢への配慮について、文部科学省が児童・生徒と保護者に向けた健康面に配慮した資料を公開しています。医学的な判断や具体的な数値の基準は、こうした一次情報で確認してください。

家庭でできる環境づくりとしては、部屋を明るくする、こまめに休憩を挟む、画面との距離や姿勢に気を配る、といった点が挙げられます。

始めたあとの関わり方:見守り・声かけ・続かないときの考え方

始めたあとの関わり方は、選ぶことと同じくらい大切です。任せきりにせず、かといって干渉しすぎない。その距離感の取り方を整理します。

任せきりにしない:1日の終わりに短い確認と観察メモ

自動丸つけで保護者の方の手間は減りますが、完全に任せきりにはしないでください。必要なのは長い付き添いではなく、1日の終わりの短い確認です。

「今日はどこまで進んだ?」「難しかったところはあった?」と聞くだけで、子どもにとっては「見てもらえている」という実感になります。

短い確認を続けると、「どの曜日に進みにくいか」「どの教科で止まりやすいか」が見えてきます。続かない原因を見分けたいときは、1週間ほど様子をメモしておくと判断しやすくなります。記入例を1つ示します。

項目記入例
日付・曜日○月○日(火)
時間帯夕食前の17時ごろ
教科と単元算数の「かけ算」
開始までの様子声をかけてから5分ほどで開始
学習中の様子10分の間に2回手が止まり、「難しい」とつぶやく
家庭で試したこと教科書の例題に戻って一緒に確認
次に試すこと1つ前の単元の問題から始める

メモは箇条書きで十分です。記録すること自体が目的にならないよう、書ける範囲で続けてください。

声かけは結果より過程:一言例と、返事がないときの会話例

正解数や点数より、取り組んだ過程をほめる方が、翌日の意欲につながりやすいものです。

ご家庭での見え方:
「昨日間違えたところ、今日は自分で解き直せたね」と、前回からの変化を伝えます。
「難しかったけど、最後までやり切ったね」と、結果より粘りをほめます。
「分からなくても飛ばさず考えていたね」と、考える姿勢を認めます。

声をかけても返事がないときは、問いかけを重ねるより、選択肢を出すのも一つの方法です。

ご家庭での見え方:
保護者「そろそろ学習の時間だよ。」
子ども (返事がない)
保護者「今から5分だけやる? それとも夕食のあとに10分やる?」
子ども「夕食のあとがいい。」
保護者「分かった。ご飯が終わったら始めよう。」
――翌日。保護者「昨日は夕食のあとに始められたね。今日はどっちにする?」

「声をかける→返事がない→選択肢を出す→翌日に見直す」の流れです。選べる範囲は保護者の方が決め、その中で子どもが選びます。前日にできたことを翌日の声かけで伝えると、次の行動に移りやすくなります。

続かないときの原因の見分け方:つまずき・操作・疲れ・場所・気持ち・反発で考える

続かないときは、子どもを責める前に、原因を「つまずき」「やり方が分からない」「疲れ」「場所」「気持ち」「反発」の6つに分けて考えます。観察メモがあれば、どれに近いかを判断しやすくなります。

原因ご家庭で見えるサイン最初に確認すること最初の対応
つまずき(難易度が合わない)同じ単元で止まる。間違いが続く。逆に速く終わりすぎて飽きている。どの単元から分からなくなっているか。教材のレベル設定が合っているか。戻る地点を探して解き直す(手順はこの後)。簡単すぎるならレベルを上げる。
やり方が分からないログインや画面の操作で止まる。「どうやるの」と毎回聞く。操作のどの段階で止まっているか。教材の使い方の説明を見たか。最初の数回は保護者の方も一緒に開始手順を確認。手順のメモを端末のそばに置く。
疲れ(時間帯・体調)夜になると進まない。曜日で波がある。うとうとしている。睡眠時間、その日の活動量、学習を始める時間帯。学習より先に休憩や軽食。時間帯を変える。疲れている日は分量を減らす。
場所が合わない画面は開いているが進んでいない。気が散る。テレビや家族の会話、ほかの端末が気になっていないか。使う部屋や机の向きを変える。
気持ち(学校生活の気がかり)学習以前に元気がない。話しかけても上の空。学校や友だちとの間で気がかりなことがないか。学習より先に話を聞く時間を取る。続く場合は学校に相談する。
反発(学習そのものへの拒否)「やりたくない」と言う。約束を後回しにする。内容への反発か、「やらされる」ことへの反発か。命令せず選択肢を出す。「算数と国語どちらから」「5分と10分どちらにする」など。

