中学生が勉強しないときの再開の手順:学校ワークの見分け方と声かけ例

「勉強しなさい」と言うほど机に向かわず、言わなければ何も始まらない。中学生の子どもが家で勉強に取りかからないとき、「どこまで見守り、どこから声をかけるべきか」は悩ましい問題です。声をかけても変わらない日々に、「うちの子は怠けているのではないか」「自分の育て方が悪かったのではないか」と思いつめてしまう保護者の方は少なくありません。
まず知っておいてほしいのは、「勉強しない」を怠けや育て方の問題として責めても、勉強を再開するきっかけにはなりにくいということです。責める言葉は本人が心を閉ざすきっかけになり、保護者の方自身も疲れてしまいます。まずは原因を決めつけるのではなく、今日子どもが「どの状態にあるか」を観察することから始めましょう。
観察の手がかりになるのが、学校のワークや提出物です。そもそも始めていない「未着手」、始めたのに続かない「途中」、答えを写して提出する「答え写し」、やったのに出せない「未提出」。同じ「勉強しない」でも、状態によって次にどう対応するかは異なります。
状態を見分けられれば、「今日、何を頼むか」を具体的に決められます。部活で疲れて帰る日の対応も、テスト前の順番づけも、ゲームとの両立も、同じ考え方で判断できます。まずは状態の見方を確認しましょう。
責める前に: 「勉強しない」を状態として切り分ける
「なぜやらないのか」の答えを、今日は求めなくていい
「どうして勉強しないの?」と問い詰めても、本人から本音が返ってくるとは限りません。中学生ともなると、本人自身にも理由が言葉にできていないことがあります。
こども家庭庁の「体罰等によらない子育て」のページでも、子どもが言うことを聞かない理由には様々なものがあるとされています。理由を詰問するより、気持ちや考えに耳を傾ける姿勢が示されています。
「なぜ」の答えは、今日は持ち越しでかまいません。答えの出ない問いを抱え続けるより、「今、どの状態か」を見るほうが、次に何をするか決めやすくなります。
原因を決めつけず「観察できる状態」から始める
「不真面目だ」「やる気がない」と決めつけると、その見方から抜け出しにくくなります。本人は「どうせそう思われている」と心を閉じ、保護者の方も「治さなければ」と力んでしまいます。
代わりに、実際に確認できることを見ていきます。ワークはどこまで進んでいるか、提出物の期限は守られているか、ノートはどの日付まで書かれているか。これらは推測ではなく、今日ご家庭で確かめられる状態です。
確認したことを短いメモに残しておくと、変化がわかりやすくなります。下記の例のように、日付と事実を並べるだけの箇条書きで十分です。
9月8日(月)数学ワーク P.14〜15 が白紙。カバンから出していない。
9月9日(火)夕食後に「今日はP.14だけ」と範囲を一緒に決める。10分ほどで取りかかった。
9月10日(水)部活の日。翌日提出の英語プリントがあるかだけ確認。ワークは休み。
メモは評価ではなく記録です。昨日「未着手」でも、今日1ページ進んだならメモでその変化を確認できます。こうした柔軟さは、原因を決めつけずに観察するからこそ生まれます。さらに、このメモは学校へ相談するときの材料にもなります(伝え方は「ご家庭で手に負えなくなったときの相談先」の章で示します)。
学校ワークの4つの状態で見分ける
ここからは、学校ワークの進み方を4つの状態に分けて見ていきます。分類は例であり、子どもを判断するものではなく、複数の状態にまたがることもあります。
ご家庭で目にするのは、「始めない」「始めるが続かない」「問題が解けず止まる」「約束を守れない」という場面です。それぞれの状態を見分けることで、保護者の方も対応しやすくなります。
未着手: そもそも始められていない
ご家庭での見え方:
ワークやドリルにまったく手がついていない。提出物のプリントがカバンに入れたままになっている。「始めない」にあたる状態です。