原因が1つに絞れない場合は、まずは変えやすい時間帯や場所から見直します。このうち4つの原因については、最初の対応をもう少し具体的に示します。

つまずきの場合:戻る地点の探し方
「どこから分からなくなったか」は、次の順番で探します。

  1. 教科書の目次を開き、今習っている単元と1つ前の単元を確認し、「どこまで分かっていたか」を目次でさかのぼる。
  2. 授業で使ったノートを前のページから見返し、間違いや空欄が増え始めた箇所を探す。
  3. その箇所の例題を、答えを隠してもう一度解く。解ければそこまで戻る必要はなく、解けなければそこが戻る地点です。
  4. 例題が解けたら練習問題に進み、自力で解けるかを確かめる。

戻る地点が前の学年の単元にある場合は、教材のさかのぼり機能や、該当する学年のドリル・プリントで補います。

やり方が分からない場合:開始手順をそろえる
最初の数回は保護者の方も一緒に、「端末を起動する→教材を開く→今日の分を始める」という開始手順を確認します。手順を短いメモにして端末のそばに置けば、保護者の方がそばにいない時間でも始めやすくなります。

疲れている場合:学習より先に確認する項目
学習の前に、睡眠時間、その日の活動量(習い事や体育の日かどうか)、学習を始める時間帯の3つを確認します。疲れている日は、休憩や軽食を先に挟む、分量を減らす、時間帯を夕食前に変える、といった調整を優先します。

反発している場合:選択肢の出し方
「やりなさい」を重ねるより、選べる範囲を示します。「算数と国語、どちらから始める」「5分と10分、どちらにする?」「夕食前と夕食後、どちらでやる」のように、内容・分量・時間帯のどれかを子どもが選べる形にします。

場面別の次の行動:始めない/続かない/解けず止まる/約束を守れない

同じ「勉強しない」に見えても、場面によって保護者の方の次の行動は変わります。

  • 始めない:まず前の表の6つの原因のどれに近いかを、観察メモで見分けます。声かけは「声をかける→返事がなければ選択肢を出す」の流れで行い、命令にしないことが大切です。
  • 始めるが続かない:1回の分量と取り組む曜日を見直します。1週間の中で元のペースに戻れるなら、多少の波として見守ります。
  • 問題が解けず止まる:つまずきの対応です。戻る地点を探して解き直し、教材の難易度設定も確認します。
  • 約束を守れない:罰を考える前に、時間・場所・終わり方のルール設定が実情に合っているかを見直します。見直しの観点は「ゲームや動画との両立」の節で紹介しています。

タブレット教材を使っている場合は、学習記録の画面も見分けの手がかりになります。「そもそも開始していない」のか「途中で止まっている」のかが記録から分かれば、対応を選びやすくなります。

低学年・高学年:帰宅から終わりまでの流れ例

学習を生活の中に取り入れる流れの例を、低学年と高学年に分けて示します。なお、ここに挙げる時間はいずれも例であり、一律の基準ではありません。習い事のある日や疲れている日は短くして構いません。ご家庭の生活リズムに合わせて調整してください。

低学年(小1〜小3)の例

  1. 帰宅したら、手洗いと軽食で気持ちを切り替える(15〜20分)
  2. 連絡帳とその日のノートを、保護者の方と一緒に見る(5分)
  3. 教科書を開き、その日の例題を解き直す(5〜10分)
  4. 紙の教材やタブレットに取り組む(10分程度で切り上げる)
  5. タブレットなら記録画面、紙なら丸つけしたページを開き、その日の進み具合を保護者の方と一緒に確認する
  6. 明日の用意をして終わる

高学年(小4〜小6)の例

  1. 帰宅後、休憩(30分程度)を挟み、自分で今日やることを決める
  2. 宿題を済ませる(20〜30分)
  3. 教科書とノートの見直し(10分)
  4. 紙の教材やタブレットに取り組む(終わる時刻は自分で決めて管理する)
  5. 保護者の方は終了後、タブレットの記録画面や紙の教材で進んだページを短く確認するだけにとどめる

低学年は保護者の方と一緒に流れを作り、高学年は自分で管理する範囲を広げる、という違いがあります。どちらの流れでも、学習の前に「今日学校で何をしたか」を確認する時間を入れると、学校の学習とのつながりが保てます。タブレットの記録画面を終わりの確認に組み込んでおくと、保護者の方の負担を増やさずに見守りを続けられます。