未着手の背景には、「何から始めればいいか決まっていない」ことが少なくありません。量の多さに圧倒されて、どこから手をつければいいかわからないのです。
最初の対応(例):
開始の手順を小さく分解します。まずカバンからワークと連絡帳を出してもらい、期限が近いものを1つ選びます。今日やる範囲は「P.10の1問だけ」のように、本人と一緒に小さく決めましょう。終わったら見せてもらう約束をして、その日はそこで終わりにします。範囲が小さければ、始めるハードルが下がります。
途中で止まっている: 始めたのに続かない
ご家庭での見え方:
ワークの最初の数ページは進んでいるのに、あるページからぴたりと止まっている。解きかけのまま空白が残っている。「始めるが続かない」「問題が解けず止まる」にあたる状態です。
途中で止まる場合、止まった場所に「わからない」がある可能性があります。先に進みたくないのではなく、どこから進めればいいかわからなくなっているかもしれません。
最初の対応(例):
続きを促す前に、止まった場所を一緒に特定しましょう。「続きをやりなさい」ではなく、「ここで止まっているね。どのへんが引っかかった?」と確認するように声をかけ、引っかかった単元が見えたら教科書の例題に戻ります。どこまで戻ればよいかの探し方は、次の章で紹介します。
答え写し: 提出は間に合うが形だけ
ご家庭での見え方:
提出期限は守れているのに、答えを見て写している。写した問題の解き方を尋ねても説明できない状態です。
答えを写せば提出はできますが、内容を理解できているとは限りません。ただし、写してでも出そうとする行動には、期限を守ろうとする気持ちが表れています。責めると、今度は隠れて写すようになりかねません。
最初の対応:
写した中から1〜2題を選び、「これ、どうやって解いたか教えて」と聞きます。説明できなければ、その単元の例題に戻る合図です。全問のやり直しを求める必要はありません。
未提出: やったのに出せていない・期限が守れない
ご家庭での見え方:
ワークは進んでいるのに提出を忘れる、期限日を把握していない、連絡帳に提出の記録がない。「約束を守れない」ように見える状態です。
この場合、課題は学習そのものより「提出の管理」にあります。やる気の問題として声をかけても、的外れになることがあります。
最初の対応(例):
提出期限を見えるところに書き出します。カレンダーや連絡帳に提出日を書き出し、前日の夕方に「明日出すものある?」と確認する習慣をつくります。確認は繰り返しの声かけではなく、決まった時刻の1回に絞ります。未提出が続く場合は、担任への相談も選択肢です。
4つの状態と、ご家庭での次の行動を一覧にまとめました(例)。
| 状態 | ご家庭で見えるサイン | 最初に確認すること | 最初の対応 |
| 未着手(始めない) | ワークが白紙。プリントがカバンに入ったまま。 | 何がいつまでに必要か(提出物の一覧と期限)。 | 今日の範囲を1問〜1ページに小さく決める。 |
| 途中(続かない・解けず止まる) | あるページから空白が続く。 | 止まった単元とノートの日付。 | 教科書の例題に戻る。 |
| 答え写し(提出は間に合うが形だけ) | 提出済みだが解き方を説明できない。 | 写した中に説明できる問題があるか。 | 1〜2題を選んで例題で解き直す。 |
| 未提出(やったのに出せない) | ワークは進んでいるのに提出の記録がない。 | 提出物の期限の把握。 | 期限をカレンダーに書き出し前日に確認。 |
どの状態も珍しいことではなく、状態は日によって変わります。一度決めた対応も、状態が変われば見直してかまいません。
教科書・ノート・例題で「わかるところ」から戻る
「わからないところまで戻りなさい」と言われても、本人は何をどう戻ればいいかわかりません。ここでは、教科書の目次、授業で使ったノート、例題、練習問題の順に確認する戻り方を、例として紹介します。
教科書の目次とノートの日付で、止まった場所を特定する
最初に、開くのは教科書の目次です。いま習っている単元の前に、どの単元を学んでいたかを確認します。
次に、授業で使ったノートを日付順にめくり、日付と板書がきちんと書けている最後のページを探します。
板書が急に乱れたり、途中で空白になったりする日付が、「授業についていけなくなった場所」の目安です。見つかったら、「このへんから止まっているね。授業はどうだった?」と、確認できたことをそのまま伝えます。
例題→類題→練習問題の順に戻る
止まった場所が見つかったら、その単元の教科書を開きます。最初に戻るのは例題で、解き方の手順が示されているので、まず読んで手順を確かめます。
例題の手順がわかったら、類題を自力で解き、類題が解けたら練習問題へ進みます。この順序は、学校で習う順序に沿っています。また、例題の時点でわからなければ、目次でひとつ前の単元に戻ります。
なお、千葉県教育委員会の「家庭学習の習慣化を図ろう」では、家庭学習の方法や計画に関する学校の取組資料が紹介されています。学校独自の進め方が示されている場合は、そちらを優先してください。
保護者の方が一緒に見るときの約束事
一緒に教科書やノートを見るときの約束事を挙げます。
- 答えを教えず、「場所」を一緒に探します。「この例題、さっきの問題と似ていない?」と、見る場所を示すに留めます。
- 付きっ切りにしません。横に座る時間は短く、確認が済んだら離れます。
- わからない場所が特定できたこと自体を前進と考えます。「ここがわからない」と言えたら、一歩進んでいます。
- 教えようとして口論になりそうなら、学校の先生に聞くなど、保護者の方が教師役を降りる選択もあります。
部活の日は「休む」も計画に入れる
「見守るべきか、声をかけるべきか」で特に迷いやすいのが、部活で疲れて帰る日です。休ませることと放任を区別して考えます。
部活帰宅日の判断基準
部活動から帰った日に、平日と同じ量の勉強を求めるのは現実的ではありません。部活から帰った日は休養を優先し、勉強は「明日提出のものがあるかの確認」だけに絞る方法もあります。
その場合、学習より先に確認したい項目があります。
- 夕食と入浴の時間を確保できるか
- 就寝時刻を削ってまで学習する必要があるか
- 明日提出のものがあるか(ある場合はその確認だけ行う)
帰宅から就寝までの流れの例を示します。時刻はあくまで例であり、一律の基準ではありません。
- 部活帰宅日の例: 19時すぎに帰宅。入浴と夕食を先に済ませ、「明日出すものはある?」の確認だけ行い、あとは休養にあてます。
- 部活のない日の例: 17時すぎに帰宅。休憩を挟んでから、夕食前にワーク1ページ、または夕食後に例題の解き直しを1単元行い、終わったら自由時間にします。
時間の目安や優先順位は、ご家庭の実態に応じて本人と話し合って決めます。北海道教育委員会の「家庭での学習習慣や生活リズムの確立に向けて」には中学校版の資料もあり、時間の目安・目標・優先順位を子どもと話し合い、実態に応じて設定し、進級時などに見直すことが示されています。また、学習時間は一律ではないと明記されています。
「見守り」と「放任」の違い: 提出物と期限で見る
口を出さないことが、見守りとは限りません。見守りとは、口は出さなくても、提出物が動いているか・期限が守られているかを把握している状態です。一方、提出物も期限も把握していない状態は、放任に近くなります。
見守るか声をかけるかを判断するポイントは、「毎日机に向かっているか」ではなく「提出物と期限」です。提出物が進み、期限も守れているなら、平日の勉強時間が短くても見守ってよいでしょう。逆に提出物が止まっているなら、休息を優先する時期でも声をかけるタイミングです。
休日の過ごし方を本人と話し合う
部活のない日や休日に何をするかは、保護者の方が割り振るのではなく、本人と話し合って決めます。提出物の期限やテスト日程を見ながら決めます。