放っておいてよいことと、保護者のイライラとの付き合い方

毎日完璧を求める必要はありません。「今日は量が少なかった」「予定が1日ずれた」といった波は、1週間の中で元のペースに戻れるなら、見守ってよい範囲です。

イライラしたときは、その場で指摘する前にいったん距離を取りましょう。何が気になっているのか書き出してみると、子どもの学習よりも保護者自身の疲れが原因になっていることもあります。保護者の方が休憩を取ることも、無理なく見守りを続けるためには大切です。

相談の目安:学校に伝えるメモと相談先

教材の操作や内容の不具合は、教材のサポート窓口に相談できます。連絡先は契約時の書面や公式サイトで確認しておきましょう。

学習が思うように進まない状態や、つまずきが続く場合は、学校の先生に相談してみましょう。そのとき、次の4項目をメモしておくと、学校での様子も踏まえた助言をもらいやすくなります。

  • いつ:いつ頃から、どのくらいの頻度で起きているか(例:3週間前から、週の半分程度)
  • 教科:どの教科・単元で止まっているか(例:算数の「わり算」の単元)
  • 家庭で試したこと:例題の解き直し、1回の分量の短縮など、すでに試した対応
  • 学校で知りたいこと:授業中の様子、つまずいている箇所、家庭で優先するとよいこと

困りごとが長引くときは、学校の相談窓口や公的な相談機関の利用も選択肢です。

どれを選んでも軸は学校の学習:教科書・ノートの見直し方

どの方式を選んでも、家庭学習の軸は「学校で習う順序」です。教材は学校の学習を補うものとして使うと、家庭学習の方針がぶれにくくなります。

家庭学習の軸は「今日学校で習ったこと」

家庭学習の第一歩は、その日学校で習ったことの確認です。新しい教材を足す前に、まず教科書とノートを見直す流れを作ってください。

教材を選ぶときは、子どもが学校で使っている教科書に対応しているかを確認します。教科書の会社名は、背表紙や奥付で確認できます。

教科書・ノート・例題の見直し:今日からできる手順

今日からできる見直しの手順は、次の3ステップです。

  1. その日習った教科書のページを開き、例題の答えを紙で隠してもう一度解く
  2. ノートで間違えた問題を、答えを見ずに解き直す
  3. 解けなかった問題に印をつけ、翌週の同じ曜日にもう一度解く

この3つだけでも、学校の学習を定着させる流れを作れます。タブレット教材を使う場合も、この見直しを基本にすると組み合わせやすくなります。

見直しの中で「ここから分かっていないかもしれない」と気づいたときは、「始めたあとの関わり方」の節で紹介した戻る地点の探し方(教科書の目次→授業で使ったノート→例題→練習問題の順)でさかのぼって確認します。

デジタルは教科書の補助にも:教科書のQR解説動画の例

デジタルを教科書の補助として使う例もあります。啓林館の小学校算数の教科書「わくわく算数」(令和6年度用)では、QRコードから主問題の解説動画を見られるコンテンツが用意されています。

字幕の表示や、停止・繰り返しの視聴ができ、学年をさかのぼって見ることもできます。ただし、これは全ての教科書に共通の機能ではありません。子どもの学校で使う教科書にどんなデジタル教材があるかは、学校や出版社の案内で確認してください。

練習を足したいとき:学年・教科で探せるプリント

「この単元だけ練習を足したい」という場面では、紙のプリントが手軽です。啓林館の学習メディアでは、学年と教科で絞り込んでプリントを探せます。

「この単元だけ、必要な分を足す」という使い方ができます。苦手の穴埋めに、該当する学年・教科のプリントを探してみてください。

まとめ:選ぶ前の3つの問い

最後に、選ぶ前に確認したい3つの問いをまとめます。順に考えると、ご家庭に合う方法を整理しやすくなります。

問い1:家庭学習の目的は何か

予習復習、苦手の穴埋め、習慣づけ、発展的な学び。いちばん優先したい目的を1つ決めてください。目的が決まれば、見るべき機能は自然に絞られます。

問い2:子どもに合う方式はどれか

学年と、端末への反応・集中の持ち方を踏まえて、紙・専用端末型・アプリ型・併用のどれが合うかを考えます。体験での子どもの反応が、いちばん確かな判断材料です。

問い3:契約の条件を確認したか

年間の総額、端末の精算条件、解約・返金の条件。この3つを申し込み前に確認すれば、契約後に「こんなはずではなかった」となるのを防げます。

3つの問いに答えても迷う場合は、家庭学習の様子を学校の先生に相談してみてください。いつ頃から、どの教科で、家庭で何を試したかをメモしておくと話が進めやすくなります。学校での子どもの様子と合わせて考えることで、ご家庭に合う学び方が見えてきます。

参考情報

監修:新興出版社啓林館 坂本陽一