「来週提出のワークは、どの日にやる?」と聞き、本人が提案した内容を保護者の方と確認しながら計画を立てます。決めたあとは、本人が立てた計画として進めます。できなかった日があっても責めず、計画そのものを見直す話し合いに戻ります。
定期テスト前の再開: 範囲表と教科別提出物を一枚に整理する
テスト前に何もしていない姿を見ると、保護者の方も焦りやすくなります。ここでは、学校が配布するテスト範囲表を使った整理の手順を示します。
範囲表の見方と「やること」の洗い出し
まず、テスト範囲表と提出物の案内をすべて広げます。教科ごとに「提出物とその期限」「テスト範囲のページ」を書き出し、一枚の紙にまとめます。書き出しのイメージは次のとおりです。
| 教科 | 提出物(期限) | テスト範囲 | やること |
| 数学 | ワーク P.20〜28(金曜) | 教科書2章 | 例題の解き直し |
| 英語 | ワーク Unit 3(月曜) | Unit 3 | 単語の確認 |
| 理科 | プリント提出(水曜) | 1章〜2章 | 用語の確認 |
上の表はあくまで例です。教科や期限は、学校の範囲表に合わせて書き換えてください。本人と一緒に書き出すと、「やること」の全体量を一緒に把握できます。
書き出すタイミングは、範囲表が配布されたら早めが理想ですが、遅れてしまった場合は、「今日、書き出すこと」から始めます。残り日数から逆算して「どの教科をどの日にやるか」は、保護者の方が割り振るのではなく、本人に提案してもらいます。
提出物を最優先にする順番づけ
全部を終わらせるのが難しい場合は、優先順位をつけます。最優先は「提出物をそろえる」ことです。提出物には期限があり、内申や成績にも関わるものだからです。
次は「例題を解き直す」ことです。応用問題や暗記の総復習はその後でかまいません。全教科を均等に進めるより、提出物が多い教科から手をつけるのが現実的で、完璧を求めないほうが勉強を再開しやすくなります。
前日までできていなかったときの考え方
前日まで何もできていなかった場合でも、責めないでください。責めている時間が、さらに再開を遅らせます。当日は提出物の確認だけでも済ませ、「終わったこと」にします。
次に向けて、「次のテストはいつ?」と声をかけます。次の範囲表が配布されたら、今度は早めに一枚に整理します。テストは繰り返しあるため、次の準備に切り替えるほうがよいでしょう。
声かけは命令ではなく対話に
「勉強しなさい」が効かないのは、言葉の強さが足りないからではありません。命令するだけでは本人が自分で決める余地がなく、反発しやすくなります。
言い換えの基本: 「しなさい」から「どうする?」へ
こども家庭庁のページでは、子どもの気持ちや考えに耳を傾け、問いかけや相談をしながら一緒に考える姿勢が示されています。穏やかに、具体的に伝えることも挙げられています。
命令するのではなく問いかけることで、本人も自分で考えて答えやすくなります。
- 「勉強しなさい」→「今日はどこまで進めるつもり?」
- 「まだやっていないの?」→「どのへんまで進んだ?」
- 「早く終わらせなさい」→「一緒に確認しようか?」
ご家庭での会話例
夕食後の会話を想定した例です。ポイントは、本人が計画を提案し、保護者の方がそれを確認します。
保護者「今日はワーク、どのへんまで進んだ?」
子ども「まだ手つけてない」
保護者「そうか。今日やる分はどこにする?」
子ども「……数学の2ページだけなら」
保護者「わかった。じゃあ、それで。終わったら見せて」
また、返事がない、反発される、という場面もあります。その場合は、声をかける、返事がなければ選択肢を出す、そして翌日に見直す、という順で進めます。
保護者「明日提出の理科のプリント、どうする?」
子ども(返事がない)
保護者「今からやるか、お風呂のあとにやるか、どっちがいい?」
子ども「……あとで」
保護者「わかった。じゃあお風呂のあとに。明日の朝、終わったかだけ確認させて」
(翌朝)保護者「昨日のプリント、出せそう?」
返事がないときに続けて問いかけると、会話が続きにくくなります。選択肢は2つ程度に絞り、本人が選んだらその内容で進めます。守れなかった日も責めず、「選択肢の出し方を変えようか」と翌日に見直します。対話は一度でうまくいくとは限りません。
できている行動を具体的に認める
こども家庭庁は、できている行動を具体的に認めることも大切だとしています。「えらいね」の一言より、「今日は提出物をカバンから出して確認していたね」「昨日より1ページ進んだね」と具体的に伝えるほうが、本人にも届きやすくなります。
認める対象は、結果ではなく行動です。点数が上がらなくても、再開した事実、期限を守った事実を言葉にします。行動を認めてもらうことが、次の行動のきっかけになります。
ゲームとの両立: 没収ではなく再開の約束に組み込む
没収・全面禁止を避ける理由
勉強せずにゲームばかりしている姿を見れば、取り上げたくなるのは自然な感情です。ただ、一方的な没収や全面禁止は、不信感と反発を生みやすい方法です。隠れて使うようになったり、子どもとの対話そのものが途切れたりしかねません。
ゲームを敵として排除するのではなく、勉強を再開する順番の中で考えます。「やることを終わらせたら遊ぶ」と決めておけば、勉強とゲームの時間を分けやすくなります。
本人が提案したルールを一緒に決める
ルールの中身は、保護者の方が決めて通告するのではなく、本人に提案してもらいます。「提出物を終わらせたら1時間」「明日提出のものを確認してから」など、勉強との順番を決めておくのがポイントです。
本人の提案に、保護者の方が「それなら守れそうだね」と応じます。約束が守れなかったときは、以下の例のように罰を科すのではなく、ルールのどこを見直すかを話し合います。
- 時間の長さや回数が現実的か(最初から厳しすぎる約束になっていないか)
- 「終わらせたら」の範囲が共有できているか(どこまでやったら遊んでよいか)
- 終了の合図があるか(アラームや時計など、本人が区切りをつけられる仕組み)
- 守れなかった曜日や時間帯に偏りがないか(部活の日に集中しているなら、その日は別の扱いにする)
守れない約束を続けるより、小さくても守れる約束に変えるほうが、自己管理の練習になります。ルールを見直すのは、失敗を責めるためではなく、守れる内容に近づけるためです。
スマホ契約全般については別記事で扱います
スマートフォンの契約やフィルタリング、利用時間の上限といったルール全般は、別記事で扱っています。ここでは「勉強が進まない場面でゲーム時間をどう置くか」に絞った内容です。
保護者の方のイライラとの向き合い方
イライラは悪いことではない
子どもが勉強しないことへの「親のイライラ」は、多くの保護者の方が抱える感情です。まず、その感情自体は悪いことではありません。毎日向き合っているからこそ、疲れはたまります。
問題は感情を持つことではなく、その感情を子どもにぶつける行動です。イライラしても、そのまま言葉や態度に出さないようにすることはできます。
ぶつける前の一手
イライラが頂点に達する前にどうするか、例のようにあらかじめ決めておきます。
- その場をいったん離れます。別の部屋に移る、水を飲むなど、物理的に距離を取ります。
- 心配事を紙に書き出します。書くと「今日言うべきこと」と「言わなくていい心配」が分かれやすくなります。
- 声をかける回数を1日1回と決めます。繰り返し言うほど、言葉が届かなくなります。
保護者の方も支えられていい
こども家庭庁は、保護者も支えられる必要があると明記しています。保護者の方自身が学校の担任や相談窓口に話すことは、子育てを手放すことではありません。周囲の支えを借りる方法の一つです。
「我が子のことで相談するのは情けない」と思う必要はありません。保護者の方の疲れが軽くなれば、子どもとも落ち着いて話しやすくなります。
学年別の再開の目安: 中1・中2・中3
中学1年生(以下、中1)から中学3年生(以下、中3)まで、学年によって、勉強に取りかかれない背景にある生活の変化は異なります。原因を決めつけるのではなく、学年ごとにどこを見ればよいかを示します。
中1: 教科担任制と提出物の多さに慣れる時期
小学校との大きな違いは、教科ごとに先生が変わる教科担任制です。連絡手段も提出物の種類も増え、期限の管理が一気に難しくなります。
大切なのは、勉強時間の確保より先に「提出物の把握」です。連絡帳やプリントをもとに、「今、何がいつまでに必要か」を一緒に洗い出すことから始めます。
中2: 部活がピークを迎える時期の計画
部活動が本格化し、体力も時間も部活に割かれる時期です。「勉強しない」というより、休む日を決めないまま過ごしている場合もあります。
部活の日を休む日と先に決め、休日とテスト前の計画を本人と話し合います。考え方は、「部活の日は『休む』も計画に入れる」の章で示したとおりです。
中3: 進路が絡む時期は学校への相談も視野に
受験や進路が絡むと、ご家庭だけで抱えるには重い場面が増えます。内申や提出物の状況、志望校の見通しは、学校の担任や進路指導の先生が実情を把握しています。
「勉強しない」への対応とあわせて、学校に進路相談をすることも選択肢に入れてください。本人の希望と現状は、三者で確認するほうが話を進めやすくなります。
ご家庭で手に負えなくなったときの相談先
まず学校へ: 教科担任・担任に聞けること
最初の相談先は学校です。授業中の様子や提出物の実情を把握しているのは、先生方だからです。
教科担任には「どの単元でつまずいているか」、担任には「提出物全体の状況」を聞くことができます。「家でワークに手がついていないのですが、学校ではどう見えていますか」と、家庭での様子を伝えるところから始めると話しやすいでしょう。
相談の前に、下記のように伝える内容をメモしておくと話が進みやすくなります。
- いつから、どの状態か(例: 9月ごろから数学のワークが止まっている)
- 教科と範囲(止まっている単元やページ)
- ご家庭で試したこと(範囲を小さく決めた、期限をカレンダーに書き出した、など)
- 学校で知りたいこと(授業中の様子、提出物の状況、つまずいている単元、など)
「責める前に」の章で示した観察メモがあれば、そのまま持ち寄ると伝えやすいでしょう。
公的な相談窓口(子供SOSダイヤルなど)
保護者の方の負担が大きい場合や、子ども自身の悩みが深そうな場合は、公的な窓口もあります。文部科学省の「子供のSOSの相談窓口」では、学校や家族などの悩みについて、電話やSNS、地元の相談窓口が案内されています。
「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310、通話無料)は夜間も利用でき、保護者の方が相談できる地元の窓口へのリンクも掲載されています。相談するタイミングに正解はありません。一人で抱えるのが難しいと感じた時点で、相談してかまいません。
子どもが勉強しないときは、責めるのではなく、様子を見ながら話し合い、その都度できることを考えていきましょう。まず今日、ワークやノートの状態をひとつ確認するところから始めてみてください。
なお、ナビクロのプリント一覧は教科・学年・ジャンルで絞り込めますが、対象学年は未就学児から小学6年生までで、中学生向けの絞り込みはありません。小学生のきょうだいがいるご家庭では、基礎の確認などにお使いいただけます。
参考情報
- こども家庭庁「体罰等によらない子育て」
- 北海道教育委員会「家庭での学習習慣や生活リズムの確立に向けて」
- 千葉県教育委員会「家庭学習の習慣化を図ろう」
- 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」
- ナビクロ プリント一覧
監修:新興出版社啓林館 坂本陽一